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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

エッチな魔法少女!~立派にしてあ・げ・る♡~

作者: TANAK

「ふぅ~」

 

 今日も会社が製造している良く分からない健康サプリを売るために営業をしている。

 この、『絶対に健康にいいんです! えぇ! とてもいいんです君』というサプリ(ただのビタミン剤)がなかなか売れないのだ。


「はぁ……」


 毎日10件は販売するようにと言われて買ってくれた人は一人。

 そう、たったの一人だけなのだ。

 しかもそれは俺が必死に泣きついて売った奴だけ。


「お願いします! これを買ってくれませんか!? 私、これを10件売らないと上司の靴をペロペロしないといけないんです! あぁ! 待って! どうかこの通り!」


 いい年した中年のぽっこりお腹を暖かい道路にぺったり引っ付けながら涙交じりで1件売ったのだ。

 

 ちなみにこれに味を占めた俺はもう一回同じ戦法で挑んだけどあっけなく散った。

 お巡りさんに謎の、むしろ怪しいと言えるサプリ片手に必死に安全なものと説明する姿は何とも滑稽だったものだと我ながら思う。


 まぁ、そんなわけで色々なお宅をピンポーンと鳴らしながら営業をしていった。


 もちろん成果はゼロ。いや、情けで買ってもらった1件か。

 ちなみに帰る時そのお宅の前を通りかかったら粗大ごみの袋の中にそのサプリがあった。


 泣いた。


 その時の気温は少し汗ばむ気温で。

 喉が渇いたから駅の方にある自販機で飲み物を買う。

 『貴方の心を凍らせちゃう……ぜ?』という謎のドリンクを買ってみた。


 こういうおかしなものを見つけたら買っちゃう性格で飲んでみると普通においしかったから悔しい。

 

 それを飲み終わって缶をゴミ箱に捨てたとき、事件は起きた。


『ガァァァァァァッ!』


 それは突然駅から現れた。

 大きな、3メートルくらいある体に鱗をまとっている。

 その姿は誰が見ても化け物というだろう。


 その化け物は近くにある物すべてを粉砕していった。


 腕を一振りするだけで建物は崩壊し、その醜い巨体が移動するだけで道路はひび割れていく。


 やばいな。俺はそう思った。


 そして目と目があう。


 心臓がバクバク動く。

 頭がおかしくなってこれは恋なのかと勘違いしちゃうほど。


『ガァァァ!』


 あ。こっちに近づいてきた。

 俺の人生もここまでか。

 そう思った時。


「ここで死にたい?」


 声は聞こえた。

 その声はとてもかわいらしい声で甘ったるい、そんなアニメ声だった。


「ねぇ。早く答えないと死んじゃうよ?」


 確かにこの謎の声の言う通りだ。もうその化け物の姿は目の前まで来ている。


「し、死にたくなんてない!」

「よく言ったね。ならこれを受け取って」


 そう言われて目の前に金色の玉が浮かび上がった。


「な、なんだこれ!?」

「金玉だよ。さぁ。これを握りつぶして……」


 俺は頭の中が疑問でいっぱいになりながらそれを握りつぶした。


 ぎゅちゅ!


 そんな生生しい音しながらそれは潰れた。


「な!?」


 それを潰したら俺の体は黄金に眩しく輝き始めた――ッ!


 そしてじょじょに俺は浮かび上がり、ある一定の高さまで浮かんだら俺の服ははじけ飛んだ。

 でも謎の光によって大事な部分は見えていないから安心だ。


 そしてゆっくりと回転しながら謎の光は俺に集まっていく。


 ピカッ――ッ!


