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俺の姉妹は問題あり  作者: とぅるすけ
13/22

14話

こんにちは!

今日もよろしくお願いします!!

佳境が長すぎるかもしれませんがどうでしょうか? 是非ご意見をお聞かせください!


三崎 咲矢がまず先に訪れたのは、家の門から出て約2メートル。

表札には「神野」と書いてある。


「お邪魔します」


咲矢は広大な神野家の庭の中に建つ道場に入る。


「彩葉さん…いますか?」


道場の真ん中に一人、坐禅をする彩葉の姿が…。坐禅と言うよりは、


「…ん…」


寝てる。


「彩葉さん」


「…ん…あ、あぁ? 咲矢君か…どうした?」


彩葉は目を開くとそのまま立ち上がって咲矢の下へと近づいて来る。


「あの…教えてください。夢流姉と話す方法を」


「? 何を言ってる…。もう知ってるだろ」


「え?」


彩葉の予想外の回答に素っ頓狂な声を出してしまう。


「俺が何のために今まで君をボコボコにしていたと思っている」


「は、はあ…」


「…驚いた…君は察すると言う言葉を知らないのか」


察する? と言うことは今までの修行に、何かヒントが隠されていたのかもしれない。

咲矢は今までの彩葉の言動の意味を思い出し、考える。

夢流のやって来たことをなぞる。

夢流が守りたかった人。俺や、立江のこと。

夢流には…普通の言語は通じない…。

…言語…。


「…え、えっと…。っ! ま、まさか!」


「やっと察したか…。全く君は鈍いな…肉体言語だよ、肉体言語」


全てが繋がった。

要するに、咲矢が最初に感じていた嫌な予感は的中していたようだ。

だが、それだけは無い、あってはならないと伏せていた予感。


「め、夢流姉と殴り合えって言うんですか!?」


「そうだけど?」


「え、それ以外に何があんの?」と言わんばかりの顔で見つめて来る彩葉。


「まぁ、こんな事を急に尋ねて来るんだから、察するに夢流とあったんだろ? んでもって何も話せなかった。違うな、話が通じなかったってとこか」


鋭い。


「…そ、そんなとこです…」


「ま、俺から教えられることはもう無い。あとは君次第だ、咲矢君。…それはそうと、君、巴に何かしたか?」


急な話の方向転換に一瞬戸惑い、鳥肌が立つ。


「え?」


「いや、巴が引き篭もりがちで出てこないから、気になってな」


「…体調不良じゃ…ないんですか」


「いや、バリバリ元気だぞ。今日の朝、竹刀で殴られたしな…」


「え…」


衝撃の事実。こうなったら原因は咲矢に他ならない。

まぁ、いつも通り、彩葉には都合の悪いことは伏せる。これ即ち延命なり。


それから一週間、真希奈から夢流の様子をメッセージアプリを通じて聞き続け、居場所や状態を把握した。

その間、小雨は毎日立江に会いにきてくれていた。話すことは毎回他愛のないこと、付いていなかった話から付いている話、小雨自身の笑える話、失敗した話から愚痴まで、色々な話。

