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なにもないオレたちの、なにもかもがある英雄譚  作者: くーねるでぶる(戒め)


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034 ゴブリン掃討作戦③

 薄暗い森の中。


 もう何度かホイッスルの音が森の中を響いていた。


 他の場所ではブラックウッド級の冒険者パーティでは対処できないほどの敵が現れているらしい。


 そういう意味ではオレたちは恵まれているかもしれない。


 まだホイッスルを使う事態になっていないからね。


 場所を移動したオレたちは、またそれぞれ場所を決めて木陰や草むらの中に隠れた。


 ゴブリンの右耳は麻袋の中に集めて風下に置いてある。血の臭いでオレたちの存在がバレることもない。


 大丈夫だよな? 見落としはないよな?


 不安に思いながらも時間は待ってくれない。


 次々と現れるゴブリンをオレたちは淡々と処理していく。


「ふぅ……」


 ホブゴブリンを倒すのにも慣れてきた。もう五回以上は場所を変えながらホブゴブリンを倒している。変異種で言えば、他にもゴブリンアーチャーを倒した。変異種への警戒は必要だが、オレたちでも倒せる変異種がいるのは嬉しい誤算だ。


 今のところ、出会ったゴブリンはすべて倒している。オレたちにも与えられた任務を全うできるかもしれない希望が見えていた。


 いざとなったら逃げるけど、オレたちも進んで任務を放棄する気はないのだ。


 ガサガサと腐葉土の上を進む複数の足音が聞こえた。オレは手を上げて誰か来たことをパーティメンバーに知らせる。


 聞こえる足音は軽い。足音の重さ的に人間のものではないと思う。ホブゴブリンでもなさそうだ。たぶん、普通のゴブリンだな。


 昔というほど遠い話ではないが、オレたちも普通のゴブリン相手に苦戦していた時期もある。それが今では楽に倒せる相手になっていた。オレたちも少しは成長しているらしい。


 そのことを感慨深く思っていると、視線の先の茂みからゴブリンが飛び出した。ゴブリンは何かから逃げるように頻りに後ろを気になりながら走っている。


 次々と茂みから姿を見せるゴブリンたち。怪我をしている者も多く、中にはそのハゲた頭から血を流していたり、片腕のないゴブリンまでいる。彼らにはまさに敗残兵という言葉がよく似合うと思った。


 そんな傷付いたゴブリンを倒すだけでお金になるのだから、オレたちにとって今回の作戦はかなりおいしい。報酬もいつもの二倍だしね。


 まぁ、普段は来ないような森の奥まで来てるから危険もいっぱいなのだが。


 茂みを割って現れたゴブリンは五体。その先頭を走るゴブリンの胸に矢が生える。ザシャが狙撃したのだろう。ザシャの弓の腕も飛躍的に上手くなってるな。オレも置いていかれないようにがんばらないと。


 倒れるゴブリンを見たオレはすぐさまダガーと短剣を抜き、ゴブリンたちの背後に回ろうと歩き出す。


 背後ではデニスとゲッツによる静かな戦闘が始まっていた。


 その時だった。ゴブリンの悲鳴を聞いて来たのか、さらに三体のゴブリンが現れた。


 しかも、運が悪いことにそのうちの一体が尋常ではなかった。


 それは一目見ただけで異様なゴブリンだった。背は普通のゴブリンと同じくらい。だが、ボロボロの黒いローブとねじくれた木の杖を持つ姿は魔術師のようにも見える。


「ッ!?」


 危うく声が出そうになった。


 変異種だ。それも恐れていた魔法を使うゴブリン。ゴブリンメイジ。


 最悪なことにもうゴブリンたちを素通しする策は使えない。戦端は開かれているのだ。それに、デニスとゲッツはもうゴブリンメイジの目の前に姿を現している。


「GEGYA!」


 ゴブリンメイジがねじくれた木の杖を高く持ち上げた。魔法を使う予備動作かもしれない。


 魔法は強力だ。それはイザベルの魔術を見ていても思う。あのゴブリンに魔法を使わせるわけにはいかない。


「ッ!」


 オレは一瞬で決意を固めると、疾走する。もう隠れるのはやめだ。それでは間に合わない。


 オレの足音に気付いたのだろう。ゴブリンたちの視線を感じた。


 オレの目の前には二匹のゴブリンとゴブリンメイジ。


 ゴブリンたちがオレの進路を邪魔するように、ゴブリンメイジを守るように前に出る。オレは棍棒で殴られる痛みを覚悟してゴブリンたちを無視してゴブリンメイジに突撃する。


 しかし――――!


「GYAHA!」


 ゴブリンメイジが杖をオレに向かって振り下ろす。すると、杖の先端に人の頭ほどの火の玉が生まれた。


 どう考えても、オレの攻撃よりもゴブリンメイジの魔法の発動の方が早い。


 しかも、最悪なことに短剣を投げようとするが火の玉が邪魔をして軌道が確保できない。


 これは――――。


「終わった……?」


 オレの声に応えるようにゴブリンメイジの魔法が発動する。


 目の前に迫る火の玉。どれくらいの威力があるのかわからないが、おそらくオレを殺して余りあるほどなのだろう。


 オレは反射的に顔の前で腕をクロスさせて目をきつく閉じた。そんなことをしても意味などないかもしれない。


 だが、少しでも生き残る確率を上げたかった。


 生きたい!


 オレだってこんなところで終わりたくない!

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