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なにもないオレたちの、なにもかもがある英雄譚  作者: くーねるでぶる(戒め)


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028 ギルド長の発表

 まさか盾を引っ張られるとは思いもしなかったのだろう。


 デニスはオレの攻撃の勢いに耐えるため、前傾姿勢を取っていた。それも仇になった。


 オレは最後の一押しとばかりにデニスの足を払う。


「ほああッ!?」


 ついに完全にデニスは体勢を崩し、前のめりに倒れた。その首筋に短剣を添えると、デニスはほうっと太い息を吐いた。


「負けたよ。すごいね。いったいどうやったの?」

「ちょっと思い出したことがあったんだ。たまたまだよ」


 オレはデニスに右手を伸ばすと、デニスがオレの手を掴んで起き上がる。


「マジかよ。クルトがデニスに勝ちやがった!?」


 外から見ていたゲッツにも意外に映ったのか、かなり驚いていた。


 そうだね。近接戦闘が苦手なオレがデニスに勝てるなんてゲッツも思わなかっただろう。


「いったい何を思い出したの?」


 デニスが尋ねてきた。


 でも、一言で表すのは難しい。


「フーゴさんの教え……かな?」

「フーゴ兄の?」

「うん。フーゴさんが言ってたんだ。オレはアサシンだから、相手の意表を突くのが大事だって。だからオレは、デニスの予想をなんとか外そうと考えたんだ」


 その結果がこれである。今思えば右手のダガーを投げ捨てるのは悪手だと思うし、もっと上手くできただろう改善点も見えてきた。


 でも、すべてはフーゴさんの言葉があったから生まれた発想だ。この考え方が大事にしよう。


「フーゴ兄のなぁ……」


 ゲッツが考え込むように目を閉じていた。たぶん、誰よりもフーゴさんの教えを吸収しているのがゲッツだ。きっとゲッツはまだまだ強くなれる。そんな気がした。



 ◇



 次の日。


 オレたちはいつものようにデニスが作ってくれたパン粥を食べると、いつものように森には向かわず、冒険者ギルドを目指した。


「何があるんだろうな?」

「ここんところのゴブリンの増殖に関係あんのかねえ」

「オークがいないらしいぜ」

「オークが?」

「これもオークキングを倒した影響か?」


 冒険者ギルドには多くの冒険者がいた。今日ばかりはさすがに朝から飲んでいるわけではないようだ。


 今日はギルド長から発表があるからね。みんな真剣だ。


 オレたちはいつもは食堂になっている後ろの方で待機していた。


「発表って何だろうな?」

「さあ、たぶんオーク関連だと思うけど……」


 そんなことをゲッツと話していると、前の方で冒険者たちの声が大きくなる。ギルドの二階から誰か降りてきたようだ。


 頭のハゲたメガネをかけた細長い印象の五十代くらいの男だ。端的に言ってオレの目には神経質そうで弱そうに映った。あれが冒険者ギルドのギルド長なのか?


 細長い男が口を開く。


「皆、よく集まってくれた。私が冒険者ギルドのギルド長であるエグモントだ。今回集まってもらったのは、ゴブリンの増加についてだ」

「ゴブリンの増加……?」


 オークのことじゃないのか?


 エグモントの話は続く。


「現在、『バルムンク』の活躍によってオークキングが倒された状態にあるのは皆が知っての通りだと思う」

「ケッ」


 『バルムンク』の名を聞いて隣のゲッツが悪態を付く。


 それにしても、知っての通り、か。最低限、情報収集をしていることが前提での話ということかな?


「そのおかげで、オークたちが砦に里帰りをしておるのが確認された」

「里帰り……?」


 意味はわかるけど、オークと里帰りという単語がなかなか結び付かなかった。


「次の王を決めるためかしら……」

「ああ」


 イザベルの呟きのおかげでなんとなくわかった気がする。オークたちは今王様がいない。だから、次の王を決める必要がある。そのためにオークたちが生まれ故郷に帰っているのか。


「よって、今はゴブリンたちとオークは連動していない。ゴブリンを打倒すチャンスだ。ここのところ、ゴブリンの目撃情報が増えている。この機会にゴブリンたちの増殖を食い止め、ゴブリンたちを一掃したいというのが冒険者ギルドの考えだ」


 ゴブリンとオークは奇妙な協力関係がある。ゴブリンたちの用心棒のようなことをオークたちがしている場合があるのだ。


 だが、それが今は機能していない。ゴブリン各個撃破するチャンスだという冒険者ギルドの考えもわからなくはなかった。


「作戦は明日、この時間より執り行う。また、今回の作戦に伴い、今日と明日のゴブリンの討伐報酬を二倍にする。現場の指示はこちらが指名したパーティに執ってもらうことになっている。ちなみに、このヘーネスにいるホワイトウッド級以上の冒険者は強制参加だ」


 それだけ言うと、言うべきことは言ったとばかりにエグモントは階段をせかせかと上がっていく。その動きはやっぱりどこか神経質そうだった。


「ゴブリンの討伐報酬が二倍……!」


 これは主にゴブリンやオークを狩っているオレたちにとってかなりの追い風になるんじゃないか?


 期待するようにイザベルの顔を見ると、考え込むように少しだけ俯いて目を閉じていた。


 イザベルは頭がいい。今回のことで何か懸念すべき点があるんだろうか?

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