最高裁だよ!ドナルド
とある最高裁の建物から、無罪と書かれた紙を掲げて紺のスーツ姿の青年が走り出てきた。これは、過去に長崎市新大工商店街にあったモスバーガーが潰れた際に、おきた市内の殺人事件で、倒産した腹いせに支店長が殺人を犯したとされたまま捕まったそうである。同時現場で死んでいたのは、マクドナルドの店員。そして、指紋や汗などの物証があった為に、あれよあれよとモスバーガー支店長が逮捕された。
その長きに渡る冤罪による苦痛の日々が過ぎて、周り(支援する会など)の協力のもと、晴れて最高裁で無罪が確定となったのだ。泣ける話しではないか。
マスコミ各社が興奮する中で、その悲劇の人こと支店長が両腕を大きく広げて、建物から現れてきた。
ターーン
その瞬間。
一発の銃声とともに、支店長は両腕を広げたまま天を仰いで膝から落ちたのだ。眉間から貫かれて、即死。沈黙ののちに騒ぎ立つ報道陣。
後から聴いた警察の話しによると、事件同時に最高裁から離れた向かいの建物の屋上で、黒くて長い物を腹這いで構えていた、赤いアフロ頭の白塗りの道化師がいたという。繋ぎ服らしき色は、袖の無い黄色。なにかと赤くて大きい靴も履いていたらしい。
「ドナルドは嬉しくなると、つーいやっちゃうんだ。みんなも一緒にやってみようよ。……いくよ。―――ランラン、ルー」
事件は迷宮入りである。
「ひゃっはっはっはっはっはっは!!」