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俺の姉妹は問題あり  作者: とぅるすけ
7/22

7話

こんにちは! 今日もよろしくお願いします!

ブクマ、評価や感想お待ちしております!

翌朝、母に起こされると立江の部屋の前で止まる。

ドアには冷たく鍵がかかっていた。


「立江…開けてくれ」


もちろん返事は無い。


「学校は? 行かないのか?」


「…」


ダメだ。音沙汰がない。


「…」


咲矢はその日は諦めた。

続いて、誰もいない部屋に入ってあたりを見回す。

誰もいない姉の部屋。


「帰ってないのか」



リビングに降りると母親が朝から水仕事に勤しんでいた。


「あ、降りて来た…。おはよう…咲」


「おはよう」


咲矢はテーブルに並んでいる4人分の料理を目にする。


「その、立江ちゃんは?」


「降りてくる気配なし。夢流姉は?」


「帰って来てないわ」


「そう…。じゃあ、立江に朝食持っていくね」


「うん、ありがとう、咲」


結局、朝の家事は母と二人で手分けをして済ませ、いつもより遅い時間に家を出た。


「おっす、咲矢」


家を出て3分。巴に背中を押される。


「なんだ巴か…」


「何だとは何だ」


なんでだろう、巴の顔を見ると落ち着く。


「…」


「? どうしたの?」


「いや、何でもない」


「あ、そういえば、新屋君と話したよ?」


瞬時に落ち着きは焦りのタネに変身する。


「で、どうだった?」


「いい人だね」


その言葉は咲矢の心を大きくえぐった。


「…」


「? あー! ヤキモチ焼いてる?」


「焼いてねえよ!」


「むー…少しは焼けよー」


そうやって咲矢は自分の心を隠して巴と話しながら登校した。

だが、先日のことでテスト前以上の憂鬱が咲矢を襲う。


そのせいか、


「今日は随分機嫌がいいじゃないか、新屋」


初めて自分から新屋に話しかけるというらしく無いことをしていた。


「ん? わかる? いいことあってな」


「そ」


「んだよ、 それだけかよ」


「どーせ巴の事だろ」


「? そうだけど、神野さんから聞いたの?」


「まぁな」


何やら気持ちの悪い視線を感じる。


「んだよ」


「いやー? ヤキモチ焼いちゃった?」


「焼くか」


…焼くに決まってんだろ。


静かに、咲矢の心の中に独占欲が湧いてくる。

こんな気持ちは生まれてから初めてな事で、咲矢自身も自身に驚いた。

巴と知り合ってから巴とずっと一緒にいてきた。誰かに取られるなんて考えたこともなかった。これからもずっと一緒にいるつもりだった。


放課後、最寄り駅まで帰ってくると、見覚えのある後ろ姿と赤いランドセルを見つける。


「おーい、楓ー!」


呼びかけるとその少女は元気よく振り返って手を振り返して来た。


「あ、咲矢お兄ちゃん!」


楓は小動物のように駆け寄ってくる。

マジで愛い。

咲矢は楓の狭い歩幅に合わせて歩き始めた。


「今、帰りですか?」


「あぁ、うん。楓も学校どうだった?」


「いつもと同じです!」


「…なぁ、楓、聞きたいことが…」


「あ!! そいえば、昨日お姉ちゃんが彼氏さんと歩いているのを見ました!」


……………。


「むーー。お姉ちゃんは私のなのにー…」


「…」


「? 咲矢お兄ちゃん? …ひゃあっ!!」


気がつけば楓の肩を掴んで語っていた。


「いいか良く聞け、楓。あいつはまだ彼氏じゃない。まだ知り合ったばかりの『知り合い』だ。友達ですらないと思うぞ? だから楓も安心しろ、お姉ちゃんにはまだ彼氏はいないからな? だいたい出会った初日にくっつくってどこの国の皇女様だよ。人生そんなに甘くねってんだよ。そもそも、人は顔とか中身とかじゃなくて、付き合いの長さによる互いの熟知度なんだよ。交際ってのはな…」


