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新たな始まり

一話は前置きのような話なので、読みづらいと思いますが、読んでいただいた方が、あとの話がより分かりやすくなると思います。たぶん…?

「俺はもう何も信じない」




 人と魔族と魔物と動物がいるこの世界、ミレウスを危機から救ってきた剣聖アビトはとある魔族のお店でそう言った。




 何故、剣聖ともあろう人物がそう発言したのには理由がある。


 一つ目が、酷い裏切りにあったからだ。

 彼は剣聖…もしくは勇者と呼ばれていた。

 この世界、ミレウスでは伝説があり、今から数千年前に、ミレウスが悪の大魔王サタンによって、破壊されそうになった。しかし、それを防いだのが当時、その世界にいた一人の男だった。その彼は大魔王を倒すために、人々のために戦った。そして、どんな状況でも弱い人々を守るために、敵の前に立ちはだかった。しかしそれはとても勇気がなければできない事だ。そこから勇気ある者……勇者……と呼ばれるようになった。

 そしてアビトはその伝説と同じように魔族の王、つまり魔王を倒したのだ。4人の仲間と共に。

 しかし、魔王を倒してから数年後、アビトはその4人、そしてアビトに魔王討伐を命じた王族や貴族達に裏切られ、殺された。

 いや、すんでのところで上手く逃げたのだが……

 世間一般では死んだことになっている。それはその現場にいた元、仲間の4人や王族、貴族達も同じように考えている。

 さらに辛かったのは、民衆達もそれに同意したことだった。何故そうなったのかと言うと……


 脅威


 勇者……剣聖アビトは魔王を倒せるほどの実力者。つまり、やろうと思えば人間だって殺せるわけだ。そう思い始めたらもう歯止めが効かなくなった。

 もちろん、自分たちのために戦ってくれた勇者を殺すなんてできない!と考えた人もいたが、アビトの元仲間たちの4人が、


「あいつはきっとやる、やるに決まっている」


 と決めつけたのだ。そして今では、勇者を殺して正解だと考えている人がほとんどだ。

 その瞬間、アビトは思った。


「俺はこんなやつらのために命をかけて戦ってきたのか……俺はこんな仲間たちと共に頑張ってきたのか…」


 と。

 だが、勇者……剣聖アビトはそれでも人々を見捨てなかった。



 二つ目の理由が二度目の危機だ。

 アビトが魔王と戦う力をつけている時に、とある場所でとある書物を見つけた。そこに書かれていたのが、初めに紹介した伝説の話についてだった。

 あの伝説の話は間違っていることがあった。それが、勇者が倒したのは大魔王ではなく、ミレウスを破壊しに来た邪神だったのだ。そしてその邪神は二千年後に復活するということだった。初代勇者はあの時、討伐したのではなく、封印しただけだったようだ。その時の勇者には討伐するまでの力がなく、泣く泣く、封印することにしたらしい。

 そしてこの書物が書かれていた日付と照らし合わせると、数年後には復活してもおかしくなかったのだ。

 どうやら、伝説の話は長い時の中で、少し話が変わってしまっていたようだ。いや、もしくはもとから大魔王だと人々が勘違いしていた可能性もあるが…

 ともかく、その書物を見つけていたアビトは魔王を倒した後も、鍛錬を続けて、裏切りを受けたあとも人々、いや、ミレウスを救うために日々体を鍛え続けた。

 そしてアビトは邪神を探し出し、討伐したのだが……

 邪神はなんと、神の世界の、それもシリアと呼ばれる最高神に取り憑いて、ミレウス…いや、ほぼ全ての世界を破壊しようとしていたのだ。

 アビトが気づいた時には時すでに遅く、一つの世界が壊されたあとだった。しかし、ほかの神達は誰が犯人か分かっていなかった。そこにアビトがやって来て、最高神に取り憑いている邪神が犯人だと告げた。それに対して神達は皆、そんなわけないと信じなかった。しかし、初代勇者が残したある道具を使い、邪神が本当に最高神シリアに取り憑いていることが判明し、ほかの神達に渋々ながら了承を得て、最高神シリアを倒したのだが、邪神が死の間際に悪あがきをし、アビトはそれをどうにかさばこうとしたが、そう上手くいかず、邪神を消滅させることには成功したが、同時に、最高神シリアも意識を失った状態のままになったのだ。


「お前のせいでっ!お前のせいでシリア様は目を覚まさない!これをどうして許すべきか!」


 そう神達は言い、アビトに攻撃を仕掛けた。

 もしアビトが邪神の存在を見つけてなければ、さらに世界が破壊されていたはずなのにも関わらずだ。

 だが、アビトは最高神に取り憑く邪神を倒せるほどの実力があるのだ。他の神達に遅れはとらなかった。

 そしてアビトは攻撃してきた神達を全て退けた。それと同時にアビトは思った。


「神達ですらこれだ。そりゃ、人間が俺を裏切っても仕方ないよな」


 と。

 そしてさらに思った。


「なら、俺はもう誰も信じない。絶対に信用できること以外な」



 剣聖アビトは二度目も世界の危機を救ったのだ。

 一度目は人間と魔族の全面戦争によって世界が崩壊していくのを。

 二度目は邪神によって、世界を破壊されるのを。


 しかし、現実は伝説や小説のようにはいかず、どちらとも報われなかった。


 なので、アビトが人を信じなくなっても何も不思議では無いのだ。

 ここは()()とは違うのだ。

 きっと自分をこの世界に転生させてくれたあの女神も元は俺にこの世界を救って貰いたかっただけなのだと。断じて俺が起こるはずがなかった事故に巻き込まれて、そのお詫びとして特別な力をくれたわけでは無いのだと。

 もしかしたら、その起こるはずがなかった事故でさえ、あの忌々しい神達が引き起こしたのではないかと。

 アビトがそう思い始めるのも仕方が無いことだった。

次からは魔王の娘も登場します!

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