テレッテッテッテ~~♪
「おい、兄ちゃんよ」
スキンヘッドから呼び止められて、赤いアフロが振り返った。その顔は、白塗りの道化師化粧。にっこりと笑みをたたえている。スキンヘッドが更に話しを繋げてゆく。
「てめぇが近頃デカい顔してこの街を歩いてるっていうドナルドかい」
「もちろんさ」
爽やかに肯定。
すると、ドナルドは背後を二人の男に取られた。顎髭の長い男がニヤリとしてガラ声を背中に投げる。
「ドナルドよー。俺たちの島を土足で歩きまわってタダで済むと思っちゃないよなぁ」
「もちろんさ」
解っているのか、いないのか。爽やか百点満点の返事。その直後に赤アフロはゴリラみたいな大男から羽交い締めにされて、ちょっと驚いた。
「あーらっ!」
パキパキと指を鳴らしたのちに、スキンヘッドと顎髭が黄色い繋ぎ服のドテッ腹へと拳を同時に差し込んだ。そして、交互に白塗りの頬を殴りつける。スキンヘッドの足は鼻柱を砕き、顎髭の足は下腹部に突き刺さった。最後は、ゴリラから止めの拳のハンマーで後頭部にお見舞い。膝から力無く倒れてゆくドナルド。うつ伏せになり、背中をさらけ出す。と、そこへ、スキンヘッドのナイフ炸裂。
「あーらっ!」延髄に貫通。
路地裏には、ドナルドの亡骸がアスファルトとキスしていた姿だけだった。
『復活の呪文を唱えてください』
テレッテッテッテ〜〜
どこからともなく携帯電話の着信音が鳴り終わったかと思った瞬間。
ドナルドは立ち上がっていたのだ。
「ドナルド、嬉しいなぁー。みんなはドナルドのことが好きだなんて。ドナルドもみんなのことが、だーい好きなぁんだ」