第6話 第二の地点
警視庁地下の作戦室が、慌ただしい動きに包まれた。
壁一面のモニターに映し出される東京都心図。その中央付近、新宿の地下に赤い警告表示が点灯している。
管制「渋谷と同様の反応を確認。
深度は推定28メートル。
反応波形はほぼ一致しています」
黒川は即座に命じた。
黒川「封鎖区域を最小限に。
同時に、周辺の地下施設データを洗い出せ」
天城はモニターを見つめ、低く言った。
天城「配置が近すぎる。
偶然じゃない」
白旗が指を鳴らす。
白旗「渋谷と新宿。
東京の“心臓部”だね。
しかも両方とも人の流れが集中する地下」
久賀は目を閉じ、何かを思い出すように言った。
久賀「……線でつなげ」
三島が地図を操作する。
三島「線?」
久賀は目を開けた。
久賀「爆弾じゃない。
“点”じゃない。
これは“線”だ」
三島が渋谷と新宿を直線で結ぶ。
その延長線上に、いくつかの主要地下施設が浮かび上がる。
八木沢「……地下鉄、共同溝、通信幹線……
これ、都市インフラの“背骨”……」
天城が頷いた。
天城「都市を壊すためじゃない。
都市を“掌握”するための構造だ」
⸻
六人は再び防護装備を身にまとい、新宿の地下へと降りた。
渋谷よりも狭く、古い地下空間。
昭和期に作られ、図面から消されたまま放置されたような場所だ。
白旗が鼻を鳴らす。
白旗「うわ……
ここ、時間止まってる」
天井には古い配管。
床には忘れ去られたケーブルの束。
そして――
奥の壁際に、それはあった。
渋谷と酷似した“無刻印の筒”。
だが、こちらは壁に“立て掛けられるように”固定されている。
八木沢が即座に計測を始める。
八木沢「反応……渋谷より強い。
まるで、こっちが“主”みたい」
黒川が眉をひそめる。
黒川「主?」
天城が答える。
天城「渋谷は“前哨”。
新宿は“中枢”だ」
突然、警告音が鳴り響いた。
ピピピ――
天井の照明が落ち、非常灯が赤く点灯する。
八木沢「電磁干渉……!
通信、遮断されます!」
その瞬間、重い隔壁が降りた。
ガンッ!
処理班側と東京BOMB側が、完全に分断される。
黒川「三島! 八木沢!」
三島「こっちは大丈夫だ!」
隔壁の向こう側で、天城の声が響く。
天城「……仕組まれているな」
白旗が舌打ちする。
白旗「歓迎されてるってわけか」
久賀は壁に手を当て、静かに言った。
久賀「“選別”だ。
どちらが爆弾を理解しているか、試されている」
暗闇の中、突然スピーカーが作動した。
ザ……ザザ……
歪んだ電子音。
???「……来たか」
六人全員が凍りつく。
???「東京BOMB。
そして、爆弾を解体する者たち」
白旗が息を呑んだ。
白旗「……名前、知られてる」
???「安心しろ。
私は敵ではない」
天城が即座に返す。
天城「その言葉を信じるほど、我々は甘くない」
電子音は、少しだけ笑ったように聞こえた。
???「ならば、証明しよう。
——次の問いで」
新宿の“筒”が、微かに光を帯びる。
???「制限時間は、30分。
解けなければ、東京は“次の段階”へ進む」
カウントダウンが、壁に投影された。
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