怪談 マヨネーズ男
フレアです。いっちおうホラー…です。
「マヨネーズ男って聞いたことある?」
「あるある!最近有名ないきなりマヨネーズかけてくるっていう男の人でしょ?」
「そうそう!かけられた人は皆行方不明になっちゃうっていう!」
「やあ、お姉さん」
「?、どうしましたか?お兄さ…きゃあ!?」
「ちょっ!○○!?」
「なにこれ…油っぽい…」
「そ…それマヨネーズじゃない!?」
「え…あ…確かに…」
「ちょっとお尋ねしたいことがありまして…」
「貴方はマヨネーズに合いますかね?」
「ひっ!!」
「キャァァァァア!?○○!!○○!!」
「うーん美味です。そちらのお嬢さんはどうでしょうか?」
「い、嫌!来ないで!!いやぁ!!」
「それでは…」
「いただきます」
「また行方不明事件ですか…」
「すっかり参ってますね」
「そりゃそうよ…。ここ1ヶ月ほぼ毎日の様に起きてるのよ?」
「現場には決まってマヨネーズの跡ですか…」
「行方不明者の共通点はまるで無し、女子高生にお爺さんに果ては飼い猫や鳥、動物園のライオンまで…意味がわからないわ!!」
「もしかしたら本当にマヨネーズ男が…」
「何よソイツ」
「道でいきなりマヨネーズをぶっかけてくる男です。」
「ただの変態じゃない」
「そのまま丸のみにして人を殺します」
「バケモンじゃない」
「バケモンですよ」
「ていうかそんなのいる訳ないでしょ。考えた奴頭おかしいんじゃないの?」
「まあそうですけど…」
「んで今日も周辺捜査ですか?」
「それしかないわね…」
すっかり日が暮れて夕暮れ。結局良い証言はとれず、探偵と助手は夜道を歩いていた。
「全くといっても良いほど手がかり無しね…」
「こんだけ行方不明者がいて目撃証言の1つも無いとは…」
「それはそうだ。アイツは目撃者なんて残さねえ…全員くっちまう」
「うわぁ!ビックリした!!」
「貴方は…?」
「アンタ達が探してる…行方不明者事件の生存者だよ…!」
「生存者!?じゃあ犯人を知っているんですか!?」
「当然知ってるさ…」
「一体どんな顔の…!」
「マヨネーズ男さ」
「は?」
「っ…おふざけですか?でしたら貴方に構ってる余裕なんて…」
「…」
男は無言でスボンを捲り、その足を見せる、骨が見えかくれするレベルに肉が抉れ、未だ血が滴る足だった。
「なっその足は…!?」
「俺はよぉ…単なる会社員だ…なんの変哲もねえな…」
「何よ…あん時、あん時アイツの顔をひと目見ちまったばっかりに…!」
「足に生暖かい感触がしたと思ったら……もう大口をあけたアイツが……」
っと話す男を遮るように白い何か…マヨネーズが男の頭上から滴る。
「こ」
「頂きます」
次の瞬間には大口をあけたその男に彼は飲み込まれていた。まるでゲームのように…
「ご馳走さま…」
「誰!?」
「はいっと!」
「っ!痛!目っ!」
「ちょっと!○○さん!?」
「お前!○○さんになにかけたんだ!!」
「っこれ…マヨネーズ?ウワッ!?」
「ま、まさか…マヨネーズ男!!うわっ!」
「たまには豪勢に二人食いと言うのも悪くないですね」
どこからか取り出したマヨネーズを二人にかけると男はニンマリと笑う。まるでご馳走を前に笑みを隠せない人々のように
「っ!くっ!」
しかし、女は咄嗟に自身にペットボトルの水をかける。マヨネーズを洗い流し、視界を確保した女は未だ怯える男の手を取り、一目散に駆け出した。
「あぁ!!マヨネーズが!!」
「逃げるわよ!○○君!!」
「っ!はい!!」
「流れちゃったじゃないですかぁ!勿体ない!!」
「あっ!待ちなさい!!!」
地面に流れ落ちたマヨネーズを悲しげに見つめていた男は逃げた二人に気がつき、慌てて後をおい始めた。
「あの男はっや!!!」
「まるでスケートみたいに…!!」
「フフフ!靴に特性のマヨネーズを塗っていますからね!!つるっつると滑りますよ!!」
地面をまるでアイススケートのようにツルツルと高速で滑る男に対抗するように、女は方向を変える。
「こっち入るわよ!!」
「逃げても無駄だよ!?」
彼女らが入ったのは鉄筋コンクリートが並ぶ工事現場。夜であるそこに人はおらずまだ加工のすんでいないそこは、ショッピングセンターにでもするのか、迷路の様に入り組んでいる。
「ここ!工事現場ですか!?」
「そう!スケート式の移動方法ならこう言ういりくんだ場所での小回りは聞かない筈!!」
「待ちなさい!!」
「右に入って!」
「ぶっ!!」
狙いどおり男は曲がりきれず壁に激突する。
「ジグザグに逃げるわよ!!!」
「ま、まさかマヨネーズ男、実在したなんて!!!」
「無駄口叩かないで、息が切れるわよ…」
「うーん!鉄骨とマヨネーズ中々ですね!」
しかし、男は壁代わりになっていた鉄骨にマヨネーズを吹き掛けると、それをペロリと平らげてしまう。
「嘘でしょ!?鉄骨食べてる!!」
「マヨネーズ男は例えどんなものでもマヨネーズをかけたら食べれるんですよ!!」
「先に言いなさいよ!!」
恐ろしい性質に気づいた女はここにいても意味は無いと察し、外へと逃げ出す。
「抜けるわよ!!」
「とりあえず大通りま…うわぁっ!!」
「○○君!?」
「なんだこれ…マヨネーズ…?」
男は外の床にこれでもかと言う程塗られていたマヨネーズに足を滑らせ、倒れてしまう。
「っ、全身マヨネーズまみれで気持ち悪…まさか!」
「○○君!!」
「頂きます!」
悪い予感が当たった。と言わんばかりに男の横の壁を食い破る様にマヨネーズ男が現れ、壁諸とも丸のみにされてしまう。
「嘘」
どれほどの時間共にいたのかは不明だが、少なくない時間を共にしたであろう男の突然の死に唖然としてしまう女。
「あっ…あっ…」
頭から感じる生暖かい感触で現実に戻る。しかし、もう遅かった。
「頂きます。」
二人の運の付きが何処かと言えば、生存者の男に出会ってしまった事だろう。
彼の言葉どおり、男は目撃者を、証拠を決して残さない…。
例えば女が連絡してしまった警察。
例えば響いた男の声を聞いてしまった人々。
そして、これを読んでしまった
ちなみにマヨネーズ男は私がソースに混ぜて倒したので皆さんご安心ください。