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1日目

矢田義と1週間会い続ける約束をした1日目。

昨日と同じくらいの時間に家を出た。



何度歩いたか覚えていないような道を歩く。

いつもとなんら変わらないはずの道なのになぜか今日は少しだけ緊張してしまっている。

なぜだろう?



そして待ち合わせ場所の書店前についた。

いつも同じ場所でつまらなくないのか?と聞かれても俺たちはこの場所しか知らないのだ。

今更新しい場所を見つけてそこにしようなんて思わない。



まだ矢田義は来ていなかった。

スマートフォンをポケットから取り出し意味もなくいじる。

そんなことを数分間続けていると横から影が伸びてきて俺の顔に被さった。


「すいません。待ちましたか?」


そう言って少しだけ微笑んでいるのは矢田義だった。

矢田義の容姿は・・・ボサボサの髪に猫背の背中、オマケにデカい黒縁メガネまでセットだ。

髪の毛はまだしも、猫背とメガネは直ぐに改善出来るだろう。


「・・・猫背、メガネ」


俺は矢田義の目を真っ直ぐに見据えながらそう言った。


「ちょ、ちょっと!女の子に会って第一声がそれですか!」


俺に見つめられた矢田義は目を逸らしながらそう言った。


「あ、目も逸らした」


「・・・そんなこと言うなら須羅浜君も昨日私が言ったこと全然出来てないじゃないですか!」


矢田義が昨日言ったこと?


「・・・なんだっけ?」


「会ったらまず服を褒める、です!」


あぁ・・・確かにそんなこと言ってたな。


「でもお前、昨日と服装一緒じゃん」


「須羅浜君・・・ほんとに言ってるんですか?」


矢田義が呆れたようにそう言った。

呆れられても昨日と同じ服を見せられてもこっちが困るんだが・・・



分かっていない様子の俺を見かねたのか矢田義が口を開く。


「はぁ、よく見てください。髪飾りが昨日と違います」


「そんなもん気づくか!」


即座にそう言ってしまった。

そんなの気づくわけないだろ!いい加減にしろ!


「こんなのまだまだ序の口です。こんなことで音を上げていたら復讐なんて夢のまた夢ですよ?」


クッソこいつ!言いたい放題言いやがって!


「なら俺も言わせてもらうがなんでコンタクトに変えてこなかったんだ?メガネなら外すだけで済むだろ?」


矢田義がうっ、とした表情をした。


「し、しょうがないじゃないですか!メガネを外すと人の目線が気になるんですから!」


俺は分かりやすくため息をついてた煽るように言葉を吐き出す。


「はぁ、ほんとにそんなことで1週間後変われてるのかよ」


「・・・須羅浜君だって━━━!」


「矢田義も━━━!」


書店の前で人目も気にせず俺たちはギャーギャーと言い争った。

少しして


「おい、矢田義」


「なんですか、須羅浜君」


「こんな不毛な争いはやめよう」


「・・・そうですね」


ようやく正気に戻った俺たちは目的地など無いが歩き出した。


「昨日も言ったがその服装、似合ってるぞ」


「お、いいですね!女の子はそんな言葉でも嬉しいもんなのです!」


そう言った矢田義の姿勢は背中がピンと伸びており印象がガラリと変わっていた。


「どうですか?姿勢いいでしょう?」


そんな俺の視線に気づいたのか矢田義が少し自慢げにそう言ってきた。


「あぁ、いい感じだ。だがそれを続けないといけないぞ?」


「何気に背中を伸ばしたままにしてるとキツイんですよね・・・」


「それを1週間の内で自然にできるようになろうな」


「はい!須羅浜君も小さな変化を少しも逃さないようにしてくださいね!」


俺たちはそんな会話をしながら歩いた。



1日目はそんなふうに話しながら街を歩き、矢田義が猫背に戻って居たら途中で俺が注意したり、矢田義がトイレに行って帰ってきた時に髪飾りが変わっていてそれを見抜けなかった俺が怒られたりと、そんな感じで終わった。



その後は俺が矢田義を家まで送り届けてから自分の家に帰った。



家に着いた俺は今日1日を思い返しながら、なんかこういうのっていいななんて思った。

おや?須羅浜君の様子が・・・?

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― 新着の感想 ―
[一言] 髪はともかく「眼鏡をコンタクトに変えろ(キリッ)」はコイツのアドバイスがいにしえのギャルゲーレベル(眼鏡を外すと美少女で周囲びっくり)でほぼ参考にならんことを如実に示しとるな。ダサ眼鏡をして…
[一言] とりあえず、矢田義は背筋を鍛えよう
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