21話
こんにちは!今日もよろしくお願いします!
最近忙しいですが頑張ります!
「ねえ。咲矢の事は好き?」
「…」
夢流が放った言葉は薄暗い部屋の中に静けさを招き入れた。
部屋の中にいる夢流と巴の耳には電車の通る音とひぐらしが鳴く声だけが聞こえる。
「立江も聞いてるんでしょ? 出てきな?」
先程から部屋の外にいる気配に夢流は気づいていた。長年の感という奴だろう。
「…姉ーね…」
立江は叱られた猫のような表情をして部屋に入ってきた。
「り、立江ちゃん…?」
巴は気づいていなかったのか目を丸くする。
「…私はさ、咲矢の事大好きだよ? 誰にも負けないくらい。弟としても、一人の男性としても…。ぶっちゃけ咲矢との子供産みたいくらい」
「「んな!?」」
夢流の急な告白に二人は全く同じ反応をし、少し引く。
そんな二人を見た夢流は少し顔を赤くしてごまかす。
「ははっ。冗談だよ、二人して間抜けな顔して」
初な二人りには少しキツイ冗談だったのではないかと少し反省してしまう。
「…り、立江だって兄ーにの事は大好き! ずっと一緒にいたい。他の女の子に負けたくない。負けられない」
立江までもが胸の内を明かす。
そんな二人に巴は…。
…正直ついていけなかった。
よく知る人物二人が平気な顔をして衝撃的な告白をしていく。
私は…。私は…。
咲矢の事が…好き…。大好き…。ずっと見てきた。ずっとずっとずっと…。
「わ、私は!」
自分の気持ち…だけど…。
「…」
巴は走りだした。逃げるように。
三崎家を飛び出し、自分の家に駆け込む。
「はぁ…はぁ…」
言えなかった。
自分の気持ちに正直になったあの二人の前で、私の気持ちなんか薄汚れが目立つだけのただの中途半端な気持ちだ。
あの二人を見ていると自分が惨めになる。
なんで…? 向こうは禁断の愛。報われない恋心。負け戦なのに…。
なんで…なんで私はこんな…汚いの…?
勝てない。勝てない。勝てない。勝てない勝てない勝てない勝てない…。
もう嫌だ。自分が嫌になる。
「お姉ちゃん? どうしたんですか?」
「はっ! …か、楓…」
「すごい汗です…。…?」
近づいてくる楓を抱きしめる。
「うひゃっ!? お、お姉ちゃん!?」
「…楓…! 私…私…」
楓は何も言わなかったが、巴の背中に両手を回して呼吸を落ち着かせるように摩ってくれた。
「…どうすればいいのかな…私…もう自信がないよ…」
「…また咲矢お兄ちゃんですか?」
「…うん…」
「なら大丈夫です私に任せてください! 私、お姉ちゃんが私以外の人を好きになるのはあまり良くは思いませんけど、大好きなお姉ちゃんのためです! 私も頑張りますよ?」
謎の自信に満ちあふれた表情で微笑みかけてくれる楓。何かいい考えでもあるのか。
「…な、なにが出来るのよ…」
「咲矢お兄ちゃんのことをしばき倒します!」
……?
「…」
「まず先に! お姉ちゃんを悲しませる人はどんな人でも許せません! たとえお姉ちゃんが好きな人でも!」
しばらく考えた後で楓の言っていることがようやく理解できた。
楓は本当に私のことが好きだと。
好きな人のために非道を成す。楓は絶対に良い大人に成長すると思う巴だあった。
キャラに合わないと感じてしまっては自然と笑いがこみ上げてくる。
「ふふっ」
「な! わ、笑わないでください! 本気なんですよ!?」
「ごめんごめん。ありがとう。そうだよね。強気にならなきゃね」
巴は楓の頭を撫で回す。
この時に楓の見せる幸せそうな表情が巴にとってこの上ないほど愛おしい。
…マジでこの可愛さは異常でしょ…!!!!
「むふふー…。ってお姉ちゃん? なんか表情が緩いですよ? …ぬー」
楓に両頬をつねられてしまった。
だが、そのおかげで目が覚めた。自分の気持ちは自分のものだ。
誰にも曲げさせない。
「んじゃ、咲矢をギャフンと言わせよう大作戦! 開始しよう!」
「何ですか? それ…」
「…な、作戦名は気にしないで!」
21話を読んでいただきありがとうございました! 悩んでいたは主人公だけではないという話でしたが少しわかりにくかったかもしれませんので補足しておきます!
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