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ファイティングガール  作者: Jack…
大学二年
60/73

チキン・放課後・プチ宴会

と、いうわけで、バスケサークルには参加できましたーー。

試験対策もゲットだぜ!!


「おめでとーー、リオン」「よかったな、いい先輩っぽくて」


リオンです。今は自宅。桃花とリコも一緒です。


学校のシラバスが違い過ぎるので、すれ違いも多い三人ですが、仲良しのままです。

すれ違いが多いが故にバッティングするところが少ないから、かもしれません。


桃花は素直です。自分が提案した「法学部のバスケサークルに入れば?」が上手くいったことを祝ってくれてます。

リコは自分が人間関係でも多少苦労した、とのことで、いい先輩に当たったことを喜んでくれています。


三人とも二十歳になったので、ハイボールをちびちび飲んでます。

まだ、ペースが分かってないので探っている感はあります。


そして、みんなが囲んでいるテーブルの上には、桃花特製ブラインチキンとソミュールチキンです。


名前の通りの料理ですが、桃花が作ると妙にうまいんだよなぁ・・・


ね、リコ?


「だなぁ・・・アタシが作るとパサつくし・・・」


そうね。私が作るとちょっとべっちゃりしちゃったり、同じくパサつくか・・・どっちかね。


「エヘン、それはね? ひと手間かけてるかどうかなんだよ!!」


エヘンって、口で言うもんだっけ?

私も桃花の作ってるのを見てマネしているつもりなんだけど・・・


「言ってもいいじゃん!リオンはね、焼く前の水切りが甘い!!」


ちゃんと網の上で水切りしてるけど?


「ちっちっち・・・それじゃ足りないのだよ・・・キッチンペーパーでしっかりと、親の仇かってくらいに拭き取る!!」


親の仇って・・・そういうときに使う言葉だっけ?


「どうでもいいじゃん!!ともかく、単に置いて切るだけじゃなくて、ペーパーで拭き取るのが大事ってこと!!」


確かにそこまでしてないね。水分が多いからベチャるってことかぁ


「まずはそこね」


え?一つ目なの?


「そうそう、次に、角切りにしてから、片栗粉を付けるんだけど、付けてから徹底的にハタいて、ギリギリまで片栗粉を減らすの!これも出来てない!!」


「まあ、アタシ的には糖質少ないほうがいいから、それは賛成なんだけど、落とし過ぎるとカリっと感が無くなってつまんないんだよ・・・」


「リコ、それは落しすぎじゃなくて、焼くのが遅過ぎなんだよ。バっとまぶして、パッパと払ってサッサと焼くんだよ」


桃花は手際いいもんね。繰り返しやれば上手くなるかなぁ?


「それはできるようになるよ、二人とも。次にさ」


まだあるの?


「二人とも火を通し過ぎ!!皮目から焼き始めてトングで返しながら火を通すのはいいんだけど、火が通りきる直前で火を止めてフタをして余熱で火を通すんだよ!!」


分かっちゃいるけどってやつ。生は怖いじゃん!リコもそうだよね?

「そう。旨くても腹を下したら元も子もないし」


「文明人だろ!?キッチンタイマー使うとか工夫しろ!!」


え?そんな手際よくやってどうやって?そもそも、キッチンタイマーを何分にしたらいいのかもわかんないじゃん!!


「逆だーー!! 何もせずにスタート押せばカウントダウンじゃなくてアップだろ? で、ラップ一個だけなら覚えられるよね?! そしたら、何分何秒から始めて何分何秒になったかで焼いた時間わかるだろ? で、結果火が通り過ぎてたら、15秒縮めるとかそういう工夫をしよーーってこと!!」


あ・・・そうか・・・「そういう使い方もあるのは初めて知ったよ・・・」


で、桃花は何分何秒でやってるの?


「エヘっ!?・・・ヤマカン?」


はぁ・・・ズコーーってやつじゃん。新喜劇なら全員でコケるとこ?

「まあ・・・桃花らしいっちゃらしいけど・・・」


「でもさ、その後もあるんだよ?」


そうなの?・・・まだあるんだ・・・


「うん。とても大事。冷静に考えてみて?」


特にヒートアップはしてないから冷静なつもりだけど?


「コンロの火を止めてフライパンにフタをしたってことは、フライパンの中はどういう状態?」


鶏肉がある?


「それだけじゃないじゃん」


・・・あーーー、水蒸気で蒸し焼きってことか。


「それが正解。なんで、水蒸気を開放してあげないと必然的にべっちゃりする。それがいやでフタをしないで火を通しすぎるとべっちゃりしないけど、水分が抜けすぎてパサつくわけ」


完全に納得だわ。


「それだけじゃなくてさ、網を使うんだよ。ウチにある網はフライパンの直径より小さいけど、底よりは大きいよね?」


そうだね・・・蒸し器にするには構造的に心許ないけど。


「それだって食器を使えばいいだけだし」


あ、そうか。小さなのを台にするのね。


「うん、で、網をサっとフライパンに入れて、チキンを網の上に載せてあげるの」


フタは?


「もうフタはしない。そうすると余分な油と水分が下に落ちる。重力バンザイだよ?」


ああ・・・なるほど・・・でも他の皿とかに網を置いてその上に置くのはだめなの?


