第23話 襲撃された村。
戸惑いまくっているジュノを引きずりながら、村長の家に行く。
この村の住民たちは、ジュノを見るとすぐに村長がどこにいるか教えてくれた。きっとジュノを魔王だと思っているからなのだろう。
まぁ、本当はあたしなんだけど……そんなことを言ったら色々と面倒なので勘違いしといてもらう。
たどり着いたのは村の中で一際大きな家。いかにもトップが住んでいますというような家だった。乱暴にドアを叩くとシャッキとした老紳士が出てきた。そしてジュノを見ると何も言わずに家の中に入れてくれた。
広間につき、老紳士が急に立ち止まった。ちらりとあたしたちに目を向ける。すると、いきなり氷の矢が後ろから飛んできた。
老紳士の手に目をやると、小さなペンが握られていた。
よく見てみると、口が動いている。あたしはその矢を右によける。すると今度は、正面から飛んできた。
ジュノが危ないな、と思いジュノの周りを光の壁が囲む。あたしは上に飛び、次々とやってくる氷の矢を右へ左へとステップを踏むようにかわし続ける。
何度か、わざとジュノに向かって当てていたようだが、すべて光の壁の前に砕け散った。しばらくそんなことを続けていると、急にぴたりと攻撃がやんだ。
「おやめなさい、ミゼント」
声のしたほうには、一人の少女が凛々しく立っていた。
「ご無礼お許しください、魔王様」
あたしは床に静かに降り立ち、頭を下げてくる少女を不審に思う。
あたしが「あの……」と遠慮がちに声をかけると、頭を上げ少し微笑んだ。そしてもう一度、あたしに向かって頭を下げた。
「申し遅れました。私はここの村長でセルリア・キートンと申します。今貴女様に無礼を働いたのは、執事長のミゼント・ワシグル。貴女様が魔王であることは承知しておりましたが、一応確認のため、攻撃させていただきました」
優雅に頭を下げ「本当に申し訳ありません」と執事ともども頭を下げられて、あたしは少し戸惑った。
そんなあたしの戸惑いをよそに、壁がなくなりあたしから解放されたジュノが、陽気にセルリアと名乗った少女に声をかけた。
「久しぶりだね〜。というか、よく僕がもう魔王じゃないってわかったね、セルリア」
「当たり前です、ジュノ様。私を誰だとお思いですか?」
そういえば、ジュノは人間の姿でいるようになってから、あたしに敬語ばかりを使うようになったなと、ふと思った。
「うーん、魔力の女王。別名・氷の女王」
「わかってらっしゃるじゃないですか」
ふふふ、と可愛らしくだが何処か大人っぽく上品に笑った。
2人の世界に入り、色々と話しているのを横目に、ミゼントと呼ばれていた執事に目を向ける。執事も気づいたようでこちらに目を合わせる。数秒、あたしたちはじっと目を合わせる。
そして、ジュノ達に一言断ると2人でその場を去った。
執事について行くこと数分、少し高級そうな部屋の前に着いた。執事が扉を開けた先には、白を基調とした落ち着いた感じの家具がバランス良く配置されていた。
「どうぞお入りください」
そこでやっと口を開いた執事に促され、あたしは部屋へと足を踏み入れた。
絨毯に足をつけると、柔らかすぎず、硬すぎず、丁度良い安定感が体を支えた。
近くにあった大きい3人掛けぐらいのソファに座り、向かい側の1人掛けのソファに執事が座る。
「先ほどのご無礼お許しください」
「気にすることはないですよ。仕える者にとって主の安全が第一だということはわかっているので…」
自嘲気味に少し口角をあげ、執事に笑いかけた。
多分2人は今もまだ思い出話でもしているだろう。
遅くなりました
すみません。
今回は少し短かったのですが、いかがでしたか?
楽しんでいただけたのでしたら光栄です!




