あたし、ナイスアイディア?
それから3週間ほどして、中間テストが終わるとすぐ、さっそく朝のホームルームで、優子が球技大会の説明をして、何の競技に出たいか考えておくようにと話をした。
球技大会の話題がクラスでちらほら出始めるようになって、授業中に雑談で球技大会の話をちょっとだけこぼしてくれる先生もいた。
もちろんあたしはバスケ一択。萌ちゃんは、バスケは疲れるからバレーにすると言っていた。
そして――。
「優子、あんたは?」
「実はまだ迷ってるの・・・」
優子はしょんぼりして答えた。
「え?明日の帰りまでに決めないといけないんでしょ。あと一日だけど、大丈夫なの?」
あたしが呆れて言うと、萌ちゃんはまあまあ、となだめるように言った。
「今はまだ朝だもん、実質あと二日あるって」
「まあ、そうだけど・・・」
あたしはため息をついて、「それで?何をそんなに迷ってるわけ?」と訊いてやった。
「だって私、体力ないし運動苦手だし・・・」
「あー、なるほどね」
萌ちゃんが、納得したように頷いた。
「バレーと卓球はすごい人気だし、残りは疲れる競技ばっかりだからねえ・・・バスケとかテニスとかフットサルとか」
「! ちょっと待って、フットサルって・・・」
あたしは優子を振り向いて、「ねえ、あんたフットサルにしたら?」と提案した。
「え?でも・・・」
「ゴールキーパーになれば、ほとんど動かなくて済むわよ」
「そっか!」
萌ちゃんが笑って、「翔子ちゃん、ナイスアイディア!」とあたしの肩を軽く叩いた。
「翔子・・・でも、こういうときって、キーパーは交代でやるんじゃ・・・」
「それくらい、チームの皆と交渉すればいいじゃない。どの競技にするか決められないよりよっぽどマシでしょ」
優子は黙って頷いて、まあとりあえずは一段落したらしい。