第11話 ある神の話。
少女ユウラはまたも、過酷な運命に身をゆだねてしまった。
どうにかしたいと願う我もいる。反対にユウラがこれからどうするのか見てみたいと願う我もいる。
どちらにしろ我はこの世界に干渉できぬ。
ただ見ているだけの、傍観者。
だが誰かの夢を通してなら我もこの世界に干渉できる。
我の夢を見たものは、我を神だと思うのだろうか?
今までそんな輩は一人もいなかった。…一人だけいた。ユウラの母がそうであった。
我の意思をこの世に伝えることができた、数奇な運命を背負った人間。
彼女には過酷な運命を背負わせてしまった。
少しだけ彼女の話をしよう。
まだ四種族が生まれたばかりのころ、人間の種族に彼女は生まれた。
彼女は並外れた知能を持っていた。そして、人間にしては珍しい魔法と神族の力に対する抵抗も持っていた。
だが、彼女には父も母も肉親が誰一人としていなかった。
孤児院で育った彼女は、周りから羨望の眼差し、期待の眼差しを数多く注がれていた。反対に妬みなどの眼差しも多かった。
特に同じ孤児院にいる、同じ年の子や年上の子たちからはひどくいじめられていた。
それでも彼女は屈せず、己の道を貫いた。
やがて彼女が12、3になると魔族や神族たちにも彼女のことは伝わっており、多くの求婚者が現れた。
端正な顔立ちをしていたため、人間の求婚者も多く現れた。
彼女はお金持ちの人や、権力者がどれだけ来ても首を縦には振らなかった。
我にもそれは不可解だった。その中にはかっこいい者もたくさんいた。彼女と釣り合う者もいた。
だが彼女は、頑なに断った。
しばらくすると、どうやってでも彼女を手に入れようとする輩が現れた。
魔族と神族のそれぞれの権力者たちだ。
普通の人間では確実に倒れてしまうような魔法や神族の力も、彼女は自分の知識と身体に備わっている能力を生かし、懸命に逃げた。
そうして数年が過ぎ彼女は16になった。
いまだに逃げ続け、彼女の体も心もボロボロだった。
その時、一人の男が出会った。欲もなく地道に一生懸命国のために働いている男に。
彼女はすぐにその男に心惹かれた。
その男も彼女を一目見て心惹かれた。
出会ってから数か月過ぎたころ、2人は仲睦まじい夫婦になった。そしておなかに子供を一人授かった。
男は魔族の父と神族の母を持っていた。
だから子供は三種族の血が混じった子なのだ。
子供は生まれた。元気のいい女の子だった。それがユウラ。
我は少女の何もなさに驚いた。人間と魔族と神族。この3つの血が混じっているにもかかわらず、知能は人並み、魔法も神族の力も何一つ持って生まれなかったのだ。
ユウラが生まれたころ、男を妬むものがたくさん現れていた。
そして悲劇は起こったのだ。
ある夜、黒い服を身にまとった男が数名、彼女たちの住む家に忍び込んだ。
そして、男を殺そうとナイフを取り出し、大きく振りかぶった。
男は気配を感じており、彼女にユウラを抱いて逃げるようにと言った。
彼女は何度男に言われても逃げなかった。
一生ついていくと決めていたからだ。
男は彼女とユウラを守ろうと、懸命に戦った。しかし、多勢に無勢。体力が尽きた男はついに殺されてしまった。
彼女は叫んだ。男をゆすりながら、涙を流しながら。
我の心は引き裂かれそうになった。どうして何も悪くない男が殺されないといけないのだろうか?
彼女がやっと手に入れた幸せを、こんなにも早く奪ってしまうのだろうかと…。
泣き叫ぶ彼女の声を聴いて、近隣の人たちが起き始めていた。
数名の男たちは「もし何かあったら彼女も殺せ。」と命令されていた。
数名の男たちは彼女を殺した。彼女が抱いていたユウラは、彼女と男の間に挟まれ殺されずに済んだ。
だがなぜ、彼女たちはこんな風に殺されなければならないのだろうか?
ユウラという幼い赤子を一人残して…。
我はこの世界に絶望した。
そして彼女の子、ユウラをこのままにしておけないと思い、我の力でユウラを異世界へ送った。
それなのに、どうしてまたこの世界に戻ってきてしまったのだろうか?
また彼女のような数奇な運命がユウラを待っているというのに…。
我がちゃんと見ていないせいだ…。
すまない―――。―――には返しきれない恩があるというのに…。
「悔やまないでください。あなたのおかげで私は最悪の人生を送らないですんだのです。あの人と出会えて、ユウラを授かって幸せでした。たとえほんの少しの時間でも…。そして、あなたのおかげで私は今も夫と2人ユウラを見守れています。私たちにとって最高の幸せです。」
我にいつまでも優しくあり続けてくれている―――ありがとう。
ユウラよ早く我に気づいておくれ…
なんだかわけがわからなくなってきました。
前の話で、ジュノとアリアに教えちゃったからこれからどーしよーかと悩み中です。
ですが、頑張って書いていきますので次も読んでいただけたら嬉しいです。
誤字脱字があるかもしれませんが許してください。
感想等お待ちしております。




