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マタタビ戦記  作者: 海星
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初戦闘

 森に入って行く。

 目的はいくつがある。

 ①服もしくは服になるものを手に入れる。

 ②食事になるものを狩る。

 ③寝床になりそうなところを探す。

 ④どの程度闘えるのか確かめてみる。


 どの程度の危険があるかわからないからあんまり森の奥までは入らない。

 とりあえず街道沿いを探索する。

 あんまり街道を通る人達に素っ裸のこの姿を見られたくないけど、この際しょうがない。


 街道沿いに足跡がある。

 結構新しい足跡だ。

 靴の跡か?

 靴、という事は人が街道を通ったのか?

 徒歩で?

 だってそうだろう?

 馬車で通ったのだったら足跡が残る訳がない。

 考えられる可能性は三つ。

 ①この足跡はここら辺を本拠地にしている山賊だ。

 ②この足跡は人ではない。

  人型のモンスターだ。

 ③この森の街道沿いに人の集落がある。


 集落があったとして、僕に友好的だとは思えない。

 連中からしてみたら僕は"謎の裸族"だ。

 僕なら先手必勝で襲いかかる。


 僕は足跡の行く先を追う。

 裸足というのもあるが、猫人族は足音が一切たたないらしい。

 足跡を追っていると、そこにいたのはゴブリンの群れだった。

 一足遅かった。

 街道を通っていた商隊はすでにゴブリンの餌食になっていた。

 弱肉強食は世の常だ。

 『弱いから餌食になった』そう思わなきゃいけない。

 ・・・そう割り切らなきゃいけない。

 だがゴブリンが人間をいたぶって殺した形跡だけは我慢ならない。

 初めてのモンスターとの闘いだ。

 恐怖で動けなくなっていてもおかしくない。

 でも怒りが恐怖を上回った。

 遊び半分で人の命を(もてあそ)ぶモンスターを放置したくない。

 幌馬車が横倒しになっている。

 馬は倒れた時に足を折って泡を吹いていてもう助からないだろう。

 商隊の人達はいたぶられ殺されている。

 護衛はついていなかったんだろうか?

 とにかく商隊の人達の仇は取ろう。


 ゴブリン達は一心不乱に商隊の人達が持っていた携帯食にがっついている。

 ゴブリンは全部で五匹だろうか?

 今がチャンスだ。

 食べ物に夢中のゴブリンであれば、後ろから一匹は殺れる。

 僕は静かに爪を伸ばす。

 僕は食事中のゴブリンの後ろから忍び寄り、二匹のゴブリンの首に爪を立てた。

 ヒット&アウェイ、僕はゴブリンに爪を立てた後、倒れている幌馬車の影に隠れる。

 首に爪を立てたゴブリン二匹は微動だにしない。

 僕の攻撃はゴブリンには通用しない・・・と思ったら一拍遅れてゴブリン二匹の首が地面に転がる。

 不思議そうに首のなくなったゴブリンを生き残りのゴブリン達が見る。

 ゴブリンは僕の世界のゲームの常識と同じで知能が極めて低い。

 仲間が殺された事を理解出来ていないようだ。

 コレは願ってもないチャンスだ。

 もう一度ゴブリンの後ろから忍び寄る。

 しかし何度も同じ戦法が通用する訳がない。

 今回は振り返ったゴブリンと目が合う。

 気まずい。

 ゴブリンはフリーズしている。

 『この女、なんで裸なの?』といったところか?

 僕はフリーズしているゴブリンの首を爪ではねる。

 残るゴブリンは二匹。

 もう不意打ち戦法は通用しない。

 だってもうこちらに気付いて戦闘態勢に入っているから。

 ゴブリンが粗末な短剣を僕に向かって振り下ろしてくる。

 僕は短剣を伸ばした爪で受けとめる。

 爪が刃物になるんだから、ある程度の硬さはあるよね。

 粗末な短剣くらいなら受け止められるんじゃないかな?

 受け止められないと困る。

 こちらは盾どころか防具すらない。

 爪以外に相手の攻撃を受け止める術はない。

 「爪が折れたらどうしよう?」と少し思ったが、折れたのはゴブリンの持っていた粗末な短剣の方だった。

 ゴブリンは不思議そうな顔をして折れた短剣を見ている。

 本当にゴブリンは知能が低いようだ。

 戦闘中にそんな態度をとったらどうなるかわかりそうなモノだが。

 僕が首をはねたゴブリンは首をはねられても不思議そうな顔をしていた。

 残りのゴブリンは一匹。

 ゴブリンは一目散に逃げ出そうとした。

 しかしそれは悪手だ。

 目の前の相手の前で背中を見せたらどうなるか?

 僕は目の前で背中を向けたゴブリンの背中を両手の爪でクロスに引き裂いた。

 どの程度闘えるのか確かめたかったが、ほとんどゴブリンのアホさ加減に助けられたようなものだ。

 だが、音と気配を消して敵の背中から近付く事はこれからも出来そうだ。

 こうして異世界ではじめての戦闘が終了した。

 戦闘の結果どうなったんだろう?

 強くなったのかな?

 ステータスとか見れれば良いんだけど。

 「ステータスオープン」

 何げなく言ってみる。

 ステータスウィンドウは開かない。

 そりゃそうだ。

 でもこういう時って空中にステータスウィンドウが浮かぶもんじゃないの?

 まあ、いいや。

 商隊の人々を埋葬する。

 死んだ商人達の首からかけているプレートだけ持っておく。

 遺族に合う事があったら、プレートが遺品になりそうだからだ。

 商人達が持っていた物で使えそうなモノは有効活用させてもらおう。

 商品の中に女性用の下着と布の服と布の靴があった。

 これで裸族は卒業だ。

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