祈り
夜、窓の外から車のエンジン音が聞こえる
こんな時間でも活動している人がいる
人の時間はそれぞれだと肌で感じる
カーテンを少し開いてみると
向かいに建つマンションから灯りが
見える、白い灯りが
見知らぬ人に思いを馳せることを
おぼえたのは
村上春樹の処女作だった
どうしようもないことがあって
救うとか、助けるとか
やりたくても出来ないことが
うんざりするほどある、この世界に
生きる人たちに心をこめて
僕は・君たちが・好きだ
と言う
言葉で人を抱き締めた場面だ
私はそんなことは出来ないから
黙って祈る
信心深いわけじゃないけれど
念は通じるというから
具体的に特定せずに、細かいことはいわず
どうか良い方向に向かいますように、と