第6話 ここはどこですか?
「はい?」
思わず返事をしてしまうも、すぐに後悔する。
ジュノは猫の姿に戻り、おとなしくあたしの横に座る。
「失礼します。突然このようなところに連れてきてしまったことをお詫びいたします、勇者様。」
入ってきたのは、長い金色の髪をカールしているのどこか不思議な雰囲気を持ったような少女だった。
あたしたちは、しばらく放心状態。でも、先に我に返ったジュノに服を引っ張られて我に返った。
そして少女の言葉を頭で復唱して、ある単語が頭に引っかかる。
…今この子あたしのこと「勇者様」って言わなかった?
確認のため、ジュノのほうを見ると、ジュノも頭に「?」マークを浮かべていた。
これは、この少女に聞くしかないね。
「ねぇ、今あたしのこと『勇者様』って言った?」
「はい。あなたほど、勇者の器にふさわしいお方はこの世にはいません。」
満面の笑みで言われるときついな。かわいいから…。ロリコンってわけじゃないけどね!!
「まだなってないよね?」
少し不安になり、問いかけると、笑顔でうなずいてくれた。
よかった。まだ魔王だけでいられた。これ以上、人ならざる者なんかになりたくないからね。ここで、ゆっくり過ごせないし…。
「私は女神リーヌの加護を受け、勇者様を探すもの、アリアと言います。お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「水鏡由来。あと、最初に言っておくけど、あたし勇者になんかならないから。」
あたしがそう言い放つことを予想していなかったようで、硬直してしまっている。
うーん、このままだとまた面倒事に巻き込まれるような気がする。それだけは勘弁してほしい。しかも自分で自分を倒すなんて無理に決まってる。少なくともあたしは、そんな話聞いたことない。
瞬間移動と唱えようとしたとき、少女改めアリアがあたしの腕にしがみついてきた。
うーん女の子としては、とっても力が強い。というより強すぎ。痛い、痛い、痛い。
「待ってください、ユウラ様!!魔王のせいで、この国は今深刻な食糧不足や犯罪の被害にあっているんです!!」
そう言った瞳は、本当のように思えた。隣で、猫になってるジュノが「シャー!!」と怒りむき出しになっているのに気付き、考えをかえる。
最初に悪さをしたのは、どちらともいえないんだろう。どっちも両方の国同士で、悪さを働く者がいたんだろう。そうじゃないと、こんな考えには至らない。そして、魔王が倒された今、魔族|(優秀な魔法使いが生まれる民族)は生きづらい思いをしているはず。だから、仕方なく狼藉を働くこともあるのだろう。でも、だからと言って悪さをしていい理由にはならない。これはどちらも態度を改める必要があると、あたしはこの2人の話を聞いて思う。
「でも、魔王は前に召喚された勇者によって倒されたんじゃないの?」
ま、復活してるけどね。なる気なんて1mmもなかったけど、噛まれたんだから仕方ない。
「はい。ですが、また復活したと女神さまが仰られていました。」
その女神にあって、一つ文句を言ってやろうか…。あんな美しかった国を、亡ぼすなんて神様のやることじゃない。女神のやることなんかじゃ…。
そう思っていると、不思議な空間であの映像のようなものを見た時と同じ、『憎悪』という感情がまた、湧き上がってきた。
「ユウラ様が、今までどのような生活をしてきて、どんな歴史を学んできたのかはわかりませんがこれが真実です。」
アリアがそういうと、ジュノの時とはまた違った不思議な空間に連れてこられた。
そこには、スクリーンのような穴が開いていた。
題名からわかっちゃいますけど、魔王と勇者になる予定なんですよ、本当に!!
ですがまぁ、いろいろと書いているうちにどんどん思いついちゃって、勇者にはなかなかならしてくれません。自分の頭がww
次回には絶対勇者をやらせます!!