家庭教師だよ! ドナルド!
「やあ、ドナルドだよ」
「あら、これはいらっしゃい。ドナルド先生」
赤アフロ頭の青年の顔を確認した妙齢の女が、二階の息子へと呼びかけた。
「たかしー。ドナルド先生がおみえになったわよー」
「はーい」
返事と同時に、白塗り顔の男に向き直る。
「ドナルド先生、いつも息子をありがとうございます」
本当に感謝していたらしく、頭を下げる。
「もちろんさ」
「……」
爽やかすぎて、引っかかる。
「ドナルドは今、たかし君に夢中なんだ」
更に真っ直ぐな答え。
赤アフロ頭に対し直感的に怪しさを覚えつつも、会話を続ける。
「そうですか。そんなにもむちゅ」
「大好きなんだ」
「……」
思わず目線を外した。
手のひらに汗が噴いてくる。
母親の笑顔も固くなってきた。
対してドナルドはというと、爽やかな笑顔。
「ドナルド先生ー」
たかし君が二階から下りて来るなり、白塗り顔の青年を発見して声をかける。
ホッとする母親だった。
そして、ドナルドを促す。
「お待たせしましてすみません。ささ、お上がりください」
「もちろんさ」爽やか百点。
青年は、たかし君を見て
「ドナルドは、たかし君とお話しするのが大好きなんだ。たかし君。ドナルドともっとお話ししようね」
「はい。ドナルド先生」
たかし君は青年を見上げて元気よく答えた。
微笑んでいたドナルドが頷くと、はっきりとこう云ったのだ。
「んー。や《殺》っちゃうよ」
らんらん るー。ってなーに?
「今度、ドナルドのお家に来るといいよ」