「さぁここで締めの一言! ぼくに続けて言って! 『魔法少女! わたし参上! 立派にしてあ・げ・る♡』 さぁ早く!」

「わ、分かった! え、えっと、『ま、魔法少女! わたし参上! 立派にしてあ・げ・る♡!』」


 俺がそう言った瞬間謎の光は俺の体に巻き付いてきた。


 まずは足に回転しながら巻き付いてハイソックスに。

 次は腰に巻き付いてきてセクシーなビキニ姿に。

 中年特有のポッコリお腹は……通り過ぎて。

 次は胸に二つの光が張り付いて。

 最後は肩を通り越して背中に光がとおってマントになった。


 そして手には可愛らしいステッキを持っていた。


『ギャ、ギャァァァァァッ!』


「見て! きみの可愛らしくて強そうな魔法少女姿にあのおばけもおびえているよ!」

「何!? それは本当か!?」


 そう言って目の前に現れたの可愛らしいアニメ声の主はそれはウサギのぬいぐるみの様な姿だった。


「いや君誰!?」

「えぇ!? ……ぼくはうさぎん! あくの組織と戦う正義のようせいさ! そんなことより見てよ! あのお化けが戦意喪失している今がチャンスだよ! 華麗に美しく可愛らしくむごたらしく残虐にあのお化けの悲鳴を街中に轟かせようよ!」

「お、おう……」


 そのセリフにどちらが悪か分からなくなる。


「まずはマジカル☆ハッグだ!」

「わ、分かった! どうやるんだ!?」

「まずは勇気を出してあのお化けに近寄って!」

 

 俺はうさぎんに命令された通りに膨らんだお腹をビタンビタン鳴らしながら駆け足で近づいた。


『ギャアアアアア!』


「よし! こっからは!?」

「まずはさっきの技名を叫んで!」

「分かった! 『マジカル☆ハッグ!』

「そしてそのお化けに全力で抱きついて!」

「うおおおおお!」


 ぎゅうぅぅぅぅぅ!


 駆け足でコイツに近づいたからか俺の汗でぬるぬるする。


『グワァァァァァッ!』


「おぉ! 効いてるぞ、うさぎん!」

「いい調子だよ! 次はマジカル☆キッスだ!」

「分かった! また技名を叫んだらいいんだな!?」

「そう! そしてそのお化けの口にダイレクトアタックだ!」

「くらえ! 俺のファーストキスだ! 『マジカル☆キッス!』」


『ちょ!? そんな情報いらんしマジで止めて!?』


 ブチュゥゥゥゥゥッ!


『ギャアアアアアアッ!』


「なんかコイツ普通に喋ってないか!?」

「気のせいだよ! とどめだ! 行け! マジカル☆ディープキス!」


『こ、ころせぇ!そんな屈辱受けたくない! この特殊性癖者がぁ!』


「お、俺も好きでやってる訳じゃねーんだよ! ……あぁ! もう! 『マジカル☆ディープキス!』」


 グチョ、ネチャ、レロッ、プハァッ


『あぁ……。こ、こんな死に方は嫌だった……』


「よくやった! さあ後は僕に任せて! そのステッキを貸して!」

「え? あ、あぁ」

「ありがとう。少しの間後ろ向いててね」

「分かった……?」


 俺はうさぎんに言われた通りこの化け物に背中を向けた。


「え~い!」


 バキッ!ボキッ!ベキッ!ゴリ……ゴリ……びちゃ。

 

『グ、グワアアアアアアアアアア!!!!』


 恐らくあの化け物の悲鳴だろう。

 その悲しき声は街中に轟いた。


「ふぅ! もういいよ!」


 俺はうさぎんを見た。

 彼は全身血まみれでステッキに関しては折れかかっている。

 その横にはうさぎんの被害者であろう肉の塊があった。


「ふぅ! ありがとう! 君のおかげでお化けをやっつけれたよ! ぼく、魔法少女のパートナーを探していたんだ! きみ良かったらぼくと契約しよーよ」

「断ります」


 そう。俺はNoと言える日本人だ。

 こんな色々大切なものを失ってこれをやりたくはない。

 てかコイツ一人で何とかなるんじゃないのか?

 あの化け物を肉塊にしていたし。


「給料はいいよ?」


 そう言ってうさぎんは札束をどこからともなく出してきた。


「よろしく! うさぎん!」


 こうしてうさぎんと魔法少女の世界を救う旅は始まったのだ――。

タイトルに釣られた方は謝罪をします。


でも心はこめない。

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