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ファイティングガール  作者: Jack…
大学二年
69/72

芸術学部の増田くん

ご無沙汰してます。増田です。


実は、桃花さんと同じ大学の同じ学部に合格して、去年から通ってます。


学科としては彼女の放送に対して文芸です。

高校の時に「カントク」なんてご大層な渾名を付けてもらったので、映画や演劇も少し考えたのですが、自分がやりたいのは・・・やっぱ文芸なんだろうな、と思いました。


そもそも、この学部、学科間の垣根は低いので、学科はそのままでも映像方面の講義を取ってもかまいませんし、学科間での共同プロジェクトも普通にあります。


世間でよくあるメディアミックス戦略そのものですからね。


一応、普通の大学も受かったのですが、芸術学部だからといって、就職に不利なところなど一つもない、それどころか、マスコミや放送局、広告代理店業界などならむしろ有利だったりする、という実データを持ち出して、親に認めてもらいました。


大学自体が日本一のマンモス大学ですから、巨大ネットワークが利用可能というところも就職的な優位点です。


親から見たら、遊んでいるとしか思えない、というのは理解しています。

でも、両親も、高嶺祭の経験を経て、僕の引っ込み思案だったところが直ったのも見ているわけです。


まあ、あれは学業優先で、その片手間・・・本当は全力でしたが・・・という形でしたが、あれを四年掛けてまじめに勉強すると考えればアリか、ということで父が母を説得してくれていたみたいです。


必要が無い限り、出身大学名だけ言っておけばいいんだ。というのが父親の言い分でした。


確かに・・・芸術学部が特殊なだけで、大学名としては良くも悪くも極めて有名で普遍的です。


僕も行くのにちょっと気張ってましたら、少し気が楽になったほどです。


ちなみに水野さんも東京の大学です。彼女は割と普通の・・・いえ、普通じゃないですね・・・本人はダメ元って言ってましたが、見事に受かりました。


大学名に駅名的なものが入っていますが、そこにはその大学はありません。

でも、国立女子大では最高峰の大学です。


場所的には大塚、池袋の隣が近いですね。まあ、最寄り駅は地下鉄駅ですけど。


二人で同棲みたいなことも考えましたが・・・さすがに早いと思い、別々のところに住んでいます。


お互いに大学で出会いがあれば、残念ながら一瞬で終わるかもしれませんから。


           ・・・


「そっちのほうが圧倒的に出会いが多いよね?こっちは女子大だよ?」


女子大といってもインターカレッジのサークルなんかはありますよね?


「そりゃ、あるけど・・・芸術学部ってなんというか・・・ほら・・・オープンな感じの女子も多くない?」


おっしゃりたいことは分かりますけど・・・僕は水野さん一筋です。


「でも・・・純文学のお勉強とかいって、まとわりついてくる女子がいたら、本能的にしちゃうんじゃないの?」


そんな女子は男子向け18禁小説かマンガの中にしか生息していませんし、それでやれるようなら、水野さんの合格発表まで僕が何もしなかった・・・いや、キスだけはさせてもらいましたが・・・いわゆる一線を越える行為ができなかったほどのチキンハート・・・なんか言ってて自分で悲しくなってきましたが・・・ともかくしませんよ!!


「でも・・・スピシスのももかんちゃんもそっちよね? 『やっほーー、お久しぶりーー!!』とか言って飛び付きながらハグしてきたらどうするの?」


お久しぶりは同意しますが、ハグはやさしく距離を取ります。

第一、お久しぶりはともかく、ハグはしてこないと思いますよ?

そもそも・・・芸術学部全体では千人くらいいるんですから・・・顔見知りになることはあっても、それほど親しくなるチャンスはないですよ。


「え・・・そんなにいるの・・・ウチは全学部合わせても一学年500人いるかどうかだよ?」


こちらはマンモス大学ですからね・・・事実上他の学部は別大学みたいなもんですけど・・・オリエンテーション資料によれば、毎年1万5千人以上が入学してくるらしいです。


「別世界だね。そりゃ、把握のやりようがないよね・・・」


ちなみに、ウチの文芸学科だけで、約100人、桃花さんの放送は約200人です。


「うちの学科は女子大としてはやや特殊というのもあって・・・だいたい20人です。先生のほうが多いかもしれない・・・あ、もちろん、先生は他の学部、学科も見てるからだけどね?」


まあ・・・水野さんはすごい学科に志願しましたからね・・・本当によく受かりましたよ・・・。


「私もダメ元よ・・・一応私立も受かったけど。まあ、そっちだとカントクのところほどじゃないけどそれなりにマンモス校かな?」


それはそうですよ。でもそうは言っても学校のレベルが数段上になりますからね。


「最終的には自分だからね。で、続けるでいいの?私達の関係性」


ですから、先ほどから言っているとおり、水野さん一筋で。つまり関係性の継続でお願いしたいと思います。


「うん・・・とりあえず信じる。アパートは大学の近くに借りるの? ウチはパパがなんかセキュリティのすごそうなところに勝手に決めちゃったの。男子禁制だから、そっちに行くしかなくて・・・片付けておいてね?」


