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介護施設だよ。ドナルド。
かの有名なマックの手先です。あと、白ずくめの老紳士も出てきます。
車椅子の老婆を押しながら、赤いアフロ頭の鼻歌を奏でていた。
後ろから優しく押してくれる白塗りの若者に、話しかける。
「ドナルドさんや」
「なんだい」実に爽やか。
「いつもすまないねえ〜」
「もちろんさ」
迷い無き速答に、老婆がしばしの沈黙。
気を取り直して会話再開。
「この病院は好きかい?」
「大好きさ」端切れ良い声。
「そりゃあー、良かった。アタシも好きだよ。院長先生は良いひ」
「もっと好きさ」
云い終わることなく次の言葉が被さった。
「……。そ、そんなにも好きかい?」
「殺っちゃうくらいに好きさ」
爽やかな声が病院の庭に響き渡った。
ドナルドは撃たれても死なないって、本当なの?
「本当さ」