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なにもないオレたちの、なにもかもがある英雄譚  作者: くーねるでぶる(戒め)


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011 ゴブリンアサシンとの暗闘

「来たよ! ゴブ四! オーク付き!」


 森から飛び出すようにザシャが帰ってきた。その後ろを茂みが揺れると、ゴブリンたちが棍棒を振り上げて飛び出してくる。そのさらに後ろにはピンクの体毛の巨人の姿が見えた。


「うおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 いつも通りのデニスのウォークライが戦いの開始を告げる。


 オレは戦闘を開始するみんなをよそにしばらくその場で待機していた。


 よし、潜れた。


 潜れるというのはオレ独自の表現かもしれない。だが、誰にも注目されていないことがなんとなくわかるのだ。この状態だと、だいたい奇襲が成功する。


 オレはいそいそと戦闘地域を迂回しながらオークの後ろに回ろうとすると――――ッ!?


 ゴブリンだ。いきなり目の前の茂みからゴブリンが現れた。他のゴブリンとは明らかに雰囲気の違うゴブリンだった。棍棒ではなく、錆の浮いた短剣を持っている。


 まさか、こいつ!?


「ゴブリンアサシン!?」

「GEGYAGE!?」


 オレの叫びとゴブリンの叫びは同時だった。そして戦闘態勢に入るのも同じ。


 だが、オレとゴブリンはお互いに動けずにいる。


 オレは、刃物を持った相手との戦闘は初めてだ。今までのゴブリンは、みんな棍棒を持っていた。


 ゴブリンはその小さな体躯にしては力が強い。棍棒で叩かれるのは痛い。だが、痛いだけで済んだ。


 でも、目の前のゴブリンは錆が浮いているろくに手入れされたものじゃないとしても刃物を持っている。そのことが怖かった。


 冒険者がいちいちそんなことで怖がるなって?


 恐怖を忘れた冒険者なんてみんな死んでるさ。


 時間だけが刻一刻と過ぎていく。この間もみんなはオークとの戦闘に苦労していると思うと申し訳ない気持ちでいっぱいだ。


 オレとゴブリンアサシンの邂逅は不幸であり幸運だった。


 もしどちらかが反対側から迂回していたら、オレはオークを倒せたかもしれないが、イザベルかザシャのどちらかを失っていたかもしれない。


 そうだ。オレがゴブリンアサシンの存在に気付けたのは幸運だった。オレは運がいい!


 自分の運を信じて、オレは自分から動き出す。


 ゴブリンアサシンの喉に目がけて右手のダガーで突きを放つ。


 ゴブリンアサシンは横っ飛びするようにしてオレのダガーを辛うじて避けた。


 ゴブリンの汚い短剣がオレの太ももを狙う。オレは一歩退くことでゴブリンアサシンの攻撃を避ける。


 お互い声は発さない。


 オレたちはアサシンだ。攻撃の際にいちいち声を出していたら相手に気付かれる。


 それにしても、このゴブリンアサシンには驚かされる。ゴブリンといえば、自分の命など考えずに突っ込んでくる奴らばっかりかと思ったのだが、こいつはちゃんと攻撃も避けるし、物事を考えているようですらあった。


 こいつが特殊個体なのか?


 フーゴさんの話では魔術を使うゴブリンもいると聞いたこともある。もしかしたら、ゴブリンという種族はオレの思っているよりも賢いのかもしれない。


 今はそんな考察は後だ。


 早くこいつを始末しないと。


 オレは双剣を構え、ゴブリンに突撃する。オレを迎撃するようにゴブリンアサシンは短剣を構えた。


 先に動いたのはゴブリンアサシンだった。ゴブリンアサシンは待ち受けるような様子を見せていたくせに直前になってオレに向かって一歩踏み出したのだ。オレの目算がズレる。


 ゴブリンアサシンの短剣がオレの顔に迫る。オレは思いっきり顔を左に振り、左手の包丁でゴブリンアサシンの短剣を弾く。小さな火花が散って右頬が熱くなる。


 だが、そのことには構わずにオレは掬い上げるようにダガーを走らせる。


 懸命に体をひねってダガーを避けようとするゴブリンアサシン。


 ダガーはまるで吸い付くようにゴブリンアサシンの胸を貫いた。


 半ば無意識でダガーを持った右手をひねる。傷口の拡大、重傷化を狙ったのだ。


 ゴブリンアサシンは口から青色の血を吐くと、そのまま動かなくなる。


 倒した……!


 オレはいつもみんなのサポートのおかげで敵の真正面から戦った経験はあまりない。かなり不安だったが、それは相手のゴブリンアサシンも同じだったのかもしれない。


 熱さを持った右頬を確認すると、小さな切り傷になっているようだった。これならポーションは不要だな。血も出ているが、そのうち止まるだろう。


 オレは急いで先を進む。すぐにオークを倒さなければ。時間がかかればかかるほど、前衛の負担が増えてしまう。


 だが、不思議なことにオレはなかなか潜れずにいた。こんなことは今までなかったのに。


 オレ自身があまり経験したことのなかった真っ向勝負で興奮しているからか?


 しかし、例え潜れずともやらなくてはいけない。


 オレはオークの背後を取ると、そのまま忍び足で近づいていく。このままオークに近づいて、オークに致命の一撃を放つのだ。


 あと一歩でオレの間合いに入る。


 その時、オークがいきなり後ろを振り返ってオレを視界に収めた。

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