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買い物

「なぁ、雪菜。ちょっと待ってくれよ」


「ほら!シャキシャキ歩いて!早く次の店に入らないと今日中に見たいところ回れないよ!」


そう言って俺、須羅浜(すらはま) 花登(はなと)に荷物を持たせてショッピングモールで楽しそうにはしゃいでいるのは、俺の彼女の美奈野(みなの) 雪菜(ゆきな)



彼女は凄く美人で人の目を惹く。

それもそのはず。

雪菜はスラッと伸びた足に締まりきったウエスト、完璧なボディを持ちながら顔も美人なのだ。

スッと伸びた鼻筋、大きな目、キメ細やかな肌、綺麗な薄ピンク色の唇、女子なら誰もが憧れるようなサラサラの黒髪ロング。

完璧だ。



そんな美人の雪菜と俺がなぜ付き合っているのかと言うと、たまたま一緒だった委員会で話すようになったからだ。

話しだすと意外と喋りやすかった。

最初の頃はただそれだけだった俺の感情は次第に大きくなっていき、ある日の放課後校舎裏で告白したら了承を得れたと言うわけだ。



今でも夢なのではないかと思ってしまう。

なんの変哲もない男とこんな美人が付き合っているなんて。



俺は自分の意見が言えるようなやつじゃないし常に人の目を気にしてしまう。

だから人の目をあまり見なくていいように前髪を長めにしている。

これなら簡単には目が合わないからな。


「花登!ほらこっち!」


雪菜が元気よく俺の名前を呼びながら洋服屋に入っていく。


「ちょ、ちょっと待ってくれぇぇ」


ヘロヘロになりながらも何とかついて行く。



今は8月中旬で夏休みだ。

さすが夏と言うだけあって少し歩くだけでも汗が滲み出てくる。

雪菜の荷物を持ちながら歩いていた俺は汗だくだった。



雪菜が一足先に入って行った洋服屋に少し遅れて入るとひんやりとした気持ちのいい冷気が俺の肌を撫でた。


「ふぃー、生き返るー」


現代の科学は素晴らしい!

きっと今の地球からクーラーが無くなってしまったら誰も生きていけないんじゃないだろうか?



そんなどうでもいいことを考えていると雪菜から声をかけられた。


「花登!こっちこっち!」


言われた通りに雪菜に近づくと雪菜は2つの洋服を持っていた。


「どっちがいいかな?」


夏菜の手には白の綺麗なワンピースと涼しげな半袖のピンク色のトップスが掲げられていた。


「うーん・・・白のワンピースは清楚な雪菜とマッチしてるしピンク色のトップスは普段見たことのない雪菜を見られる・・・あぁ迷う!」


「えー、どっちなのー?」


「・・・雪菜の好きな方で良いんじゃないか?」


「私は花登に聞いたのに」


雪菜がぶー、と頬を膨らませながらそう言ってくる。

だがさっきも言ったように俺は自分の意見が言えない男なのだ。

ただ周りに流されるだけ。

それが俺、須羅浜 花登という人間。


「もういい!こっちにする!」


そう言って雪菜は白のワンピースを持ったままピンク色のトップスを置いていた場所に戻した。


「そっちにするんだな」


白のワンピースを着ている雪菜の姿を想像する。

色白の肌をさらけ出してこちらに微笑みかける雪菜の姿が脳裏に浮かんだ。

やべ、めっちゃ可愛い。



そんな妄想を膨らませている間に雪菜は会計を済ませて戻ってきていた。


「買えた?」


聞かなくてもいいようなことを聞く。


「うん!いい買い物が出来たよ!」


すると満面の笑みでそう言ってくる。

その笑顔に心臓を撃ち抜かれながらも良かったな、と返す。



何気ない会話でも彼氏彼女となってくるとドキドキしてしまう。

俺って本当にラッキーだったよな。

こんなに最高の彼女と付き合えてるんだから。


「花登!次はこっちだよ!」


俺にさっき買ったワンピースを持たせて雪菜が右に指を指しながらそう言ってくる。

既に俺の手には零れそうな程に荷物が持たれている。


「ま、まだ回るのか?!」


驚愕しながらそう聞く。


「何言ってるの!まだまだこれからだよ!」


どうして女子はこんなに買い物が好きなのだろうか?

きっとこれは男子が何年経っても理解できない女子の生体なのだろう。


「か、勘弁してくれえぇぇ」


俺の悲痛な叫びはショッピングモールの喧騒に掻き消された。

好評だったら続きます!

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