第8話 女神リリーヌの話
遅くなりました!!
今回は多くなりました。ちょっとずつでもいいので読んでくださいい
そこは意識の奥底で、誰も踏み込めない領域のはずだった。
しかし、そこに少女は現れた。この神聖な領域に…。
少女の名は「水鏡由来」。少女はこの世界の人間だった。───の子供であるのだ。───はいつの間にか子を宿し、別の世界に産み落とした。何の因果かその少女は、この世界に戻ってきた。
少女は「魔王」と「勇者」とになったいう、前代未聞の少女だ。普通の人間ならば、体は形を保つことができなくなり、滅びるはずだ。
本来「魔王」には魔族の一番魔法力が高いもの、「勇者」には女神リリーヌに認められさらに神族以上の何か秘めた力が必要なのだ。
その2つをこの少女は持っているというのか?
世界に絶望し、世界に失望し、世界を信じられない、心を闇に覆われた少女に、何があるというのか?
やはり「───の子供」だからだというのだろうか。我にはわからぬ。
我と同じ心を持つこの少女に、いったい何があるのか?
我は気になった。この数奇な運命を背負わされたこの少女に、これからどんなことが起こるのか。
闇しかなかった我の心に一筋の光が差し込んだ気がした。
ここは…?
さっきまで、ベッドに寝転んでたはずなんだけどな…。このわけのわからない、白い空間は何だ?白すぎて、目がちかちかするし…せめてもうちょっと色を足せ!!
「ここに入ってくるとは、やはりあなたこそ勇者…と言われるお方…」
なんか後ろにいる。振り向きたくないけど、ここで無視したら何かが起こりそうな予感がしたから、とりあえず振り向く。
そこには、人間ではありえないんじゃないかってぐらいの美女がいた。
もうこの世界では、何が起こっても動じないと決心していたので驚きはしたが、すぐになんとなく納得した。この人(?)が「女神リリーヌ」なんだと。
「女神リリーヌ様が何かあたしに御用ですか?」
半分あきらめて、問いかける。女神さまは優雅に「フフッ」っと笑って、楽しんでいらっしゃる。
「知っていただいているんでしたら、話は早いです。あなたをここに呼んだのは、アリアが教えたことに間違いがあるからです。」
間違いねぇ…。あたしは、すべて間違いだと思うですけどね。ま、いいや。そんなこと言っても何にもならないし。それよりも、続きを聞こう。
「初めて勇者が現れた時よりもさらに昔、人間と神の世界が分かれる頃の話です。長くなりますが、いいですか?」
「別に、大丈夫です。」
即答するあたしに、穏やかな笑みを浮かべる女神さま。でも、それも一瞬のことですぐに真剣な表情へと変わった。
「では…。そのころ地上には神族と魔族、人間と獣人そして野生の動物たち、魔物|(魔法を操ったり、動物以外の怪物とみなされるもの)が住んでいました。人間はこの四種の中でも、最も弱い存在でした。そこで私たち神々は、人間に力を与えたのです。神族とともに生きるためのすべというほうが正しいのかもしれません。それは、知識と考える力です。なので、人間は次々と新しものを発明していきました。神族や魔族の力なしでも、明かりがつくように、移動がスムーズになるようにと…。そして、その知能を魔法や神族の力に少しでも生かせるようにと、たくさんの魔族、神族が人間と結婚しました。獣人は、獣のような身体能力と頭脳を生かして、ほかに劣ることはなかったのです。
…いつしかそんなことも忘れるようになったのですが、やはり書物に残すことはしました。純粋な人間は数少なく、いつしか人身売買されるようになりました。それを操っていたのが、当時の魔族の権力者、「ミルセ・アセリアル」というものです。それには、愚かながら神族までもが加わっていました。人間たちは人身売買を操っていた者たちを倒そうと勇者を召喚しました。人間たちは人身売買を行っている幹部を倒そうと勇者を召喚しました。それで…「当時の神族長は「魔王がやっている」と主張。もともと勇者は「人身売買を行っている幹部」を倒す人。その勇者はきっと神族に連れられてたんだろうね。人間と仲のいい、または人間の血縁者に頼まれて。神族は、神族長を信じる。だから、必然的に敵は「魔王」と思わされる。それか「魔界」が敵と思われるか…。勇者たち一行は、後者のほうを思ったんだろうね。そして、魔界の人々を虐殺。魔界壊滅…て、わけでしょ?」
女神リリーヌの言葉を引き継ぐ。大体わかったので、ゆっくり話してもらうのも聞くこっちが疲れる。
女神さまは驚いたよう息をのんだが、それもつかの間のことですぐにあった時のような穏やかな笑みに戻った。
「さすがです。…あなたには、今回お願いをしたいことがあるんです。」
「まぁ、あたしが何してもお咎めしないんだったらいいよ。」
「もちろんです!!」
嬉しそうに返事をする。
これであたしもこの世界で自由に動ける…フフフフフ。
「アリアに、真実を伝え神族長を説得してください。そして、あなたの近くにいる元魔王である方に先代が「人身売買を行っていた。」ということを、伝えてください。そして、魔族と神族と人間の仲を取り持ってください。できれば獣人もお願いします…。」
控え気味に、申し訳なさそうに頼んでくる人を見るとどうしても助けてしまう。自分がそうであったからなのかもしれない。
あたしは、渋々ながらもそれらを了承しジュノとアリアのもとへ返してもらった。
誤字脱字、感想等お待ちしています!!