第20話 認識の差がここで出ました。
ノックもせずにジュノの部屋に入り、説明もせずに勝手に話をすすめた。
ジュノは驚きすぎて固まってるみたいなので放っておいた。
さっきからずっと秋の話を聞いていると、神族が善人、魔族が悪人という、古典的な「勝ったほうが歴史をぬりかえる。」というものが行われていた。
「あぁ、やっぱ君たちが教えられてきた歴史って間違ってるね。」
ぼそっとつぶやいたつもりだったが、聞こえてしまったようで、アキの怒りを買ってしまった。
「おい、それは神族を侮辱しているのか?」
さっきの発言のどこに侮辱要素があるのかよくわからないが、とりあえずアリアにヘルプの視線を送ると、伝わったようでアキをなだめてくれた。
「兄様、ユウラ様は侮辱しているんじゃなくて真実を語っているんですよ。私も女神リリーヌ様から直接、ユウラ様がお話になられたことを聞きました。今まで私たちが教えられてきた歴史は間違いです。」
「じゃぁなんで、今頃そんなことをリリーヌ様は言い出したんだ?」
「私と長時間話すお力がなかったのです。ですがユウラ様の手助けのおかげで、私はリリーヌ様とお話しすることができました。」
そういうと、アキも渋々ながらも納得してくれたようだった。
アキに本当の歴史を教えると、非常に驚いた様子だった。
まぁ、当たり前と言えば当たり前なんだが……。けど、ここまで驚きをあらわにしなくてもいいと思う。というか、自分たちの歴史がぬりかえられたものだと思ったことなかったんだろうか?
それだけ神族を誇りに思っているという表れなのかよくわからないが、どうでもいいことだ。
「驚くのも無理はないと思うけど、そろそろ神族の目的教えてよ。」
アキの瞳の奥には秘密が視えた。それを暴かれると思っていなかったのか、動揺の色を顔に浮かばせる。こんなことで、顔に動揺を見せるなんてアキもまだまだだな、なんて思ってしまう。アキの様子など気にせず無言でじっと見つめる。アキは言うべきかどうか迷っているように見えたが、先にジュノが口を挟んだ。
「何をたくらんでるのか知らないけど、魔族に危害を加えるようなことじゃないよね?」
これが最後の一押しとなり、アキは苦虫を噛み潰したような表情で口を開いた。
その内容はジュノの期待を裏切るものだった。そしてジュノは怒りに任せて、魔法を使った。これは予想済みだったので、前に練習して準備しておいた「壁」を発動させる。ジュノの周りとアキの周り両方に。ジュノに水をぶっかける。言葉の通り頭を冷やすため。これもあらかじめ練習していた魔法の一つ「水流」である。
これはあたしが勝手に想像したらできちゃった魔法であって、本当はもっとちゃんとした「水を出す」「水を操る」魔法がある。あたしが大雑把なためこんなアバウトな魔法になってしまったのだ。
ジュノは水をかぶり少しは頭が冷えたようで、魔法を中断させた。だが、その目には嫌悪と憎しみ、憤怒がまじりあっていた。
「お前たちの勝手な勘違いで平和を奪われた魔族から、お前たちはまたやっと訪れた少しの平和を奪おうというのか!!今度はお前たちの身勝手な考えによって!!」
魔法ではなく、言葉でいかりをあらわにした。今回悪いのは神族。それは決定だ。アリアはこのことを知らなかったようで、目には混乱と神族長たちに達に対する疑心が浮かんでいる。あたしはその光景を傍観者として見守っている。
「仕方ないだろう!魔族を全滅させない限り、神族に真の平和は訪れないんだ!!」
変な考え方でも植えつけられたんだろうか?というぐらい正気じゃない考えだ。今は神族は平和に暮らしている。そりゃたまには不祥事も起こるけど、みんなあまり気にしていない。気にしてるのは上の者だけだ。
まぁ、小さな集落からしてみれば魔族がいつ襲ってくるかとびくびくしているのかもしれない。でも、魔族も人。神族も人。人が人の気持ちをわからないはずがない。
そして、「プチッ」とあたしの中で何かが切れる音がした。




