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MDvsKFC闘争勃発3

『ピッチャー、ドナルド=マクドナルド』

 鴬嬢の麗しき声と共に、巨大な液晶スクリーンに映し出された黄色いユニフォーム姿の、赤いアフロ頭の白塗り青年。

 ボールを前に突き出して、爽やかな笑顔でキメめているではないか。


 とある市街地。

 戦場と成り果てていた。

「戦車隊、前えーー!」

 隊長の叫びと共に、市街地迷彩のメルカバがキャタピラーを鳴らしながら、多数駆け抜けてゆく。

「全弾射撃用ーー意っ! あの糞道化師を、ぶっ殺してやれ!!―――発射ああぁぁーーっ!!」

 そして、合図と同時に轟音をあげて砲弾が発射されていった。その弾頭が迫る先には、黄色いユニフォームの赤いアフロ頭が。

 ドナルド、大きく振りかぶって、投げました。

「ふぅっ!」

 道化師から放たれた白い球が、鋭い直線を描いて一台のメルカバを貫いたその瞬間に、赤黒い蕾がその車体を押し上げて膨らんだかと思ったら、次は唸りをあげて四散したのだ。それを確認したドナルドは、ピョンピョンと跳ねながら手を交互に上げて喜んでいく。

「やった。イェイ、イェイ、やった!」


 ドナルドの勢いは止まることを知らずに、その力は増していっている。

 次々とピッチングされてゆく球は、数々の戦車を破壊して、街の道路に悪性の腫瘍のような爆煙を形成していった。立ち上がる炎の柱。

「こっちの方がいいかな?」

 ド真ん中ストライク。

 戦車の爆音は悲鳴にも聞こえた。

「これかあ?」

 お次は、腕をグルグルと回してから、自身の後方へと投擲。そして、遠くで響く兵士たちと兵器の爆音。嬉々として、次々に軍隊を破壊尽くしてゆく白塗りの青年。彼には慈悲の“ひとかけら”もないのか。

 やがて、ドナルドの破壊活動が追い付かなくなる程に戦車の数が勝ってきたその瞬間だった。


 ドナルド・マジック!!


 両手の人差し指を軍隊へと向けた時に、巨大なキノコ雲が立ち上がったのだ。その色は白く濁り、不快感を催した。遅れて聞こえてくる破壊の音。同時に市街地全体が揺れ動いたのだ。

 カーネルサンダースの指揮下で動いていた地上部隊は、文字通り全滅した。


「ドナルド、嬉しくなると、つーいやっちゃうんだ」



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