スピードシスターズ・セミファイナル
リコです。一応女バス部長でした。
名目上はまだ女バス部長なんだけど、インハイも地区総体も出れない以上、6月で実質的にはしゅーりょーです。
県大会優勝でインターハイ、三位までで東海総体への出場権があるんですが五位。
最後勝てたからまだ気分的にはマシとは言え、マジ疲れた・・・
三決は、ベスト4の敗者同士の一戦というやつで、みなさんご存知だと思うけど、五決ってのはベスト8の敗者四チームの二回戦。
負けた4チームが2チームずつに別れて戦い、その勝ったチーム同士で五決、負けたチーム同士で七決をやって、しっかり一位から八位を決めるんです。
まあ、自分達、三年にはもう関係しないけど、来季のチームのシード権とかあるし、部長、キャプテンとしては最後のふんばりどころなわけです。
で、勝ったら勝ったで、準々決勝でこれが出せてたら・・・優勝、少なくとも三決は出られたんじゃないか・・・とか、グルグルして最悪なわけです。
あーーーーマイティの野郎!!オレらをこんな動きが出来るようにしたのはお前だから県大会にも出やがれ!!
って、本人にも叫んだことありますが、華麗にスルーされました。
「だから、クラスマッチであれば出る。部活はやらぬと最初から言っているであろう?」
その割にはたまーーに第二の日に来て、バンバンダンク決めてた気もするけどー?
その結果、II-B、III-Bのクラスマッチチームのほうが、女バスのレギュラーより圧倒的に強い、という謎な状況が生まれました。
だって、クラスマッチ優勝チームと女バスレギュラーが対戦しようとすると、女バスが準レギュラーになってしまうから・・・
そう、スピシスは全員、二年から余裕のレギュラーでした。第二のユカ、ミツキも来ればレギュラーなので、出場選手登録はしてあって、東部大会、県大会にも来てくれました。
練習試合には来てくれないので、たまに組める練習試合の相手と本番の大会でぶつかると、「すげー隠し玉もってんね」とか言われることありました。
ユカは中学で見たときから凄かったし、ミツキはホントに部活やってなかったんだっけぇ!?と思うほど。
マイティさんに出会ってミツキはド素人から攻撃起点として激的に進化しました。
リオンも元からやってたこともあって、司令塔としては最初からすごかったけど、自分を脅かす?ユカとミツキのせいか、さらに凄くなりました。
まあ、あの三人はぶっちゃけ頭のレベルが違う。
ももかんとアタシは偶然で入れたんだと今では確信しています。まー・・・情けないけど。現実としてそうだよなって。
ユカは、まあ・・・マイティさんがいなければ男女含めても成績はダントツだし金髪ながら正統派美少女、ミツキもトップクラスでこれまた美人。リオンもキレーだし、幼馴染のももかんサポートでCにいるけどS,Aは難しくてもBなら余裕。そのカワイイ子、ももかんのオマケでアタシもなんとかついていけてるしね・・・アタシもそんなに悪くはないと思うけど・・・周りがキレーすぎる・・・あと、筋力付けちゃったからどうしても重いよね・・・
普段のゆるふわな話し方、言動とは違い、バスケのときのユカは「ステルス速い」。
なんてゆーかね、気配を感じさせないんだよね。
アタシは自分でいうのもアレだけど、バスケ的には重戦車タイプですね。少々のコンタクトじゃ負けないぞって感じ。
パスをアタシが受けてそういう感じ・・・重戦車的な?・・・で前進して、あのへんに来い!ってとこに、いない、けど、絶対そこに来るってハズって感じでパスを出すと何時の間かユカがいて、こっちも見ずにパスを受けとって、3Pシュート・・・どうやってんだ?
