表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なにもないオレたちの、なにもかもがある英雄譚  作者: くーねるでぶる(戒め)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/44

042 感覚と失われたもの

 オレが目を覚ましたのは、超大型ゴブリンとの戦闘があった二日後のことだった。


 目を覚ませば、いつもの宿のベッドの上にいた。いっそ超大型ゴブリンとの戦闘が夢だったのではないかと思えたくらいだった。


 だが、超大型ゴブリンとの戦闘は夢ではなかった。夢では許されない傷跡を残していったのだ。オレは目を覚ました時、それをまざまざと見せつけられた。


「よお、起きたか?」

「ゲッツ? え……?」


 どうか見間違いであってほしい。しかし、何度見てもゲッツの左腕が途中からなくなっていた。


「ゲッツ、それ! その腕、どうしたんだよ!?」

「あん? ああ、ちょっとミスっちまってな。この様だ」


 そう言って、失った左腕の先端を撫でるゲッツ。


「早く冒険者ギルドに行かないと! あの先生なら治してくれるかも!」

「ああ、さすがに無理だってよ。まぁ、そうだよなぁ。まあよ、そんな気にすんなよ」


 気にするな……?


「できるかよ! だってゲッツ、おま……」


 ゲッツは大剣を使う戦士だ。当たり前だけど、片手じゃ大剣を扱うことはできない。


 もうゲッツは冒険者をできないかもしれない。そう思ったけど、そんな現実は嫌で口に出すことができなかった。


 もし口に出したら、本当にゲッツが冒険者を辞めてしまいそうで。


 だが、ゲッツはそんなオレを見ていつもの不敵な笑顔を見せた。


「心配すんなよ。俺はぜってー冒険者を辞めねえ!」

「で、でも、それじゃあどうするんだよ?」

「それを今日話し合うらしい」

「今日? 話し合う?」


 話し合い?


「他のみんなは? 無事なの?」

「おう! みんな無事だぜ。あのデカ物はクルトが倒したらしいな? すっげーよ。いったいどうやったんだ?」

「え? オレがあの大きなゴブリンを倒したの?」

「覚えてねえのか?」

「うん……」


 イザベルとザシャを守るためにあの超大型ゴブリンと対峙したのは覚えている。でも、その後どうなったのか記憶があやふやだ。


 何か掴んだ気がするんだけど……。何を掴んだんだろう?


「まあ、生きてるんだから気にすんなって! それより、みんなに顔見せに行こうぜ! クルトが起きたってみんな喜ぶぞ」

「そっか。よっと」

「立てるか?」

「大丈夫みたいだ」


 ベッドから降りて立ち上がると、ちょっとふらっとしたけど立つことができた。そのまま歩いて宿を出ると、もうすぐ夕食なのか、デニスが竈の前で鍋をかき混ぜていた。


「デニス」

「え? ク、クルト! 起きたんだね!」

「ああ」


 デニスはオレに向かって駆けてくると、そのままオレの肩を掴んで頭の天辺からつま先まで何度も見る。


「本当にクルトだ! どこか痛い所はない? 大丈夫?」

「大丈夫だよ」

「今、イザベルとザシャを呼んでくるよ!」


 そう言って走って宿に入っていくデニス。それと入れ違うようにゲッツが出てきた。


 何だろう。ゲッツといえば意味もなく走り出すような奴だったはずだけど、ついに大人になったんだろうか?


「あん? ああ、これか」


 オレの不思議そうな顔に気が付いたのだろう。ゲッツが何でもないようなことのように言う。


「血を流し過ぎたみてえでな。急に動くと眩暈がするんだ」

「重症じゃないか! とにかく、座ろう」

「おう」


 オレはゲッツに肩を貸すと、切り株をそのまま利用した椅子に座らせる。


 ゲッツはまるで一仕事終えたように太い息を吐いていた。


「心配すんなって。病気じゃねえんだ。そのうち治る」

「だとしても、心配になるよ」

「あー! ほんとにクルトん起きてる!」

「おはよう、クルト。もう夕方だけどね」


 ザシャとイザベルも合流して、ちょうどいい時間だということでそのまま夕食になる。


「「「「「いただきます」」」」」


 夕食はお肉がいつもより多めに入ったパン粥だった。


 一瞬、オレが回復したからお祝いかと思ったけど、オレが起きたのはデニスが料理を作っている時だ。その可能性は低い。


 何かいいことでもあったのかな?


「クルトん食べれそう?」

「大丈夫だよ。今日は何かいいことでもあったの?」

「何で?」


 ザシャが不思議そうな顔をしている。何かいいことでもあったわけじゃなさそうだ。


「いや、いつもよりお肉が多いから」

「まずはそれから話しましょうか。クルトが倒れてから、何があったか」

「それ、気になってたんだよね。お願いするよ」

「そうね……。まずどこから話しましょうか……。あの冒険者パーティの『月影』は覚えている?」

「あぁー……」


 オレたちの上官に当たる冒険者パーティだったっけ?


 ホイッスルを吹いたのに、いつまで経っても助けに来てくれなかったからあんまりいい感情はない。


「『月影』が助けてくれたの?」

「いいえ。彼らは全滅していたわ」

「全滅……」


 え? 全滅? だって彼らはオレたちよりも優秀な冒険者だろ?


 それが何で全滅してるんだ?


「それじゃあ、オレたちはどうして無事に帰ってきたの?」

「『バルムンク』のおかげよ」

「『バルムンク』の?」

お読みいただき、ありがとうございます!

よろしければ評価、ブックマークして頂けると嬉しいです。

下の☆☆☆☆☆をポチッとするだけです。

☆1つでも構いません。

どうかあなたの評価を教えてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