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重課金しなければ食べられない秘宝グルメ〜すべてが「ガチャ」の浮き島に挑む〜

作者: 夕凪ナギ
掲載日:2019/07/06

次回作の候補として考えていた話の一部を、超短編にしてみました。なろうラジオ大賞、応募作品です。

どうぞよろしくお願いします。

 空に浮かぶ小さな浮き島、ガーチャリン島。自然豊かなこの島には、一軒の小さな洋食屋がある。


 この島には通貨はない。島の住人が働いた給料は、すべてガチャ券で支払われる。買い物をするにも食事をするにも、すべてがガチャの島なのだ。




「ガーチャリン島の洋食屋に行きたいんだ」


 浮き島へ向かう飛行船乗り場で、俺はある男に声をかけた。その男は、うんざりしたような顔をするだけで、手でシッシと俺を追い払おうとした。


「金は持っている」


 その男は、俺が出した革袋の中身を確認した。俺が冒険者をして貯めた全財産だ。


「すべては運次第だ。この金すべてを失っても、当たるとは限らない」


「わかっている」


「そんなに、あのシチューが食べたいのか」


「あぁ、どうしても食べたい。もう俺には時間がない」



 その男は黙って紙袋を、俺の目の前に差し出した。


 俺は中身を確かめた。レア以上確定のガチャコインが入っていた。


「島に入ったら、ガチャ玉に交換しろ。運が良ければ、レジェンドレア確定の、虹色のガチャ玉が手に入るかもしれない」


「わかった」



 取引は成立した。



 俺は飛行船に乗り、ガーチャリン島へと向かった。


 島に着くと、交換所でガチャコインをガチャ玉に交換した。10枚のコインで1個の玉が出てくるガチャだった。



 だが、無色ばかりだった。



「くそッ、虹色なんてあるのかよ」


「おっさん、地上の人?」


「えっ? あぁ、そうだ」


「レインボーガチャすれば?」


「ん?」


「何かを狙ってるんでしょ?」


「あぁ」


「高価な物を狙うときは、虹色が出なくても無色よりはマシだよ」


「そうなのか」



 俺は再び、ガチャに挑んだ。



 無色のガチャ玉10個で、1回引ける。様々な色のガチャ玉が出てきたが虹色はなかった。


「ダメか…」


「おっさん、本番はこれからだろ?」


「あぁ、そうだな」



 俺は、数個のガチャ玉を見た。これに俺の命がかかっている。



 そして、あの洋食屋の食事券が入っているガチャの前へと進んだ。俺の全財産だ…。


「飲食ガチャでよろしいですか?」


「あぁ」


 そして、そのときが来た。ガチャを回す手が震えている。


「おめでとうございます!」


 高級店の食事券や宿泊券だった。あの洋食屋の食事券は当たらなかった。



 俺は……俺の命は…。バタン!





 ふと、芳しいシチューの香りで目が覚めた。俺は生きているのか?


 目の前には、交換所で会った少年がいた。


「これ、やるよ」


 渡されたのは、パンとシチュー。


 まさかの、不治の病を治すあのシチューだった。



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― 新着の感想 ―
[一言] 『青い鳥』的なネタですな…(*´・ω・`)b
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