休み明けの悲劇
優子に再会してから入学式までの数日間は、本当に毎日苦痛だった。大嫌いな人と一日中一緒に暮らしていたのだから、当たり前だ。
でも、入学式の朝起きて、ようやくあたしの気分は晴れた。今日から、学校に行ってる間だけは、優子と会わなくて済むから。7クラスもあるんだから、さすがに離れるでしょ。
・・・と、思っていた。学校の前で、クラス表を見るまでは。
「うそでしょ・・・」
同じクラス、だった。
「あら、同じクラスね」と優子は笑っているが、あたしは唖然としてしまった。
また一緒なの?どうして?絶対嫌だったのに。
神様、あたし、何か悪いことしましたか――?
教室の中は、新学期が始まる日の独特な緊張した空気に包まれていた。さっきまで優子と同じクラスになってショックを受けていたあたしも、一気に緊張し始める。
でも、席に着くと、近くの子が「おはよう」とあたしたちに声を掛けてきた。
「私、田口萌。よろしくね」
小学生みたいな子だ。いい意味で。うさぎみたいに髪を横で二つにしばって、小柄でかわいらしい。
「はじめまして、原園優子です」
「原園翔子よ。よろしくね」
「名前、そっくりね。ふたごみたい」
萌ちゃんは笑って言った。
「まぁ、そりゃ一応ふたごだから」
「あっ、そうなんだ」
大しておどろかなかった。
「じゃあ、姉妹そろってこの高校に入った感じ?」
「・・・まあね。意図してそうなったわけじゃないけど」
「? どういうこと?」
きょとんとして首をかしげる萌ちゃんに、今度は優子が「あのね、私たち、小さいときに親が離婚して離れちゃったのよ」と説明した。
「高校に入って、たまたま再会したってわけ」
「えっ」
萌ちゃんは声を上げて、がたんっと椅子から立ち上がった。
「すごい!そんなことあるんだね!」
「そうでしょう?私もびっくりしちゃった」
優子はうふふっとうれしそうに笑っていたけど、あたしはムスッとして二人からプイと目をそらした。
「・・・あたしは、優子のこと嫌いだから別に再会しなくてもよかったけどね」
「え?なんで?」