「さ、咲矢お兄ちゃん?」


「はっ!」


楓の怯えきった声にふと、我に帰る。

奥様方がこちらを見てヒソヒソ話をしているのを尻目に楓から手を離し、歩く速度を上げる。楓はそれに何も言わずについてきてくれた。


「ご、ごめん楓…」


「い、いえ…。大丈夫ですか? 疲れてるんですか?」


「あぁ、色々あってな」


「ふふっ」


「?」


「いや、その、咲矢お兄ちゃん、お姉ちゃんの事大好きなんですね?」




その後、なんだか人生最大の羞恥を食らった気分のまま、テスト明け久しぶりのバイトへ。


「はぁ」


「あら、三崎君、ため息? テストの結果悪かったの?」


隣のレジ番のおばちゃんが心配して来た。


「まぁ、そんなとこです」


母親が海外出張を始めてから始めたバイトだが、かれこれ一年間続こうとしている。

時給は高校生にしてはいい方で、さらには職場の雰囲気もいいので、できれば続けたいと思っている。

近いし。

平日は基本、夕方の5時から夜の8時まで。


バイト終わり、無心で帰路につく。


「あぁ、クソっ!」




「ただいま」


「お帰り、咲」


帰ると三崎家には似合わない静かさが出迎えてくれた

リビングにはTVから流れる音声だけが充満し、冷めた夕食が2人前、並んでいた。


「立江は…」


母親は首を横に振って答えた。

その時、母親の隣にある大きなスーツケースの存在に気がつく。


「母さん、それ」


「あぁ、これネ。もう明日の午後には日本を出なきゃいけなくなったノ」


2、3日早く帰ってきた母親は1日早く帰るという。


「そう、また頑張ってきてよ」


「うん、ありがとう、咲、大好きヨ。立江の部屋から食器を回収してくれる?」


「うん」


立江の部屋の目の前には半分ほど食べられた料理が置いてあった。

どうやら、立江も食欲があまり無いようだが、心配なのは立江の体調。

これを機にダウンされても困る。早めに仲直りしなければならない。


「はぁ、頼むよ」


咲矢はスマホを開き、夢流へメッセージを送ろうとした。

だが、「ブロック中」と言う文字を見て、静かにスマホをしまう。

まるで咲矢を拒絶しているかのよう。いや、実際、拒絶されている。


「…どうすんだよ」




翌朝、母親が散らかした物は綺麗に片付き、一つの荷物にまとめられていた。


「おはよう、母さん」


「おはよう、咲」


母親は咲矢が学校に行っている間に家を出てしまう。


「今日、出るんだ」


「うん」


母親は静かに咲矢を抱きしめてきた。

母らしくない静かさ。母らしくない表情。

見たくなかった、こんな母親の姿。


「じゃあ、行ってきます」


「行ってらっしゃい」


「母さんも、気をつけて」


「うん」


家を出て3分歩くと、毎度のことのように巴が頭を後ろから小突いて来る。


「巴…」


「ん? どうした?」


巴のいつもの優しい表情を見ていると落ち着く。だが、それとは裏腹に焦り、嫉妬、心配…、様々な感情が湧いて来る。

彼女に相談をしてもいいのだろうか。

いい迷惑ではないだろうか。


「悩み事?」


「…」


「……。まーた始まったよ、咲矢の抱え込みが。抱え込んでると、私と目を合わせてくれないもんね」


「!?」


得意げに上を見て咲矢の横を追い越していく巴。

どうやら、彼女に見透かされていたらしい。


「いい加減あんたもガキじゃないんだから、自分一人でヒーローになろうとしないで、誰かに頼ってもいいんじゃない?」


「…でも、俺は…」


「でもは無し、いいから話してごらんよ、友達でしょ? 私たち」


「…」


そうか、今、色々なことがあって忘れていた。


…俺は巴のこんなとこに惚れたんだっけ。


『さっくんはずっと私の友達だから、隠し事はしないでね!』


懐かしい、そんな救いの言葉。

あの時、とても嬉しかったのを忘れていた。

中学の時、『学生戦争』のせいで『最強の不良』として孤立してしまった咲矢や、夢流をたった一人で見守り、寄り添ってくれた。

咲矢と同じ高校に入るために、苦手な勉強を頑張ってくれた。

ずっと信じてくれていた。ずっと友達でいてくれた。ずっとそばにいてくれた。ずっと、ずっと、ずっと…。


「…巴…実はさ」


全てを話した。


えーっと…。彩葉は男です。わかりにくくてすみません。

しょうは女性です。わかりにくくてすみません。

ルビ振りも疎かになっているところがあるとは思うので、面倒でなければぜひコメントをお願いします!

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