第3話 ついに魔王にさせられました。
何なんだよあの魔王。魔王だから自己中なのは仕方ないけど人の気持ちがわからんのか!!わからないか魔王だし…。
「同情されるとでも思った?残念。あたしそんな優しい人間じゃないから。そんなんだったら誰か別の人を探して。それじゃ、あたしはこの世界でも満喫してこよ~っと。」
ここは異世界。そして不思議な水の中。何でもありじゃないけど、魔法ぐらいなら使えるんじゃないかな?
「瞬間移動」
一言唱えてみると体が青白い光に包まれる。とりあえず適当に言ってみただけだったから、正直驚いた。それと同時に胸の中は、何かに解放されたような感覚になった。
目を開けたら、そこはたくさんのお店が立ち並ぶ商店街…露店街?のようなところの裏道だった。
「いきなり瞬間移動とかしたらびっくりするじゃないかぁ。でも一言でできるなんてさすが魔王。」
勝手についてきたらしい。肩に引っ付いていたから、ぺりっとはがすと近くにあったゴミ箱に捨てた。
「な、なんてことするんだよ!!魔法を教えてあげるし、この力もあげるし、魔王になってくれたら好きなことしてもいいからさ!!」
かなり必死に叫んでいる。でもいいことを聞いた。魔法も使えて、魔王の力も手に入ってさらに好きなことをしてもいい…まあメリットばかりではないがこれだけメリットがあるんだし、引き受けてもいいかな?
「じゃ、引き受けてくれるんだね!!」
誰もそんなこと言ってねぇーよ!!っていうか、心読んだのか?魔王だから、それぐらいできるのか?
何をするかと思ったら、ゴミ箱から飛び出てきた。
「自分で出れるのかよ!!」
「てへ」なんて言ってのそのそと肩に上ってこようとする魔王をつかみほっぺたをビローンと伸ばす。
「誰が魔王になるなんて言ったの?」
「ふみまふぇん。」
とりあえず誤ったので、地面に降ろす。すると、いきなり飛びかかってきた。
ガブッ
思いっきり噛まれた。
「痛いよ!!」
叫びながら、腕をかんでいた魔王を振り払う。
やはり猫。華麗に着地した。
それに苛立ちながらも、噛まれた腕をさする。
「これで君も魔王だ!!」
?????なんで噛まれただけであたしが魔王になんないといけないわけ?ただ噛まれただけだよ?
「君の血液を僕が飲んだんだ。そうすることによって、君には一つだけ僕の願いをかなえてもらわないといけなくなる。君がどこにいようと、居場所もつかめる。反対に君も僕がどこにいようと居場所をつかめる。噛まれたからね。」
強制的かい!!
「ちゃんと納得してもらうつもりだったけど、君には無理みたいだから。」
当たり前だよねぇ!!あたし人間だし、まだ16歳だからさ!!こんな歳で魔王になんぞなりたくないよ。
「じゃあ、行くよー!!ミカガミユウラは我との契約によって魔王となる運命となる。今ミカガミユウラに力を与えたまえ!!」
マジでやりやがったよ、こいつ!!
見えないはずだけど、感覚で右目が金色に染まるのがはっきりとわかる。それはいい。もともとハーフで金髪碧眼だがらね。髪はちょっとだけ色素が薄いけど。それにオッドアイになるのか。まぁいいか目の色なんて。
あーあ。ついにあたし魔王になっちゃうんだ。まぁ、魔王としての仕事なんて一切しないけどね。でも、力は便利そうだし。でも、勇者が現れたらあたしって追いかけられるんだよね。…面倒事に巻き込まれた!!どうせなら、普通の人のままこの世界で好き勝手したかったのに…。
色んな事を考えていると、意識が途切れた。
ひんやりとした感触がして目が覚めた。
ん、ここどこだろう?さっきまで露店街にいたはずなんだけどな…。あぁ、あれか。魔王の力を受け継いだからか?
考えたがやめた。わからないから。とりあえず目の前にあるものが気になった。
スクリーンのような丸い穴。そこにいきなり荒れ果てた大地に、見たこともない生き物が歩き回ってる映像のようなものが現れた。そして隣には魔王も。
「昔はもっときれいなところだったんだよ。」
その声は、切なくて悲しくてあたしの中にある嫌なことを思い出させた。
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