恋するダリの粘膜は鋭敏、重層扁平
「ダリは恋についてどう思う?」相良はダリに尋ねる。
「恋?愛や性欲による交感神経優位な状態のことかな。」
「恋はただの生体反応の一つってことか」
「ただのってことはない。生体反応はこの世で最も洗練された反応の一つかな。」
「そうか。恋は説明がつくってことか」
「そんなこともないかな。しかし、説明がつかないままにして置いておくことはしない。」
「じゃあ、俺の感情はどう説明つける?」
「回りくどいかのように見せておいてストレートか。嫌いじゃないよ。全く。君のその身を焼くような感情は性欲だ。そして僕のもだ。」
「それが困るんだよな。」相良はため息をつく。
「僕は精神的には自立しているからね。他人を求めるのは性欲だけ。君は精神が自立していない。僕に依存している。でもそれでいいのかな。」
「愛とは欠けたピースを埋め合わすことだ。だから男と女が恋に落ちる。」
ダリはクビだけ。相良はダリにクビッたけ。
ピースを埋めた二人は一人になる。それは両者の変貌を意味する。だから今ぐらいの距離感がいいのだ。
相良は時々、ダリに咥えてもらう。それぐらいの距離感。