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ファンタジア・サイエンス・イノベーション〜第10王子:異世界下剋上の道を選ぶ〜  作者: 国士無双
第一部 【序論】転生王子、異世界研究の道を歩む
28/110

<第一部番外編>ザダ校合格発表 ※アンズちゃん視点

【※注意】アンズちゃん視点です。

 アダムが遠くに引っ越してから、5年後。

 

 15歳になった私はザダ校を受験した。ずっとC判定だったので、受かってるか半々ぐらい。

 

(でも正直言って、自信がないや……)

 

 今日はその合格発表日――お母さんと一緒に、合格掲示板を見にザダ校の門をくぐって体育館に入る。

 

 目の前には人だかりができていた。案内人から、「受けた本人だけ掲示板のところまで入れます」と指示を受けた。


「お母さん……。一人で見に行くの怖いけど、行ってくるね……」

「大丈夫よ、アンズなら受かってる! 行っておいで」


 冬ということもあり、元々寒い環境である上に、これから発表を見ないといけないんだという緊張感でブルブル体が震えてしまう。でも覚悟を決めないと――そう思い、まず受験票を見る。


 私の番号は73番。


 見るのが怖いけど、次は掲示板に書かれている番号を追っていく――68、69、71、72……そして73。

 

 驚いたことに……私の受験番号が書かれてあった。

 

 私、受かったんだ!


 思わず「やったあああ!」と腕を勢いよく上げる。すると私の腕が隣にいた子の手に当たってしまい、その子が手に持っていた受験票が私の足元に落ちてしまった。


「あっ! ごめんなさい、つい嬉しくて……」とまず一言謝って、受験票を渡そうと思っていたけど、その受験票に『アダム・クローナル』と名前が記載されていた。


「えっ……アダムの名前だ!」


 受験票を渡す前につい名前を言ってしまう――だってアダムのフルネームだったから。

 

 でも目の前にいたのはアダムではなかった。その男の子は「大丈夫? 怪我してない?」と優しい表情で私に声をかける。彼はアダムと同じ黒髪だが、髪質は天然パーマではなく、ツヤがあってサラサラしていた。しかも、色白の肌に透き通った青い瞳をした美少年で、まるで白馬の王子様のようだった。

 彼の顔をじっくり見てみると、怒らなさそうで、かつ穏やかそうな雰囲気をしていたため、ついアダムのことを聞いてみることにした。


「ありがとう! むしろごめんなさい……。アダムのことを知ってるの?」

「謝らないで! 試験受かったんだよね? おめでとう。ぼくの名前はサラ。アダムさんとは友達で、お(となり)さんなんだ。ぼくたちも試験に受かったんだ。ぜひよろしくね」


 なんと私が話した相手はアダムが新天地で仲良くなったお友達らしい。自己紹介していなかったと思い、すぐ返事をする。


「あっ、私はアンズ。サラ、よろしくね!」

「よろしく! あぁ……君がアンズちゃんなんだね!」


 なぜか彼は私の名前を知っていた。


「なんで私の名前を知ってるの?」

「えっと……アダムさんは、アンズちゃんが書いた手紙を今も大切に持ってるよ」


 手紙――それは10歳の時、アダムと別れるのが(さび)しくて書いたものだった。アダムが大切に持っていてくれてるなんて……思わず顔を真っ赤にしてしまう。サラにも「すごく素敵(ステキ)だったよ」と言われて、私は恥ずかしさでいっぱいになる。


「アダムさんもアンズちゃんに会いたいと思ってるよ! 本当は今日会えたら良かったんだけど……風邪を引いて熱を出してしまったんだ。それでぼくがアダムさんの分も見てたんだよ。でもこんなに大勢(おおぜい)いる中で、アンズちゃんに会えて良かったよ。また入学式で会おうね!」

「うん! ありがとう! また会おうねー!」


 サラにバイバイと別れを告げた後、私はお母さんのところに向かった。お母さんに「受かったよ!」と報告したところ、大喜びしてくれた。ちなみにアダムも受かったって、アダムのお友達から聞いたことも伝えたところ、「これからの学校生活、楽しみね」と微笑(ほほえ)んでくれた。

 

 その日の夜は、両親と三人でステーキハウスに行ったけど、お父さんが「アンズ……よく頑張ったね。(りょう)だから離れ離れになるの(さび)しいけど……。変な男には気をつけてね!」と涙顔になっていた。お母さんは「大丈夫、アダム様がいるから」とお父さんを励ましていた。


 私はとにかく1日でも早くアダムに会いたくて、毎日カレンダーをめくりながら入学式を心待ちにしていた。その間、残りの日々を家族と仲良く過ごしていた。

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