それは・・・その・・・


「恥ずかしいから言わせないでって!!」


はい。関係性の継続でお願いします。


           ・・・


ここの大学の人、一般の人からすれば、芸能人の卵や、そちらの業界人を目指している人ばかりに感じられるかもしれません。


まあ、そういう人が普通の大学より多いのは当然です。

意外かもしれませんが、結構な割合の人が普通に・・・無難に、と言ったほうがいいかもしれません・・・履修して、卒業して就職していきます。


普通の大学生に比べて、この学部で育った人は『納期厳守』ができます。

そういう学部ですから。

また、クリエイティビティがある、というのも事実です。


ここに来ると、自分も含め、ほとんどの人は挫折に挫折を重ねたり、コイツにくらべてオレは・・・みたいな経験をしまくります。


納期を守るため、諦めて、これじゃあ平凡だなぁ・・・と分かっていながら、自分の作品を提出したりすることも経験します。


大学中退、普通はネガティブに捉えるものですが、ここでは良い意味すらあります。

四年も教育してもらわなくてもデキ上がっちゃった。


そういう中退もここではあるんです。


で、自分はそうなれないな、と思ってしまったタイプの、僕も含めた平凡な人材は、無難に履修して、一般人の中ではクリエイティビティを活かせる、一般的企業の広報やマーケに即戦力として就職する、そういう生き方もあるよね、という人生を選んだりします。


まあ、文芸は食えないよな、と最初から思って来ているし、高校のころから、大学研究、就職研究をして、最初から保険を掛けてるような連中・・・自分もそうですが・・・も、普通にいます。


その時には大学のブランドの巨大ネットワークが役に立つわけです。


正直、文芸はサラリーマンしながらでもできますからね。


いや、まだなったことがないんでイメージですが、役者なんかに比べれば兼業しやすいんじゃないかな、という・・・一応そういう先輩もそれなりに輩出しているのは事実ですから・・・あくまで僕個人の勝手なイメージです。


それが、ここに一年いて、今感じているところです。


あと三年弱。自分がどう生きるかはまだ決めてませんが、高校時代と比べても、ストーリーを考えたりするメソトロジーは身に付いたな、とは思っています。


やっぱり効率のいいやり方はあるんです。


それを独創性に変えられるかどうかは自分次第ですけどね。

まあ、保険を掛けたつまらない人生と言いたいやつには言わせておけばいいかな、と思っています。


正直、サラリーマンになったとしても定年までずっと働けるかなんて分からない時代ですもん。

その時にはここで学んだ何かが役に立つ・・・と信じています。


ちなみに、水野さんとは普通に続いていますよ?


           ・・・


「お、カントクじゃん~!高校ぶり!!」


いえ、僕は見かけてましたけど・・・お久しぶりです。桃花さん。

ここでは「カントク」という渾名は忘れてほしいです。ちょっと気恥ずかしいものがあります。


「あ、そーかそーか・・・確かにそうだよねーー」


まったくのシロートだったって、今じゃ思い知ってますから。


「まー、あのときはあれでよかったんじゃない?ちゃんと完結できたんだから」


そう考えるしかないです。やはり納期厳守は必須ですよね。


「そうね。高嶺祭は強制納期もいいとこだけどwww で、何て呼べばいい?」


普通に、「増田」でいいです。


「あーー、名字増田だったんだ・・・カンゼンに忘れてたよ、マスダくん」


高校のころはクラスどころか学年的にほぼ、カントクと呼ばれてましたからね・・・


「で、水野ちゃんだっけ? 続いてる?」


はい。しっかり続いてます。


「えーと・・・クミちゃんだ。合ってる?」


合ってます。よく覚えてますね・・・


「まー、頭悪いなりにね。ここじゃ悪いほうじゃないみたいだけど」


それは実感しますね。とんでもない高校だったんですね。しかし・・・


「なーに?」


見事にギャルしてますね・・・。


「見た目だけちょっとね。爪は実習とか考えて、してないし! クミちゃんは?」


ギャルじゃないですね。清楚系というか。学校が学校ですし。


「どこだっけ?」


お茶ですよ。


「おーー!!ゆーしゅーーー!!」


声がデカいです。


「ゴメンゴメン!! じゃ、またねー!!」


去ってしまいました。


しかし・・・美人になったなぁ・・・色々大きかったし。


挿絵(By みてみん)

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