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謎の襲撃事件

書いていると楽しいです。

 駆け足で庭に行くと木の下でアリアちゃんは誰にも見つからないようにうずくまっていた。


「アリアちゃん、大丈夫ですか。」


私は未だに震えているアリアちゃんに声をかけた。


「アンナ様。」


アリアちゃんは私に抱きついて大粒の涙をこぼし始めた。


「来てくれないかと思い、ました。アンナ様も私を嫌ってしまったかと。」


「嫌いませんよ。アリアちゃんを嫌う理由なんてないです。何があっても私がアリアちゃんを守ります。」


「本当、ですか。」


アリアちゃんはお人形のようにクリクリした目で私を見る。


「もちろんです。あと、私達はお母様が違うけど血の繋がった姉妹だから、出来ればお姉様って言ってくれると嬉しいです。」


「お姉様。」


「やっぱり嫌ですか。」


「そんな事ないです。私、お姉様の妹になれてすごく嬉しいです。」


アリアちゃんはここに来て初めて笑ってくれた。その笑顔は本当に可愛らしくてにやけてしまう。


「よし、気を取り直して魔法の勉強をしましょうか。昨日の復習から始めますね。」


「はい、お姉様。」


アリアちゃんはまたニコッと笑うとメラの呪文を唱えた。


 その日の夜は私のベッドにアリアちゃんと潜った。アリアちゃんは今まで以上に私に懐いてどこへ行くにも一緒について来るようになっていた。今夜も1人じゃ寂しいからと一緒に寝てほしいとせがんできたのだ。


「お姉様のベットはあったかいです。」


「狭くないですか。」


「そんな事ないです。お姉様と一緒に寝られて幸せです。いつもご飯も寝るのも1人だったので寂しくなくなりました。」


アリアちゃんは天使のような声で私に言った。


「もう遅いし、寝ましょうか。」


私はベッドから出ると部屋の明かりを消し始める。


 昼間の事があり、カルタさんとは軋轢が出来てしまった。毎晩、私を寝かしつける為に来ていたが来ていないのだ。こうなる事は覚悟の上だったが、実際に起きてしまうと胸が苦しい。けど、子供をいじめるなんてあってはならない事だ。


「お姉様。」


明かりを消し終えた私をアリアちゃんが心細げに呼んでいる。


「今行きますね。」


これ以上カルタさんからの嫌がらせがエスカレートする場合は本気で屋敷を出る事を考えなくてはならないなと思いながら、ベッドに潜るとアリアちゃんと一緒に目を閉じた。 


 翌日、まだ夜も明けない時分にメイドのお姉さんの声らしき悲鳴が屋敷中に響いた。


 その声に私もアリアちゃんも目が覚めて何事かと目を合わせる。


「何でしょうか。」


アリアちゃんは不安そうに私を見る。


「ちょっと見て来ますね。」


賊が魔物が来たのかと考えベットから出ようとするとアリアちゃんが私の腕を掴んだ。


「お姉様、行かないで。」


「心配いりません。少し様子を見に行きます。アリアちゃんはここで待っていて下さい。」


私はアリアちゃんの腕を離すと部屋を出た。


 悲鳴が聞こえた一階の客間の前に着くとネグリジェ姿のお姉さんが床で腰を抜かしていた。


「どうしたんですか。」


「ア、アンナ様。アリア様のお部屋に黒い魔物が。」


メイドのお姉さんは部屋を指さした。


 私は恐る恐る部屋の中に入った。


 日が少しずつ東の空から登り始めてはいるが、中は暗い。私は魔法の授業の時にライオス先生が使っていたメラの弱いバージョンを出して部屋を見ると中はひどく荒らされていた。特にベッドの辺りの荒らされようは他の比ではなく明らかに悪意を持ってやっている事が伺える。


「犯人はこの窓から出たのか。」


私は割れた窓に手を伸ばすと誰かに腕を掴まれた。


「いけません。怪我でもしたらどうするのですか。」


後ろを振り向くとしゃんとしたカルタさんがいた。


「カルタさん、これは一体。」


「魔物の仕業でしょうね。見た所、あれの姿はないようですが。」


「アリアちゃんなら、昨晩から私と一緒にいました。一緒のベッドに寝ててメイドさんの声で目が覚めました。」


「なるほど。そうすると、これはあれを狙ったものになるのでしょうか。あれは魔物にも憎まれているのですね。」


カルタさんは明らかにアリアちゃんが寝ている事を想定して襲った痕跡を一瞥して言った。


「アリアちゃんは何にも悪くありません。何があっても私がアリアちゃんを守ります。」


私は不愉快そうに眉を顰めるカルタさんにそう言い放つと部屋に残したアリアちゃんの元へ戻った。


 部屋に帰るとアリアちゃんは私を見るなり抱きついて来た。


「お姉様。心細かった。」


「ごめんなさい。もう大丈夫ですからね。」


「何があったの。」


「うん、ちょっとね。」


私はアリアちゃんに部屋が襲撃された事を伝えた。


「そんな事が。」


「でも、大丈夫です。アリアちゃんは私が絶対に守ります。」


私はアリアちゃんの手を握ると笑顔で言った。


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