…立江は返事どころか笑い声一つあげなかったが…。


「いらっしゃい、今日もありがとうね」


「いえ、今日もお願いします」


八月上旬、いよいよ夏休みの本番。

小雨は暑い中今日も来て、いつも通り立江の部屋の前にやって来る。


「り、立江さん? 起きてる? 今日はお菓子いっぱいもってきたよ!」


小雨の手にはお菓子でいっぱいになったビニール袋が下げられている。


「あとね、宿題も進めたから分からない所があったら教えてあげる! だから一緒に宿題片付けじゃおう!」


今日の小雨はなんだか元気いっぱいだ。気合が入っているとも観れた。

今日も必死にドアに向かって話しかけてくれている。


「立江さん! 私も立江さんと…」


「帰って」


突如、ドアの向こうから聞こえた立江の冷めきった声。突然のことで、咲矢は声が出せなかった。


「…え」


小雨の顔から笑顔は消え去り、困惑と恐怖に満ち溢れる。


「立江!」


言葉は見つからなかったが、叱りの意味で立江の名を呼ぶ咲矢。

変に声をかけて関係を悪化させても良くない。

それ以降の言葉は出てこなかった。内心、咲矢自身も立江の声に…怯えて…いるのかもしれない。


「…宿題、もってきてくれてありがとう。ノートも助かる。お礼は言うよ。けど、もう大丈夫だから…立江に構わないで…ありがとう」


凍てつくような声音。聞いていると動けなくなってしまいそう。

立江が発したのはお礼と言う名の拒絶。


「り、立江さん…私…」


止まってしまった、小雨の暖かい言葉。


「今日は帰ります…」


小雨は咲矢にだけ聞こえるようにそう言った。


「…」


ビニール袋を咲矢に渡し、お辞儀をしてから足早に帰ってしまった小雨。

取り残された咲矢は怖くて帰り際の小雨の表情を見ていない。見たくなっかった。

咲矢は立江の部屋のドアに背中を預けて脱力し、滑るように座り込んだ。


「立江…お前はそれでいいのかよ…本当にそんなんでいいのかよ…」


吐いた言葉に責任なんか今の咲矢には持てなかった。けど、立江の今、していることは間違っている。どうすればいいのかわからない、けど間違っている。


次の日から、小雨は咲矢の家に来なくなってしまった。


「はぁ…」


小雨に送った『大丈夫?』と言うメッセージにも既読すらつかない。

昨日の出来事は相当答えたのだろう。


「どうすんだよ…」


ぶっちゃけて今の状況を咲矢一人で打開できるわけもなく、協力者が必要だ。

協力してくれていた小雨と巴は音信不通。今連絡が取れるのは真希奈だが、この人はなんというか、本音を言うと苦手な部類だ。

そして、新屋だが彼にできることは、今は無いだろう。

連絡して何を話せばいいのかわからない。


「あ、今日バイトだ…」


母が海外出張を始めてから始めたバイト。ちょっとした生活費や立江のゲーム、夢流の趣味のための交通費に消えていく給料だが、この調子だと今月は全額自分のものにできそうだ。

そこだけはなんだか嬉しさを感じる。だが、それと同時に寂しさも滲み出てきた。


「あ、レジ袋付けてー」

「レシートいらない」

「これ持って行ってくれる?」


普段なら気にもならない客とのやりとり。

敬語を使わない。店員を機械かなにかと思っている大人たち。相手が高校生だからと行って社会人とは思えない失礼な態度をとる客。

普段なら本当に気にならない。

だが今日は気になる。イライラする。


「…敬語も使えないのかよ…クソ…」


隣で働いている人に聞こえない程度の声でそう呟く。


3時間、咲矢は自分の心を鎮めながら時間が過ぎるのを待った。


「三崎くん上がっていいよー」


「…はい…お先に失礼します」


暗くなった空の下、憂鬱な気分で帰路に着く。

8月といっても今年はやけに夜が肌寒い。と、その時、良く前を見ていなかったせいか、人とぶつかってしまう。


「あ、すみませ…」


「…ちっテメェどこ見て歩いてんだ、あぁ?」


金髪の男は怖い顔をして咲矢を睨みつけてきた。そしてもう一人はニヤニヤしている。


「そうだ! 俺今イライラしてんだー、ちょっと君でいいからストレス発散させてくんない?」


肩を掴まれる。

何やら理不尽な事態に巻き込まれてしまったことは理解できた。それと同時にこの男2人は以前に、夢流の足元で伸びていた連中だということにも気がついた。


「そっち行こっかぁ」


暗い人通りの少ない路地に連れて行かれる咲矢。


「何だこいつ、目ぇ死んでるぜ!」


「ビビってんの?」


「ちっ! なんかムカつくなこの顔…」


直後、腹に鈍痛が走る。

咲矢は殴られた事を理解した。


「うっ!」


自然と口から息が吐き出される。痛い。痺れる。

足に力が入らない。


「おい! もっとリアクション取れよ! つまんねぇな」


だが、咲矢は立ち上がり、男たちを見上げる。自分よりも体格に優れ、自分よりも人の痛めつけ方を知っている相手。

だが、気にくわない。勝手な事ばかり言って…こっちの苦労も知らないで…自分の事ばかり…。



…まるで…俺だな。



刹那、咲矢の右拳は男の左頬を捉え、そのまま気絶させてしまった。


「…は…はぁっ!? てめぇ!!」


次に、右足の後ろ回し蹴りでもう一人を鎮める。


「…はぁ…っ!?」


「う…くっ…う…」


言葉も発せなくなった2人を見下ろして死んでいない事だけを確認すると、咲矢は誰かに見られる前に足早に帰宅した。


風呂に入り、自室のベッドで仰向けになる。

暗くて、静かで、冷たい天井を見つめる。


「…はぁ…。あ、そういえば今日何も食ってないな…」


不思議と食欲は湧かない。なのに睡眠欲だけはしっかり働いている。


「まぁ…明日のことは…明日の俺に…まか…せ…」


腹の痛みは眠気に紛れて夢の中に落ちるように咲矢の意識とともに消えていった。


14話を読んでいただきありがとうございます!

日々、ブクマが増えていって驚きです!

今作品は何話を終わりにするかは目処を立てておりませんが、20後半を目標に仕上げていきたいと思っております。

前作品からもそうですが、なろうの方々は本当に暖かくて文を書いていて楽しいです!

これからも頑張っていきますので応援よろしくお願いします!

ブクマ、評価や感想、レビューお待ちしております!

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