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なにもないオレたちの、なにもかもがある英雄譚  作者: くーねるでぶる(戒め)


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012 無様な戦い

 なぜバレた!?


 オレは本能的な身の危険を感じてそのままバックステップを三度踏む。


 すると、オレの顔のあった空間を雑な作りの大きな棍棒が通り過ぎていった。


 危なかった。立ち止まっていたら、今頃オレは首から上がなくなっていただろう。


「クルト! 無事だったんだね!」

「てめ何やってんだよ!」


 オレを気遣うデニスの声に被せるようにゲッツの怒声が響いた。


 たしかに奇襲が失敗したのはオレのミスだけど、そんなに怒るなよ。申し訳ないと思うけどさ。


 オレはちらりとイザベルとザシャが無事か確認する。


 二人とも生きていた。どうやらゴブリンアサシンはあの一匹だけだったらしい。


 そのことに安堵すると、オレは双剣を構える。


 奇襲攻撃は失敗してしまったが、こうなったら第二の策だ。オークを挟み撃ちするのである。


 オークは前後に敵を抱えてしきりに首を振ってオレたちの動きを確認していた。これだけでかなり戦いづらいはずだ。


「ファイアボール!」


 その時、イザベルの魔術が発動する。止まっているオークなどいい的だろう。


「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!?」


 オークは顔に迫っていたファイアボールを左手で受け止める。


 しかし、その代償は決して小さくない。オークの左腕、その肘から先が吹き飛ばされていた。


「今しかねえだろ!」


 ゲッツが大剣を担いでオークに迫る。


 だが、オークはそれを予知していたかのように棍棒を横薙ぎにぶん回した。


「ゲッツ!?」


 オレはぶっ飛ばされるゲッツの姿を幻視した。


 しかし、そうはならなかった。


「うおおおおおおおおおおおおお!」


 デニスだ。デニスが自分からオークの棍棒にぶつかりに行くように盾を構えて突進したのだ。


 オークの棍棒とデニスの突進が一瞬だけ膠着する。


 勝ったのはオークの棍棒だった。


「うわあああああああああああああああ!?」

「ぐほ!?」


 もつれあうように吹き飛ばされるデニスとゲッツ。


 オークの視線は憎々しげに自分の左腕を奪ったイザベルに向けられていた。


 マズい。デニスとゲッツが吹き飛ばされてしまった今、後衛陣を守る人がいない。


 オレはイザベルたちを守るために反射的に体が動いた。


 右手に持ったダガーを渾身の力を籠めてオークの左の太ももに突き立てる。


「PIGA!?」


 突然襲った激痛にオークはその場でうずくまってしまった。これでデニスたちに止めを刺すこともできないし、イザベルたちを襲うこともできないはず。


「がはッ!?」


 ホッとした瞬間を狙われたのだろう。オレはオークの残った左腕に叩きのめされて吹っ飛ばされた。


「ぶッ!?」


 吹き飛んだ先で背中から木にぶつかり、肺の中の空気が一気に漏れる。背骨が折れていないか心配になるほどの勢いだった。


「がはッ、ゲほッ、くそ……」


 咳き込んだ後、悪態を付きながら足を動かしてみる。


 動いた。


 どうやら大丈夫そうだ。


「くっ、てぇー……」


 背中に走る痛みを無視して立ち上がる。変な飛び方をしたのか、左肩がズキリと痛んだ。


 左肩を押さえながら、トボトボと歩いて現状を確認する。どうやら、デニスとゲッツも無事なようで、よろよろとだが立ち上がる姿が見えた。


 そして、小山のようにうずくまっている薄汚れたピンクの体毛の物体。立つことができないのか、その場で片膝を立てている。だが、決して棍棒を手放さないその姿からは戦意が確認できた。


「ファイアボール!」


 そんなオークに容赦なく浴びせられるイザベルの魔術の連打。その魔術は棍棒を砕き、オークの首を抉る。


 首からおびただしい血を流してついに地面に伏せるオーク。


 勝った……。


 いつもと比べるとひどく手間取ったが、なんとか勝つことができた。


「みんな大丈夫!?」

「あまり動かないで。今から診て回るわ。その場に座ってなさい」


 オレはイザベルの言葉に甘えてその場に腰を下ろした。


 しばらくすると、イザベルとザシャがやってくる。


「クルト、大丈夫?」

「なんとか」


 ザシャになんとか答えると、イザベルがオレの体を点検するように触診していく


「骨は折れてなさそうだけど、左肩が外れてるわね。ポーションを使うほどでもないけど、大丈夫かしら?」

「なんとかね。デニスとゲッツは?」

「二人とも大丈夫よ。デニスは脳震盪と打ち身、ゲッツは大した怪我はないわ」

「よかった……」


 二人の安堵を聞いて、一気に体の力が抜けたようだ。後ろに倒れそうになるのをザシャが慌てて受け止める。


「ちょっと、クルト!?」

「ごめん、ごめん。急に力が抜けちゃって」

「悪いけど急ぐわよ。血の臭いに誘われてモンスターが来るとも限らないわ。ザシャはゴブリンとオークの耳をお願い」

「え? でもあたし、刃物持ってないよ?」

「これを使って」


 オレは握りっぱなしだった包丁をザシャに渡す。


「んじゃ、行ってくる!」


 ザシャはオレから包丁を受け取ると、すぐに走って行ってしまった。

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