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確定申告だよドナルド!


 各ファーストフード店にも、確定申告の時期がやってきた。都内にある税務署の待合室のソファーに、赤いアフロ頭の道化師が脚を組んで座っている。しかも、余裕を放って。

『ドナルド=マクドナルドさん。一番の、受付までお越しください』

「もちろんさ」

 アナウンスで呼ばれたので、腰を上げて、署内を黄色い繋ぎ服姿の青年はゆく。


 そして一番の受付カウンターには、凛とした美しき女職員が。眼前に立つ道化師から提出された数々の書類に改めて目を通していきながら、女職員は縁無し眼鏡を指先で正すと、静かに口を開いた。

「ドナルド=マクドナルドさん、いつも欠かさず確定申告をしていただき、ありがとうございます」

「もちろんさ」爽やか満点。

「…………」

 数秒の沈黙ののちに、ドナルドへと再び切り出す。

「あのーー。前々から、わたくしが個人的に気になっていたのですが。……ドナルドさん、従業員の方々へとお支払いされる給料についてなんですよ」

「気になるよね」

「ええ、まあ。―――わたくしが気になるのはですね。そのー、ボーナスについてなのですが。あなた御自身がなにをなされているのか、お分かりですよね……?」

 その書類のとある欄に目を向けて、またドナルドへと戻したあとに尋ねた。すると、この道化師は爽やか百点満点で答えたのだ。

「もちろんさ」

「“何を”お支払いされているのか、ちゃんと解っていますよね」

「もちろんさ」

「では、確認のために直にお聞き致します。―――各従業員へとお支払いされるボーナスは、いったい“何”ですか?」

「ハンバーガーが、四個分」

「ふざけるなっ! こんなんで従業員が納得してるとでも思ってんのか!」

「んーーっ…………」

「てめぇ、考え込むほどでもねーだろーが! 汗水流して休み返上して働いている従業員に、頑張ったね、と差し出した報酬がハンバーガー四個分だと!? いったい何様のつもりだよ!!」


 ターーン


 その時。

 先ほどまで、噴火した怒りをドナルドへとぶつけまくっていた女職員が、突然として乾いた音とともに糸を切られた操り人形のごとくカウンターの机に突っ伏したのだ。そして、その前でM4を構えていたドナルドが。銃を掲げたのちに、あいた腕で力こぶを作るポーズを数回繰り返した。

「朝から晩まで元気いっぱい働いて、もーりもり!」




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