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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第2章 奴隷の子

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第14話 いたいけな少女に命令する0歳児


 僕は今、かつてないほど緊張している。

 それはゲオルディクスたちと別れ、教会の自室に戻った後のことだった。


「で、では……命令、するぞ……!」

「は、はいぃ!」


 いたいけな奴隷少女。

 彼女に命令するためだ。

 奴隷紋とやらが正しく作用しているのか、どういう原理なのか確認するためだ。


「み、右手を――」

「はいっ!」

「右手を……右手を上げろっ!」

「はいっ!」


 お、恐ろしい。

 奴隷紋とはかくも恐ろしき存在であるか……!

 このような純朴な少女に無理やり言うことを聞かせる。そのようなことがあっていいのだろうか。


「次は……左手を上げろ!」

「は、はい……」

「くっ!」


 おかしい。この世界はおかしい。こんなこと、許されていいはずがない。

 自分は今、とんでもない間違いを犯しているに違いない。

 こんなことをしていたら頭がおかしくなってしまいそうだ!


「『聖女御座す(フルルーチェ・)安息の地(レストリア)』! 僕を……僕を叱ってくれ……ッ!」

「…………」


 僕の要望を聞き入れているのだろう、母様――レストリアの頬が膨らんでいる気がする。

 そしておでこをツンとつつかれた。

 しかしその程度で済むわけがない。僕は今、間違いなく罪に塗れた男なのだから。


「あの……聖子様?」

「な、なんだ」

「命令……聞きます」

「そうだ。意思に反して聞いてしまうのだろう。奴隷化の魔法はなんて恐ろしい――」

「いえ、手を上げるくらいなら普通に聞きます」

「…………」


 本当にそうだろうか。

 見ず知らずの人に手を上げろと言われてあげることなどあるだろうか。

 おそらくほとんどの人が戸惑い、僅かな人しか手を上げることなどないだろう。


「聖子様、次のご命令を……この紋をお調べになる、のでしょ?」

「……じゃあ、その聖子ってのやめて。イクラウスって呼んで」

「いや――きゃぁぁぁあああああッッ!!!」

「何で!? どうして!? めいれいかいじょ! いまのうそ!」


 尋常じゃない悲鳴を上げるマリン。

 そんなに名前を呼びたくなかったのだろうか。

 というか激痛を与えるとか、本当に辛そう過ぎるのだが。


「ハァハァハァ……」

「あ、あの……名前……」

「よ、呼び捨てにする訳には……いきませんから……」

「……じゃあ、『イクラウス様』で……」


 別に呼び捨てさせるつもりではなかったのだが。

 言葉って難しい。


「はい……でも、その……奴隷紋……消えちゃいました」

「……そっか」

「…………」


 なぜ消えたかなど、レストリアのドヤ顔を見ればわかる。

 さすがは世界一慈しみ深い母様をモデルにした魔法だ。


「じゃあ、いっか!」

「よくないと……思います」

「当の本人に否定されるとは」

「この紋があることで……私は……ここにいることが、できるのです……」

「……そうだね」


 その通りだ。

 個人的には、あと恐らく母様的にもそんなのなくても一緒にいればいいと思うのだが。

 あの規律にうるさいゲオルディクスを黙らせるにはこの手しかないのだ。


「すまなかった。僕も覚悟を決める」

「くすっ」

「ん?」

「あ、いえ……しかし奴隷紋、どうしましょう……」


 そういえばそうだった。

 そもそも奴隷を買う、という選択肢があったのもこれが理由だったんだ。


「ふっふっふ、実はね……僕は闇の魔法が使えるんだ!」

「そう、なんですね! すごいですね!」


 なんか思ってたのと違う。


「……いいかい? 『聖なる魔法はその他の魔法とは存在の格が違う。よってその使い手は他の属性は使うことができない』と言われているんだ」

「? そうなのですか?」

「しかし僕は違う! 闇の魔法が使えるのだ!」

「? なんでですか?」

「それは……わからない」

「はぁ……」


 呆れられてしまった。

 しかしわからなくても仕方がないじゃないか。


 息はなぜできる、と言われて説明するにはそれなりの知識が必要だ。しかしみんな息はできている。

 それと同じだ。僕は闇の魔法が使える。それに加え体を大小さまざまな形に分離できるし、それを操ることことだってできる。理由など知らない。

 何で? どうして!? こわい、自分がこわい……!

 しかし、今それを目の前の少女に伝えても『はぁ……』としか言われないだろう。


「ともかく、『奴隷紋』を刻むぞ!」

「はいっ!」


 相変わらず元気よく返事する場面を間違えていると思いながら、先ほど見た奴隷紋の魔法を真似る。

 対象の精神に干渉し、特定の魔力を持った相手の指示に対し従わせる、指示に反する行動をした場合激痛を幻覚させる。


 痛いのは嫌だろうから、そこだけ変えよう。


「『奴隷紋』……どうだ?」

「……あ、あります、ね」

「では……命令、僕を呼び捨てにしろ!」

「いや――へ? ひ、左手がプルプルします!」

「そうだ! 僕の命令に従わなければ……左手がプルプルするぞ!」


 せめてもの情けとして、利き手じゃない方にしてやった。

 しかし闇魔法、やはりおそろしい……!


「これが……聖子様のお力……」

「そうだ。左手がプルプルするのが嫌なら……僕に従うんだ」


 きょとんとした顔を受けべる、罪なき少女。

 これまでたくさん嫌な思いをしてきたであろう、そんな彼女を強制的に従わせる。

 闇魔法の恐ろしいことよ。


「はい、イクラウス様。いっしょうけんめい、がんばります!」

「うむ、その意気やよし。褒美にこのチョコレートをやろう。1日1粒までだぞ」

「ちょこれぇと……?」

「食べた後はしっかり歯を磨くんだぞ」

「――あまぁい……」

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