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なにもないオレたちの、なにもかもがある英雄譚  作者: くーねるでぶる(戒め)


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005 練習練習練習

「うおらああああああああああああああああ!」

「うぐっ!」

「うおっ!?」


 イザベルがいつものパン粥を作っている宿の庭。そこでゲッツとデニスが練習していた。フーゴさんに教えてもらった盾を使った受け流しの練習だ。


 ゲッツがオーク役として大きな棍棒を振り回し、それをデニスが盾で受け流していく。


 この受け流しという技術は、盾を持つ者としては必須の技術らしい。それをデニスはフーゴさんに教えてもらえたわけだ。逆に言えば、今のデニスならば習得できるとフーゴさんが認めたということだ。ちょっと、いや、だいぶ羨ましい。


 ゲッツとデニスの練習を見ていると、受け流しの効果は絶大だった。これまでは力を籠めてゲッツの攻撃を耐えるだけだったデニスが、受け流しを覚えたことでゲッツの攻撃の方向をズラし、それによってゲッツが体勢を崩してしまう。


 オークで同じことが起きたら、攻撃の大チャンスだ。


「くっそ! もう一回だ!」

「うん、それはいいけど……」


 なんかゲッツの方が悔しそうにデニスに練習をせがんでいた。普通、逆じゃないかなぁ。


「二人ともよくあんな大きな武器振り回せるよね! すごい!」


 ザシャがキラキラした瞳でゲッツとデニスを見ている。


 たしかに、ゲッツの振り回している棍棒も、デニスが使っている盾も大きい。オレも持たしてもらったことがあるけど、かなり重かったのを覚えている。二人も最初は武器の重さに苦労していた。


「慣れもあるんだろうけど、二人とも努力してたんだよ」

「うん! だから、すごいなって」


 オレはザシャの右手を手に取る。ザシャの右手の指は女の子の指とは思えないくらい硬くなっていた。


「そう言うザシャだっていつも弓の練習してるだろ? それもすごいことだよ」

「あたしはまだへたっぴだけどね」


 そう言ってにへらと情けない笑みを浮かべるザシャ。


 たしかに、ザシャの弓の命中率はよくはない。誤射でオレに当たりそうになったことも一度や二度じゃない。


 いつか、ザシャの努力が報われるといいな。


「できたわよ。帰ってきなさい」


 鍋の前でパン粥を作っていたイザベルの声が聞こえる。


「じゃあ、食べに行くか」

「うん!」


 ザシャと共に木の器を持って鍋の前に集合すると、ほかほかと汗をかいたゲッツとデニスもやってきた。


「二人とも、これ」

「さんきゅ!」

「ありがとう」


 ゲッツとデニスの二人に木の器を渡すと、二人はさっそくイザベルの前に並んだ。


「おん? いつもより多くねえか?」

「私のを少し分けてあげるわ。がんばっているからね」

「いいの? ありがとう!」

「さんきゅうな!」


 イザベルも二人を応援したいのだろう。


 その後、オレたちは体を拭いて床に就いた。狭い室内に二つの二段ベッドがある部屋だ。ちなみにオレは左の上である。その下はデニス、右の上がゲッツだ。右下のベッドは武器や道具置き場と化している。


「じゃあ、お休み」

「うん、おやすみなさい」

「おう」


 横になるとすぐに眠気が襲ってくる。そろそろ暑くなってくる時期だが、今日は比較的涼しいのもよかった。


 オレはすぐに意識を手放した。



 ◇



 翌朝。


 オレたちは早朝から動き始める。いつものようにパン粥を食べて城塞都市ヘーネスの街並みを突っ切り、藪の中の一本道を進んでいく。今日はオークを倒すとみんなが意気込んでいるのを感じていた。


 その時、前方に別のパーティが見えた。ピカピカの整った装備を身に着けた集団だ。その中の一人、一際輝く金髪の男が見える。後ろ姿だけでもわかる。ブルクハルトだ。ということは、あれは『バルムンク』のパーティか。


「ケッ」


 ブルクハルトの存在に気が付いたのだろう。ゲッツが悪態を付く。


「やめなさい、みっともない」

「わーったよ」


 イザベルに注意され、面倒くさそうに言うゲッツ。


 まぁ、同期の冒険者と言ってもこんなに差がついてしまうと、オレはもう『バルムンク』に対してライバル意識とかは持てないんだけど、ゲッツはまだ持ってるらしい。


 藪の中からゴブリンが襲ってくるのを警戒しながら進むオレたちとは違って、『バルムンク』のパーティメンバーは特に緊張した様子も警戒した様子もない。


 オレたちとは違って、今さらゴブリンなんか警戒していなくてもいつでも倒せるという自負があるのだろう。


 なんというべきか、清々しいまでに強者だね。


 オレたちは『バルムンク』の面々を追いかける形で森の中に入る。


 その時だった。『バルムンク』の前方の茂みが揺れ、ゴブリンが顔を出した。続けてオークも木の陰から顔を出す。


 だが、ゴブリンもオークも『バルムンク』の面々を見るや否や顔を引っ込め、『バルムンク』とは違う道を行こうとしていたこちらに向かって走ってきた。


「はあ!?」


 ゲッツが驚くのも無理はない。モンスターって敵を選ぶんだ……。初めて知ったよ。


 そして、オレたちが選ばれたということは、オレたちの方が格下だと思われたのだろう。どうやらオレたちと『バルムンク』ではモンスターが一目見ただけでわかるほど実力が隔絶しているようだ。

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