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店長の優しさが好き

店長は、優しくマッサージをしてくれる。


「生理痛、酷くないですか?」


「実は、腰が重いんですよ」


「マッサージしてあげましょうか?」


「悪いですよ、私ばっかり」


店長は、腰を優しく擦りながらマッサージをしてくれる。


くすぐったくて、気持ちいい。


「痛くないですか?」


「はい、痛くないです。」


私は、店長にそう言った。


ずっと辛くて、悲しかった気持ちをほぐされてるみたいだった。


「私も、店長にマッサージしますよ」


「いいんですか?」


「はい」


「じゃあ、腰をお願いします」


「はい」


よく働いてるから、腰が疲れてるんだね。


「痛かったら言って下さいね」


「大丈夫です」


私は、腰を擦ってマッサージをした。


「楽になりました。ありがとう」


「よかったです。」


店長の顔が近くて、ビックリした。


「すみません。貧血かな?」


店長は、そう言いながら座り直した。


「肩も凝ってるんじゃないですか?」


「お願いします」


「店長、これは肩ではないですよ」


店長は、私の手を胸に置いた。


「すみません。この辺が凝ってるかな?って」


店長は、胸から脇を私の手で擦る。


もっと、()れたい。


こんな可愛い店長に()れていられるなんて、夢みたいだった。


「肩、お願いします」


「はい」


私は、優しく肩をマッサージする。


「どんな風に、旦那さんに抱かれるんですか?」


店長は、マッサージしてる私の手を握りしめる。


「別に、普通ですよ。チャッチャッって終わるだけです」


「そんな、チャッチャッって…。寂しいんじゃないですか?」


「どんな風に愛されていたか忘れてしまいました。」


「付き合っていた時にですか?」


「はい、もっと相手の事を考えていた気がします。今は、痛みしかお互いに与えてません。」


そう言って、店長の肩を優しくマッサージする。


「痛みがあるんですか?」


「あります。」


「それは、ちゃんと濡れてないんですか?」


「そうですね。お互いに、自己を満たしてるに過ぎませんから」


「私なら、そんな風にしないな」


「えっ?」


店長は、ビールを飲む。


「もっと、相手を思うってことですよ」


「彼氏さんに、そうしてるって話ですね」


「あー。そうです。そうです。もっと、唾液とか出したり、水分とったり、無理ならローション使いましょう」


店長は、顔をパタパタと手で仰ぎながら言った。


「フッ」


私は、マッサージするのをやめた。


「店長は、可愛い人ですね」


「そうですか?」


「そんな風に思われてる相手は幸せですね」


「そう言われるとなんだか嬉しいです。」


「私も、主人を思いやる事が出来たら違いますね」


「出来ないんですか?」


「そうですね。やり方を忘れてしまったのかも知れません」


私は、そう言ってお茶を飲んだ。


優しくするのを忘れてしまった。


「どうしても、主人とすると子供ってなってしまうんです。子供が欲しいって…。だから、他は考えられなくて…。排卵日だろうか?ちゃんと間に合っただろうか?たどり着くだろうか?着床する事だけで、頭がいっぱいになるんです。」


店長は、トロンとした目で私を見つめる。


ドキッとしてしまった。


店長は、私の涙を優しく拭ってくれる。


「子供が欲しいから、そうなってしまうんですよね。愛していないわけじゃないのに…。それに、囚われて身動きがとれないんですね。大宮さんの世界は、きっと小さくて窮屈なんでしょうね」


優しく撫でられる度に、涙が流れてくる。


「店長、いつか私の世界は大きくなりますか?」


「どこにいても、大宮さんがそれを手放さない限り、世界は小さいままだと思いますよ。ゆっくりでいいから、手放せるといいですね」


「店長、それは出来ないです。主人といる限り、それは出来ないです。」


「旦那さんとの赤ちゃんがどうしても欲しいんですね」


「二人の遺伝子が一つになった子供が欲しいです。でも、私と主人の遺伝子は嫌われているから…。難しいですね」


店長は、私の頬をずっと撫でてくれる。


涙が止めどなく流れていた。



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