って味方ながらに思うけど・・・
相手の驚愕はそれを遥かに上回るわけです。
それを三回も通しちゃえば、偶然じゃなくて狙ってできるプレーだってのが相手にも伝わるわけですが、そこでマークを外せるのが、ユカのステルス速さです。
極端に言えば上半身を前傾させて走っているだけなんですけど、近くでやられると、一瞬視界から消えるんだよね。あれ。
あと、ミツキもそうなんだけど、一部の練習には出ていないのに何故かフォーメーションとか完璧・・・じゃないにしろ、ほぼ完璧に覚えていて、まったく連携に不安がない、というのも謎です。
ただ、二人ともスタミナには不安がある、というか長時間のプレーをさせると割とすぐヘロヘロになります。
まー、第二だし、練習量としては明らかに少ないし、そこは仕方無いかなとは思います。
後輩達も「大会のときだけ来る上手い先輩」という認識で、最初は不思議がってましたが、まー、あれですね。プレーで黙らせた感じでしょうか。
この人達にはとてもかなわないなぁって思わせるプレーですからね。
両方とも3Pシューターなんだけど、ユカは見えないところからサッと現れてキレーなシュートを打つのに対して、ミツキは少々受け取り方も打ち方も強引なんだけど何故かキレーに入っちゃうシュートだったりします。
ミツキの得意技はブザービーター。何度となく入れてます。
二人の使い方はシンプルで、1Qで圧倒するためと4Qで追い付くまたは突き放すために使う、です。途中は休ませておかないと使い物にならなくなるので。
・・・
「スピードシスターズもついに解散だね~~」
夏休み前、最後の第二の日、ユカがふと歌うように言いました。
まあ、そうだな。長いようで短かった気もするね。
「マイちゃんは来ないの?」
「あーー、ももかん、マイちゃんは、やきゅ~にいって~ピッチャ~やってる~」
「あー、そんなこと言ってましたね・・・」
「あっさりしたもんね・・・結局、クラスマッチだってマイティさんが入ったのは一年のときだけだったし・・・」
そう、二年になってからはクラスマッチにマイティさんは出ていません。
ぶっちゃけマイティさん無しでも勝てちゃうってのと、なんか飛行機にハマッたみたいで、アメリカに免許を取りにしばしば出掛けちゃうからです。
無断欠席?って聞いたら
「ちゃんと教諭には事前に通告してあるので無断ではない。敢えて言えば有断欠席だ」
と、謎の欠席理由を創作してました。
「あのころより、できること増えてるし、一回本気のマイちゃんといっしょに、強いどっかとやってみたかったなー。ね、リコ?」
あれのこと?反則ギリギリだけどな、あれ
「よくあんな技出せるよ・・・二人とも」
「私にはよくわかっていませんけど・・・」
ミツキ、あれは技というか、なんというかな・・・リバウンドのとき、ももかんが結構飛んでることあるだろ?
「ありますね。ももかんちゃんはジャンプ力ありますからね」
それをアタシが後押しするテクニックというか・・・普通に押し上げたらファールだろ?
「はい。ももかんちゃんがリコさんの肩を使って上がってもアバーブショルダーでファールですね」
なんで、ももかんが特殊な合図を出したときだけ、アタシが時間差でジャンプして、広背筋でももかんのケツに接触してやるんだ。
で、摩擦力だけで押し上げてやるんだよ。
「・・・・・・え・・・論理的に出来そうとは思うけど・・・そんなのできるんですか?」
成功率は5割よりはマシというところだけど、ファールに取られることは基本、無いよ。
お互いに背中を向けあってジャンプし合っているだけだからな。
「そ。押し上げるってゆっても5cmとかそんなんだけど、そんだけあれば押し込むにもハジき出すにしても全然有利になるし、逆に10cmなんて行かないからファールも取りづらいじゃん?」
「・・・ももかんちゃんの指先がリングを越えているか、手の平がリングを越えているか・・・確かにかなり違いますね」
逆にアタシはリバウンドに参加しているのに飛べてないように見えるけど、実際飛べないし、まー、見た目通りだからなww
それより、ミツキ、普段の話し方も所作もキレーだけど、バスケの時は結構無理矢理な体勢でもヘーキでシュート打てるよな?どうやってんの?
