爺による落とし前
※今回の主役はおじいさんです
「さて、ペデロさん。それにザックさん。ついでに奴隷商の方も」
「は、ははい? な、んでしょうか?」
「あまりにも用意周到、あまりにも整った状況。本当の目的はなんでしょうか」
「む? な、なんのことでしょうか……」
「ふむ……ペデロさんではないようですね。では……」
「…………」
「終始浮かない顔をされていらっしゃるザックさんでしょうか?」
「……何のことだ?」
「覚えていますよ。マリンさんの足が治り、奴隷としての価値が上がったとき。あなたは非常に残念そうにしていた」
「……そんなことはない」
「加えて、そもそもがおかしい。石化のような魔法由来の呪いは一般的な神官でも治療が可能。そう、すぐに対処すれば」
「……それは……」
「どうして1週間も放っておいたのですか? そこまで経てばさすがに難しくなる。今回のように」
「ま、間に合わなくて……ダンジョンから帰還したのがつい最近で!」
「そうですか、そうですか。くっくっくっ」
「くぅっ……!」
「くっくっくっ。警戒なさらなくて結構ですよ。私はただ知りたいだけです。あなた方の本当の目的を」
「…………」
「まあ、内容によっては――もし我々聖イルミナス教会に立てつくようなことであれば話は違いますがね」
「ち、違う! そんな大それたことじゃない!」
「聞きましょう」
「……ちっ! 本当は……本当はアイリンのやつも奴隷に落としたかった。それだけだ」
「な、なんだと!? お前……奴隷に落とすのはマリンだけって話だっただろう! 奇跡のおこぼれに預かってマリンの足が治るはず、それで金は十分だろうって!」
「んな都合よくいく訳なかったんだよ! 何でついでに治療されちまうんだ……」
「そんな……全てお前の言った通りだと……」
「うるせぇな! そもそもお前がちゃんと働いてればアイリンだって俺と付き合ってくれたハズなんだ! こんな回りくどいことせずともなぁ!」
「くっくっくっ。内輪揉めはこの後ごゆっくりしていただければ。つまり話をまとめると……」
「…………」
「ザックさんは好意を寄せていたアイリンさんをどうしても手に入れたく、ダンジョンで故意に石化させ、その治療の借金で奴隷に落とし、ご自身でアイリン様を買い戻すつもりだった、こういうことですかな」
「…………その通りだ」
「結構、結構。大いにわかりますよ、ザック殿。恋というものがもたらす熱は、時に人を狂わせる。私にも似たような経験がございますれば」
「そ、そうでしょうとも! わかっていただけましたか!」
「もちろん。ですが……くっくっくっ」
「な――何だお前らは!? 急に入ってきやがって!」
「神官兵ですね。此度の任務は、“故意に人を傷つける及びそれに準じる行為”を犯した罪人を捕まえるためですねぇ」
「なっ!? 貴様ッ! 謀ったな!?」
「はい」
「くっ! くそっ放せっ! 俺は……俺はアイリンと結ばれるために……!」
「…………」
「…………」
「……さて、残るお2人さん。これにて一件落着、そうですね?」
「……は、はいぃぃ!」
「ももも、もちろんでございますとも!」
「くっくっく……よきかな、よきかな!」
誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!
★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!
よろしくお願いします!




