011
怜は馬車の中に入る
中に入ると、綺麗なソファが2つあり、進行方向にあり、対面にも同じ椅子があり、領主が座る。
「小さいが、ゆっくりしてくれ。」
「いや、乗せてもらえるとは思ってなかったからむしろありがたい」
レイは素直にレイを言う。
それはそうだろう、見ず知らず、それも、この国ではありえない格好で、そして、わけのわからない格好をしていたのだ。
レイが、領主の立場なら、すぐにお礼を言って見捨てただろう。
「すまないね。先ほどは、彼も悪気はないんだ、申し訳無い。」
「いえ、大丈夫ですよ。」
「私の名前は、アルベルト・フォン・ガリーナだ。一様辺境地だから、貴族をしている。」
レイは少し疑問に思う。
素直に、苗字などを言っていいのかだ。
レイが見ていた、アニメには、迂闊に名前を教えてしまうと、色々厄介なことに巻き込まれるからだ。
レイは、思い出したように、女神と念話する。
『女神。名前はどうすればいいんだ?』
『む、何か失礼な感じがしたのですが、この私を頼ってくれたので、許します。』
『それでどうなんだ?』
『名前は素直な方がいいと思います。ギルドカードを作るときは、本当の名前じゃないと作れないので、そして、苗字なんですが、下の名前だけにしておいた方がいいと思います。何しろ、貴族だと勘違いされたり、貴族で冒険者をやっている人などはほとんど居ませんので、村人と同じように、名前だけの方が良いと思います。』
『なるほど。すまない助かった。』
『いえ、いつでも頼ってください。私の、、、、』
レイは、女神を無視するように、念話をやめ、会話を再開する。
「レイだ。」
レイは、日本の苗字を捨てて、自分の名前を名乗ることにした。
「それでなんだが、さっき君が使っていた魔法はなんなんだ?窓から隠し見ていたのは、謝るがあれは、只者ではない。」
領主は、すこし真剣な険しい顔になりながら聞く。
やはり、レンの空間魔法は異常だったのだろう。
すると、女神は、俺が答えるまえに、念話を飛ばしてくる。
『待ってください。教えられないにしておいて下さい。更に、今は私の加護のことなど内緒にしておいて下さい。こちらから頼んだのですが、限られた人にしか渡せないですし、怜さんが持ってるとなると、国がこぞって取り合ったりしますので。私の怜、、、、』
最後は聞かなかったことにして、怜は、返事を返す。
『了解だ。』
『私の気持ちがわかりましたか!是非死んだら私と永遠に暮らしましょう!』
『まぁ、取り敢えず助かった。」
『では、これからはしばらく、念話に対応することができません。私の魔力が、消耗するので、何か質問があるときはそちらにきて下さい。私の教会の加護を持っているのは、世界教です。自分で言うのは恥ずかしいですが、世界的にも、かなり一般的な、教会ですので、どこにでもあると思います。』
『わかった。それじゃあまたな。』
『はい。いつでも。いつでもきて下さい。』
かなり念押しされたが、今は無視することにして、アルベルトと向き合う。
「そうですね、これは私のオリジナルで考えたものですので、教えるわけにはいきません。」
「そうか、すまない。気になったものでね。」
領主は、すこし頭を下げて謝った。
「いえ。構いません。それより質問してもいいですか?」
「あぁ、答えられる範囲なら構わないよ。」
「領主様と言われてましたけど、何処かのお偉いさんですか?」
「そんなお偉いさんではないよ。メルナルの辺境地の領主さ。私は昔冒険者でね、功績を上げれば、それなりに、土地などが与えられるんだ。魔物が攻めてきたときに守るようにね。」
「そうなんですか。」
「そうだよ。あと無理な敬語いらないよ。かなりしんどそうだし、私も昔は冒険者だったしね。」
領主は笑いながら、怜の心を読み解く。
「バレていたのか。すまない。かなり口が悪いから、かなり注意した方だったんだが。」
「それでも、注意してたのかい」
また領主は、笑う。
「あぁ、かなり頑張った」
「君は面白いね。もしよかったら。さっき周りにいた護衛のように、私の専属護衛なんてどうだい?勿論、給料は、高く払うつもりだ。」
「それはすまない。縛られるのが好きではないんだ。」
「そうか、冒険者志望は、わかっていたけど聞いて心が変わらないかと、思ったな。」
領主は、自分もかつてそうだったが、あまりにも、身近に優良物件があったため、声をかけたのだ。
「あぁ。それに関してはすまない。」
「いいさ、少し待ってくれ。」
領主はおもむろに、紙を出し書いていく。
「これを、ギルドに提出するといい。」
封筒に入れて、渡されたのは、刻印が刻まれていて、魔力に浴びた封筒だった。
「これはなんですか?」
「私は辺境地の冒険者ギルドとは昔から仲が良くてね、知り合いだから、鍛冶屋とかにも推薦状を書いてもらえるように書いておいた。」
「それは、ありがとう。」
「あぁ、よせよせ。私は感謝されるのに弱いんだ。それとお金は持っているのか?」
「いや、価値もわからないが。」
「そこまで、田舎だったのか。そういう村もあるから仕方はないけどね。」
領主は、すこし苦笑いしながら、説明をしてくれるのだった。