第26話 遊びましょう。1
「おい、聞いたか!?隣の魔族の村から使者がくるんだってよ。それに噂では、アリア様が同行されるそうだ」
魔族の村襲撃事件から1週間が過ぎたある日、小さな神族の村ーートルリーノ村では、そんな噂が流れ始めていた。
セルリアの館でやっかいになって、ミゼントさんから沢山のことを教えてもらった。……といっても、主に魔法に関することである。
セルリアとジュノはどこかぎこちないが、初々しい雰囲気を纏わせて、当初の目的も忘れ毎日楽しそうに過ごしている。今までで一番楽しそうだなと思いつつ、このままふらっとひとりでどこかへ行こうかという考えが頭をよぎる。だが、トルリーノ村に行くまではそんなことは出来ない。楽しいことがあるのに、それを逃すわけにはいかないのだ。
「ユウラ様、本日の昼食は何に致しましょうか?」
「うーん、なんでもいいけど……質素な感じでお願いします」
「かしこまりました」
しばらく悩んだ挙句、えらく抽象的なものを頼む。けれどミゼントさんは、この短期間であたしのこ好み、嗜好を把握したようで、いつもあたしの満足する料理を提供してくれる。非常にありがたい。
そしてあたしはこの一週間ほどですっかりここに馴染んでしまっており、使用人のみなさん、村のみなさんと仲良くなってしまっていた。
元の世界にいたころには、ありえない光景であった。
ここの人たちを受け入れる自分に戸惑いを感じつつも、自分の居場所が出来たことの心地よさがあった。
「ユウラ様〜!! 本日はどちらに行かれますか?」
リーナという私と同じ歳ほどの少女が、特にいつもそばにいた。そして、慌ただしいリーナとセットのようにカインという少年もそばにいた。
「どこか静かな場所に行ってるよ。2人とも気にしないで、他の仕事してたらいいよ」
「義兄さんにあなたの身を守るよう、きつく申し付けられていますので、お一人での行動は出来ないと考えてください」
ここに来てから何度目かの同じ返事に、ため息をつきながら体を伸ばす。
全く、面倒な言いつけである。あたしはお子様ではないのだから、少しはほっておいてほしいものだ。
最近、本ばかり読んでいて全く体を動かしていないことに気づき、ニヤリと口角を上げ、リーナに向き直る。
「ねぇ、鬼ごっこしようか」
遅くなりました。
今月中にもう一話出す予定ですが、4月の頭になるかもです。




