第4話 魔界について。
なんだか、ユウラの突っ込みが多くなってきたような…
まぁ、いいですよね。
第4話は残酷かどうかわかりませんが、ちょっぴり入ってるかもです。
自分的には、そんな気がしませんが…
楽しんでもらえれば光栄です!!
「昔はもっときれいなところだったんだよ。」
元魔王の声に耳を傾けながら、目の前の荒れ果てた大地に目が釘づけになる。
どうしたら、こんな大地になってしまうのだろう?昔はもっときれいなところだったってことは、緑もあったのかもしれない。もしかしたら、元魔王のいたところはさっきの露店街よりも、もっと素敵なところだったのかもしれない。
「今ユウラが見ているのは魔界。僕がいたところ。勇者が来る少し前まで、お店がたくさんあって、魔界の人たちもたくさんいた。」
元魔王が、喋るたび画面が変わっていった。今は、とてもきれいな緑があふれるきれいな場所だった。元魔王が言ったように、たくさんのお店と魔界の人たちいた。そして、お城には整った顔立ちの青年がいて街を見ていた。穏やかな表情だった。
「ところがある日、魔界に人間たちが襲ってきた。」
悲惨な情景。一方的に虐殺しているように見えた。人間たちは、自分たちが正しいと信じて疑っていない表情だった。
でも、正しいわけがない。あんなきれいなところを血で埋め尽くしてしまうなんて…。久しぶりに自分の中で感情が芽生えた気がした。“憎悪”という感情が…。
「人間たちは、街で起こる流行病や暴動、殺人、行方不明者は全部、魔界にいる人のせいだと信じていた。そう信じ込まされていた。」
誰になんてとても聞けなかった。元魔王はこんな映像すら見たくもないだろうに、あたしにこの世界について教えてくれているのだろう。
「それから幾度となく、人間たちは襲ってきた。勇者は、異世界から連れてこられた人間だった。そんな勇者を信じ込ませるのは簡単で、流行病にかかっていた僕は、簡単に倒された。残ったわずかな力でこの姿になったことは気づかれなかったんだ。だからこうやって、ユウラと話ができる。」
元魔王はあたしに笑いかける。
これを全部信じるなんてできない。あたしは誰も信じない。確かな情報がつかめるまで、このことは1つの可能性として頭に置いとくだけ。でも、倒されったってのは信じれる。だって、今の元魔王の姿がそれを物語っている。
「あんたの今話したこと全部信じることはできないけど、魔界の事情は大体わかった。でも、あたしは魔王としての役目なんて果たさない。」
「ジュノ」
「ジュノ?」
「僕の名前。僕はもうこの姿でいる必要はないけど、ユウラには見せとくね。本当の姿。」
あたしの言ったことを無視して、一方的に話を進めるジュノ。流れを自分のほうに持っていくのが得意なのだろう。
本当の姿って、もしかして獣みたいな姿?
さっきまで、猫がいたところにさっきの映像で見た、整った顔立ちの青年が立っていた。
そんなに驚くことはなかった。さっき出てきたときにそうかなぁ?って思ってたから。でも、いざ目の前に現れると、「イケメン」って思う。モテたんだろうな、なんて場違いなことも思ってしまう。周りにいる人を老若男女問わずに、見とれさせてしまうようだった。
「僕ね、実はユウラの2つ年上なんだよ?17の時に魔王になったから、体はこの1000年ぐらいでもせいぜい1年ぐらいしか経ってないことになってる。」
1000年で1年ってどんなだよ!!っと突っ込みたくなったが魔王だから、と思って納得してしまった。自分の中で、「魔王だから仕方ない」とすべてを済まそうとしている気がする。
しかもこんな頼りなさそうな美少年が年上ってなんかヤダ!!
「ユウラと2人っきりの時以外は、猫の姿でいるから安心して。」
魔王じゃなくてもなれるんだ。って言うか、2人っきりの時でも猫の姿でいてくれたほうが、気が楽なんですけど!!
「と、言うことでこれからもよろしく!!」
どういうことでだよ!!