「どうやっても何も・・・昔から体幹は鍛えていたので、多少姿勢が崩れていてもなんとかなるだけですけど・・・」
ふつーの子はなんとかならないのよ・・・司書志望で体幹かぁ・・・
「あのですね。司書って結構体力勝負なお仕事でもあるんですよ? 基本的に本ってとっても重いものですから!」
それを高い所に片手で上げることもあるとなると体幹を鍛えるのも重要?
「少なくとも私の中では重要です。体も大きくてよかったと思ってます」
ここにいるとマイちゃんのせいもあって、いろいろと常識が崩れるよな。
170cm弱のももリオが小さい扱いとか、ほぼ180cmのアタシが特にデカいほうじゃないとか。
「身長の話だけじゃ~ん」
オマエもだよ。数学を英語で教えるクソティーチャー
「一挙両得じゃ~ん」
両得にデキネーから補講に来てんだよ
「自業自得じゃ~ん」
そりゃわかってっけど、数学も英語も日本語で教えてくれっつー話だよ。
「それは~みっちゃんにお願いする~」
実際そうなってっけどさ。
そういや、あのステルス走りはどうやって練習すりゃできるようになんだよ?
「あれは~マイちゃんのマネ~」
へっ?「そうなの?」「違うんじゃね?」「・・・」
「じゅーしんを落とし目にして~スリ足寸前で~歩幅を広くして走る~」
「そんな走り方、マイちゃんしてないじゃん」
「ず~っとしてるわけじゃない~。よ~く観察すると爆発的な速度を出す時だけ~そ~してる~。ドリブル~からの~ダンクとか~」
確かに・・・思い出してみると、体勢低いな・・・
「そ~、低いとこから一気にジャンプするから~よゆ~のリングぶらぶらダンク~」
「あーー、してるかも・・・」「そう言われるとそうですね・・・」「最近、見てないね」
「ちなみに~、結構キツい~。体力もいるよ~」
それでスタミナ無いように見えるのか・・・
「うん、体幹の練習で似たようなのがありますね」
そうなんだ、ミツキ。
「せっかく体育館にいますから、ちょっとやってみます。ボール貸してください」
ほいよ。
「じゃあ、行ってきます」
いってらー。
ダムダムとドリブルしながら行ったり来たりをくりかえしているうち、
ステルス速い走り方っぽくなってきた・・・できちゃうんかいっ!!
「はぁはぁ・・・これ、結構キツいですよ・・・見た目より・・・」
「でしょ~?」
「はい・・・シンドい!!」
「それで~上体を伏せるように~走れれば~さらによい~~」
「ムリ!!とまでは言わないけど、できてもめっちゃキツいです!」
「そ~なんよ~~。ヒトキワでかい彼女がやってるんだから~~さらにキツいはず~~」
「言われてみればそうか・・・桃花・・・やってみる?」
「アタシは別に低くならなくてもよくない?」
「そうね。私もね」
まあ、できりゃ出来たで技のウチにはなるよ? まー、今となっては、大学いってバスケやるかどうかって話だけど・・・私以外はやらないだろうなーー
「多分無いね」「アタシも。あー、大学はとうとうリオンとお別れかー」
「そうなんですか?」
「学力的にな~。まー、日大みたいな巨大大学なら~同じ大学には行けるかも~でもキャンパスが別~」
「だよねー」
「まだまだ頑張ればわかりませんよ!この学校で200番台なんだから偏差値は60くらいはあるはずです!」
ミツキ・・・ HGIS モードになるなよ。
「あ、すみません、つい・・・でも頑張れば全然まだまだ伸びますよ!二人とも
です!!」
そうだな、アタシもか。
頑張るために、マイちゃんがアメリカから帰ってきたら、なんかやるか。
「いいね~」「いいですね」「やろー!」「そうね」




