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ルカが幸せになる時〜銀髪の魔法使いは学園で恋と自分を知る〜  作者: 波音叶
入学前

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6. 雪の季・終(2月)21日②

一旦の説明パートは2エピソード分になります。


「それでは、ルカくん。今の君の状態をもう少し確認させてもらいながら、私からも伝えられることを伝えます。もし気分が悪くなったらすぐに言ってください。必ずですよ。」

「はい。……お願いします。」


学園の医務室にて、校内医のアルバート先生と二人向かい合っている。緊張はするけれど、窓から差し込む自然光や落ち着いた空気感もあってか怖くはなかった。


「まず……魔法とは何か、自分なりに説明出来ますか?」

「それは……。」


言われて初めて違和感を覚えた。ここは魔法が息づく世界だと、"自分"は当たり前のように受け入れている。そして"ルカ"がどんな魔法を使うのか、一度も試そうとしなかった。


疑うまでもなかったのは――それがルカにとっての当たり前だから。


そう、彼が知っていたはずの全てが分からないわけではない。だから魔法についても落ち着いて思い起こせば自然と浮かんできた。かつて学んだ知識をたぐり寄せる感覚にとても似ている。


「魔法は、自分が持つ魔力を使って、想像を形にするもの……ですよね?」


この世界の人は生まれながらに魔力を持っている。そしてそれを用いてどんな魔法を生み出すのかは、個人の感性や想像力によるところが大きい。


魔力量は生まれつき決まっていても、魔法の性質は性格や価値観、その時の感情にも左右されるし、集中の度合いやイメージの解像度でも形や強さは変わってくるから……人の数だけ魔法の可能性があるんだ。


「その通り。では全ての人はあらゆる魔法を使えますか?」

「……いいえ。魔法の、属性があるので。」


これも生まれながらに決まっているもの。必ずしも遺伝で決まるわけではなく、その原理は明かされていなかった。


炎や水、風や光など、属性はその人が扱える魔法の性質を分類する。けれど面白いのが、"この属性ならこの魔法が使える"という定型が存在するのではなくて、あくまでも方向性の指針であるということだ。


例えば同じ炎属性でも、灯火のように照らし寄り添うものなのか、熱く燃え盛る炎なのか。光属性でも守る光なのか癒す光なのか。そしてどう形にするのかも人それぞれだ。


「うん、一般教養はよく分かっているようですね。ではルカくん、君自身の魔法属性は思い出せますか?」

「………。」


目を閉じてよく考えてみるけれど、それは分からなかった。やはりルカの個人的なことは頭からすっぽりと抜けてしまっている。


「すみません……。難しそう、です。」

「了解です、ありがとう。」


柔らかく受け止めてくれた先生は、そのトーンのままで続けた。


「魔法属性はその人を構成する大切な要素ですから、お話しますね。ルカくんは"氷"と"闇"の二つの属性を持っています。」

「氷と、闇……。」

「はい。二属性持ちは希少ですが、その一つが闇属性であるということが……君にとって大切なこと。なぜだか分かりますか?」


再び思考を巡らせてみる。ルカはその知識を持っていた。


「魔族にしか、扱えない……?」


魔族。口にしてみると少し不穏な響きに思えてしまうのは"自分"の感覚なのかな。ルカの核にぐっと近付くようで心がざわめいた。


その不安は先生にもしっかり伝わったらしく、安心させるかのような微笑みが向けられる。


「大丈夫ですよ、ルカくん。落ち着けば君も知っていることかもしれませんが、魔族は人間と距離があるだけで、悪い種族ではありません。」

「……はい。」

「ルカくんは……人間と魔族の、半血のようですね。」


――ルカは、人間と魔族の半血。


先生の言葉を反芻する。彼は魔族とのハーフなんだ。その事実は胸にストンと落ちた。


魔族についての知識は……ある。人間よりもずっと数が少なくて、孤高で高潔な種族だと。


人とは価値観も文化も異なるけれど、感情は持っている。特徴はいくつかあって、闇魔法を扱うことや魔獣を従わせられること、そして例外なく圧倒的に美しい容姿を持っているという話だった。


半血とはいえ、だからルカもこんなに綺麗なのか。妙に納得してしまった。

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