2人の決意
お互いの頼み事を確認しあった後、俺たちは世間話をしていた。
「須羅浜君」
「ん?なんだ?」
矢田義が俺の名前を呼んでくる。
「その、小説好きなんですか?」
先程買ったばかりで袋に包まれている小説を見ながら矢田義がそう問いかけてくる。
「あぁ、小説を読んでいる時だけ自分の惨めさを忘れられるからな」
「え、っと」
「あ、悪い」
「謝らないでください」
矢田義を困らせるつもりはなかったのだが、結果的にそうなってしまった。
「でも本当に小説は好きだぞ?特に今持ってるこの小説とかな」
「あ、私もそのシリーズが1番好きです」
「ほんとか?」
偶然にも同じ趣味を持っていた俺と矢田義は意気投合して本のことについて語り合った。
しばらくしてファミレスの壁にかけられている時計を見る。
昼過ぎに家を出たというのにもう時計の針は6時を指していた。
夏と言えど、外もかなり暗くなっていた。
「もうこんな時間か」
「え?あっ!ほんとだ!全然気づかなかった・・・」
どうやら矢田義とはかなり気が合うらしい。
話していて時間がとても早く過ぎてしまった。
俺たちは会計を済ませて外に出た
「暗くなってきたな。家どこだ?送るぞ?」
流石にこの薄暗いなか女の子を1人で返すほど俺は男として終わっていない。
「え、でも迷惑ですし・・・」
「気にしなくていいぞ?」
「・・・そこまで言われたら断るのも失礼ですから、じゃあお願いします」
「任せとけ」
そう言って俺たちは隣り合いながら歩き出した。
送っている最中何事もなかった・・・んなら良かったんだけどなぁ。
「あ」
俺はそんなマヌケな声を出していた。
「どうしたんですか?」
矢田義が不思議そうにこちらを見ているが、俺の目線はそれに固定されて動かない。
雪菜とあのイケメン男子がまた一緒に居たのだ。
「またかよ」
小声で言ったはずなのだが、隣の矢田義には聞こえていたらしい。
「また?」
俺の目線を追うように矢田義もその方向を向く。
「あ、志摩君・・・」
「え?矢田義!それってどいつのことだ?」
俺は反射的に矢田義に詰め寄っていた。
「え、し、志摩君はあの美人な人と歩いている子です」
美人な人って言うのは間違いなく雪菜のことだろう。
志摩、って名前なのか。
その名前を脳裏に刻み込んだ。
「分かった。ありがとう。てか矢田義はなんであいつのことを知ってるんだ?」
矢田義にお礼を言いながら疑問に思ったことを聞いた。
「だって志摩君は一応私の彼氏ですから・・・」
「彼氏って、罰ゲームの?」
「・・・はい」
一瞬、矢田義が苦い顔をしたがそうだと答えてくれた。
へぇ?あんなクズどもが付き合ってるのか。
あいつらのクズさが分かった今、更に復讐の炎は燃え上がった。
「あの、聞いていいですか?」
「なんだ?」
少しだけ遠慮がちに矢田義がそう聞いてくる。
「どうして志摩君のことを知りたがっていたんですか?」
まぁこれも俺が話さなければ不平等か。
「あいつの隣で歩いてる女居るだろ?あれ、俺の彼女なんだ」
「え、じゃあ須羅浜君の彼女さんの浮気相手って・・・」
矢田義は察したらしい。
「そう、矢田義の彼氏の志摩ってことだ」
「そう、なんですね。・・・罰ゲームでできた彼氏って分かってるのになんだか辛いですね」
自嘲するような笑みを浮かべた矢田義を見つめる。
「・・・なぁ、矢田義。俺と一緒に復讐しないか?」
矢田義にそう提案する。
「・・・で、でもそんなこと・・・」
やはり抵抗があるようだ。
「無理に、とは言わない。でも悔しくないのか?罰ゲームで告白された挙句、他の女と浮気してるんだぞ?」
「・・・悔しい、です」
矢田義は小さな手を握りしめながらそう言った。
「なら、どうだ?」
「でも復讐なんて何をすればいいのか・・・」
「俺と一緒のことなんてどうだ?」
「須羅浜君と一緒のこと?」
「あぁ。相手を惚れさせてから振ってやるんだ。そうすれば自分にも自信が持てるんじゃないか?」
矢田義は少し考えるような仕草をしてから俺の目を真っ直ぐに見つめてきた。
「私でも変われますか?」
その目は決意に満ち溢れていた。
「当たり前だ!俺と一緒に変わってあいつらに復讐してやろう!」
俺は意気揚々とそう言った。
その瞬間、矢田義の瞳が揺れた。
「須羅浜君!私を」
「変えてくださいね!」
矢田義ちゃんの彼氏が浮気相手だった!
やっとタイトル回収?は出来てないかもしれませんが進みました・・・
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