第14話 神族長とご対面。
あれから数日が過ぎて、神族会議の日となった。
続々と集まってくる神族たちをあたしは好奇の目でいつも見ていた。
様々な力を使い、様々なことをアリアに見せる神族の氏族長たちは、なんだか滑稽に見えた。
だって、アリア見た目は笑ってるけど目が笑ってない。毎年こんなものを見せられてるんだろうな。ドンマイ、アリア。
そんなことを思いながらも、1人見渡しのいい部屋の窓から集まってきた氏族長とアリアの微妙な表情を楽しんでいた。
ふと、向こうの世界で唯一親しかった幼馴染の顔を思い浮かべる。
どこか幼げで、でもしっかりとした自分の意思を持っている。いつもみんなの中心にいて、優しい笑顔を振りまいていた。でも、時々どこか冷めたようなはかなげな笑顔を見せるときがある。
そんな彼の笑顔の意味を、その笑顔すら気づいていない周りの人間は残酷だといつも思っていた。
そんな奴らとつるんでいる彼を見ているとイライラした。この世の残酷さを知らない奴らとつるむなんて、誰彼かまわず笑顔を振りまくなんて間違っていると、何度も何度も彼に言った。
でも彼は「俺はユウラみたいに賢くないから、わからないけど…今を楽しみたい。」
あたしにしか見せない笑顔でそういった彼とはあれ以来話していない。最後の姿だった。あたしがここに来る前に見た、純粋に笑っている彼を見たのは。
元気でやっているのだろうか?
それまでほとんど気にかけていなかったはずの彼の姿を思い浮かべる。
昔は弱かったけど、今は強くなった。最近は不良っぽくなったけど、何か守るものがあるみたいだから、止めはしなかった。
元いた世界でのことを思い出していると、コノルが扉の向こうから声をかけてきた。
少々驚きつつも、返事をすると難しそうな顔をして入ってきた。
「少し早いのですがベルウェール様がいらっしゃっいました。アリア様からお話を聞かれたようで、ユウラ様とお会いしたいと仰っていますが、どうしましょう?」
うーん、最後に来ると思ってたのに…。早く会いたかったけど、まだ考えがまとまってないんだよな。というか、ノープランだし。まぁいいか。どうせノープランになっちゃうだろうし。今更気にしたって仕方ない。
どーせ、この世界はめんどくさい事であふれてるんだし。
若干開き直りながら、コノルに連れてくるよう伝えた。
コノルの声が聞こえたので、入ってくるよう命じる。
すると、背の高い…170㎝ぐらいだろうか?…男が入ってきた。
金髪碧眼。きれいに整った顔立ち。すべてを手に入れているような、勘違い野郎のよくする人を見下したような笑顔。
見ているだけでも吐き気がしてくる。すぐに顔をそむけるのも失礼なので、とりあえず立ち上がり浅くお辞儀をする。
「初めまして、ユウラ様。神族長、ベルウェール・アセリアルと申します。本日はどのようなお話でしょうか?」
挑戦的な目を向けてくる神族長を鼻で笑い、逆に挑発してみた。
おっと、コノルに部屋から出てもらわないと本題には入れないな。
目で合図を送ると、すぐに察してくれたようで静かに部屋の外に出てくれた。
「アリア様から大まかなことは聞きました。本当に、女神リリーヌ様からそのような話を聞いたと仰るのですか?」
さっそく本題か…。まぁ、だらだらと話すのは嫌いだしあたしが言ったことをちゃんと伝えてくれていたみたいでよかった。
「本当だよ。あたしがあんたたちに嘘をついて何になるというの?」
「そうですね。貴女にはメリットもデメリットもないようですし…。で、どうして僕を呼んだんですか?」
ニッと口角をあげ、試すように神族長を見る。
「神族長にはあたしに協力してほしいんだ。ほかの族長たちと仲良くしてもらうためのね。」
一瞬目を見開き驚いたような表情を見せたが、すぐにあの笑顔に戻す。
こいつもなかなかめんどくさそうだ…。
「それはつまり、魔族とも…ということですよね?」
「まぁ当たり前だよね。今の話的に。神族は人間とはうまくやってるみたいだから、そこは放っておくけど、獣人と魔族とも仲良くしてもらはないといけないんだ。」
「何故…?」
何故、ねぇ。普通こんな敵対するよりも、仲良くしたほうがこの世界のためってわかると思ったんだけどな。
「今は答えられない。でもそれが女神リリーヌの願いだから。」
“女神リリーヌ”その名前を出しただけで、神族は一喜一憂する。そんな姿が面白い。自分たちには見えない存在に、どうしてそこまで感情を入れるのかも理解しがたい。
神族長であるこいつも例にはもれず、真剣な顔をして考えている。
その表情に思わず、「ぷっ」っと噴き出していまった。
神族長は怪訝な顔をしてこちらを見るが何事もなかったかのようにスルーした。
「そんなに考える時間がいるなら、この屋敷から出ていくまでに決めておいて。たいていはこの部屋にいるけど、どこにいるかはその時の気分次第だから、決まったらすぐにでもあたしに伝えてね。いい返事を待ってるよ。」
不敵な笑みを浮かべながら神族長を見やると「では、失礼します。」と少し悔しそうに(何故だかわからないけど…)出て行った。
うーん、いい返事がもらえるかはわからないけど、そう仕向ければいい話か。
今後のことを考え、少し面白くなってきそうだと思った。




