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カルタの動揺

よろしくお願いします

 祠を出ると辺りは先ほどよりも薄暗くなり木々の隙間から見える空は赤みを浴び始めていた。


「もしかして、もう夕方。」


祠にいた時間はほんの数十数分だと思っていたが、あまりの時間の代わりように驚きを隠せないでいた。


「お姉様。」


アリアちゃんは私の手を引いて震えている。


「とりあえず帰ろうか。」


私は元来た道を引き返して屋敷へ戻った。


 抜け道を抜けて庭に着くと西の空に太陽は沈みかけていて屋敷の窓には灯りが灯る。庭を出て屋敷に入るとメイドのお姉さんが私達を見つけて大急ぎで駆け寄って来た。


「アンナ様、アリア様。こんな時間までどこにいらしたのですか。」


心配そうにお姉さんは私達に言った。


「ごめんなさい、ちょっと庭で遊んでたんです。」


流石に屋敷の外に出てたなんて言えないので私は言葉を濁した。

「とにかく無事で良かったです。カルタ様もアンナ様がいらっしゃらなかったので酷く取り乱していらしたので。」


「アンナ様。」


廊下の奥からカルタさんが走って私を抱きしめた。


「ご無事でよかった。アンナ様がいなくなってしまったら私は。」


「ごめんなさい。」


カルタさんは私に怪我がないか確認すると隣のアリアちゃんを睨みつけた。


「この悪魔が。アンナ様をどうするつもりだった。」


「ご、ごめんなさい。」


「待ってください。アリアちゃんは何にも悪くありません。私が、無理を言って外に出たんです。」


思わず外に出てしまった事を口走るとカルタさんは鬼のような形相で私を見る。


「少しお話をする必要がありそうですね。こちらにいらして下さい。」


カルタさんはアリアちゃんをメイドのお姉さんに任せると私を近くの部屋に入れて椅子に座らせた。


「あなたはカラス家のご令嬢なのですよ。無闇に外に出るなんてあってはならない事です。どうやって外に出たかは知りませんが、今後一切外に出てはいけません。」


「すいませんでした。」


「それにあれが持っていた剣は一体どうしたんです。どこで見つけました。」


「剣?」


私は思わず聞き返してしまった。


「あの髪飾りの事です。祠から出たら剣が髪飾りに変わったのでしょう。」


確かにカルタさんの言うとおり、アリアちゃんが抜いた剣は祠から出ると青い宝石の髪飾りになってしまったのだ。あれは知らない人から見ると絶対に普通の髪飾りにしか見えないのにどうしてカルタさんは剣だと分かったのだろう。


「答えて下さい。あの剣を引き抜いたのですか。」


「確かにアリアちゃんが剣を引き抜きました。」


「あの悪魔。どうして今更、そんな事をしたのだ。大奥様の命を奪っただけでなく、剣まで引き抜くとは。」


カルタさんは独り言を呟くと私の方を向き直した。


「アンナ様、あれを離れに監禁します。もう2度と顔を合わせる事はないでしょう。」


「言ってる意味が分かりません。おばあ様の事はまだしもどうして、祠の剣を引き抜いただけでアリアちゃんがカルタさんに恨まれるんですか。それにどうして、カルタさんは剣の事を知っているんですか。」


「もうこの話は終わりです。アンナ様は当分の間外に部屋から出る事を禁じます。それともうあれの話はしないでいただきたい。」


カルタさんはそう言うと私を自室に押し込んで鍵をかけてしまった。


 何がどうなっているのだろうか。おばあ様の件は分かるが、カルタさんが剣を抜いただけでアリアちゃんを憎む理由が分からない。そもそも、どうしてカルタさんはあの髪飾りがその剣だと分かったのだろう。頭でぐるぐる考えても全くその答えは出ないが、それよりもアリアちゃんの事が私はひどく今気掛かりになっていた。


 部屋の中の時計を見ると10時を過ぎていた。考え事をしていると時間は本当にあっという間に過ぎて行き、アリアちゃんの命の灯火が後僅かに残されているような気がしてならなかった。


 カルタさんはアリアちゃんを今まで以上に憎んでいる。離れに閉じ込めるのも殺す為ではないかと最悪な考えが浮かぶ。


「どうするべきか。」


扉を魔法で壊そうと考えたが、カルタさん以外の人達にこれ以上迷惑をかけるのも気が引ける。


 私は考えた結果、一か八かルーラを唱える事にした。実際ルーラは一度行った街や村に行く為の魔法で特定の人の場所に行けるだろうか。


 私は一か八かアリアちゃんのいる場所を思い浮かべてルーラを唱えた。


 目を開けると暗い埃っぽい部屋にやって来た。


「お姉様。」


明かりのついたランプを持ったアリアちゃんが驚いた顔をしている。


「アリアちゃん大丈夫ですか?」


「私は大丈夫です。カルタさんにここに連れて来られて、怖い顔で睨まれました。」


「怖かったですね。」


私はアリアちゃんを抱きしめていると何者かが廊下の床を軋ませながらこちらへ向かって来ていた。


「アリアちゃん、ベットの下に隠れて。」


私は小声でアリアちゃん言うとアリアちゃんをベッドの下に入れて私はアリアちゃんになりすましてベッドに潜った。

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