「別にそれでもいいけど、油が落ちるから・・・洗い物が増えるよ?」


そうだね・・・それなら油切りはフライパンでやって、キッチンペーパーを敷いたお皿に取るほうがいいか。


「うん。直前までお肉の表面、少なくともフライパンと接してた面は余裕で100度越えてるわけ。なんで網に上げた後でも中心部に対しては熱いのよ。なんで火が通っちゃうわけ」


うわーーー、論理的!!・・・桃花?


「なーに?」


なんでそれで高校時代、物理や化学の成績が壊滅的だったの?


「うるちゃい!!覚えるもんが多すぎんだ!!あと方程式!!」


あれも中学とか高一の数学で充分に解けんだけど・・・


「超うるちゃい!!何とか赤点になんなかったんだからいいだろーー」

「まあ、アタシも低空飛行隊としてはあまり言えることがないな・・・」


二人ともしっかり卒業証書はもらえた訳だからいいんだけどさ。


「リオン!言っていい?」


何を?


「あの高校の『普通』は普通じゃない!!少なくともスピシスは普通じゃなさすぎる!!!」


わかってるけど・・・


「芸術学部なんて勉強できるとカッコ悪いまで思ってるヤツもいるしさ、特殊な環境だとは思うけど、桃花ちゃんてギャルっぽいけど勉強できるんだ、とか言われてんだよ!?」


そうなんだ・・・。


「それな。アタシも自分は体力バカだと当時は思ってたし、今でもそう思ってるけど・・・案外、勉強で苦労してない・・・英会話もそれほど困ってないしな」


まあ・・・それはマイティさんとユカに感謝かな?

一応ジョージも入れてやるか・・・


あのへん、英語で普通に話してたし、聞くのは慣れたよね。


「そーそーー、ユカと話すとき、日本語だと時間かかるから英語で、みたいなこともあったねーー」


「確かに。しかし、こないだ会ったときはあのだらだらしゃべりが・・・おさまってたな」


あー、ユカ的には一応マイティ症候群解消ということで、あのしゃべりをしなくてもメンタルが持つようになったみたい。


「マイちゃん症候群?どーゆーいみ?」


「アタシはわかるよ・・・アレがバスケやっててずっと・・・毎日のように比較されていたら・・・バスケ辞めてたかもしんない・・・という意味?勉学的な意味とかで?」


そうみたい。

まあ、ユカもマイちゃん同様超人枠でいいし。


「あーー、勉強的にはそーーねーー断トツ二位様だしねー」

「こっちは HGIS の分散拡大作戦の恩恵を一身に受けてた身だからな」


そうね・・・私もがんばってBだから・・・並よね。あの学校じゃ。


「いやーーー・・・確かにそうかもだけど・・・リオンには感謝しかないよ?」

「アタシも。大学違うのに、まだ試験対策教えてくれてるじゃん?」


聞かれて分かりそうなことなら教えるけど・・・HGIS の時みたいに正確じゃなくなってるとは思うよ?

リコは普通の問題だからある意味教えようがあるけど・・・桃花のはなぁ・・・


「英語だけでも大感謝だよーー!!」「答えてくれるだけでありがたいよ」


まあ、その程度なら、今後も続けるよ。


「でさー、話戻るけどさー」


なに?桃花?


「ウチら・・・リコとアタシは、あの中じゃ頭悪い組だったじゃん?」


まあ、あくまで成績、テストの点の話としてはそうだったね。


「でもさ・・・実際、リコもアタシも偏差値60超えのガッコに受かってんだよ?」


ああ、二人とも・・・リコの今の学部も、桃花が受かった学部も・・・確か・・・63くらいだったよね?


「そーそー。63なのよ。で、最初にDに落ちちゃだめよ?って一年のとき言われたの覚えてる?」


・・・あったね。そんなこと。リコが偏差値全然わかってない答えをしてて、アタシもダメだこりゃ、と思ったのは覚えてる。


「悪かったな。まあ、いまでもそれほど良くないけど」


「リコ、1万人いて、偏差値ピッタリ50の人は何番目かはわかるよね?」

「おう。5000番前後ってことだよな?」


「じゃあ、60の人は?」

「70%よりちょっとだけ少ないから・・・えーと5000の三割ちょいで1500・・・何十番くらい?1600番よりは上って感じか?」


「じゃあ、アタシたちの63は?」

「1500よりは上だと思うけど・・・確か70だと、250番より上で・・・ざっくり法で200と1600だとして1400差か・・・50に近いほど密度が濃いから・・・うーーん・・・自信無いけど1000番くらいか?」


「大体正解。アタシも実際の値は教科書の表を見ないとわかんないけど、970番くらいだからほぼあってる」

「おーー、アタシの頭でも偏差値が考えられるようになったのかーー」


まあ、二人とも結構勉強自体はしたからね。


「でもねーー、リオン、ふつーの大学生、少なくとも芸術学部だと『正規分布?ナニソレ?』って世界なのよ!!」


まあ、法学部でも近いものはあるよ。上のほうは流石に数値は覚えてなくても言葉として知らない人はいないけど、平均より下の人なら聞いたことあるけどなんだっけ?は普通にいるよ?

まあ、ユカんとこには数値表覚えてるは別として、概念わかんない人はいないだろうけど。


「あそこは別格にも別格じゃん・・・で、思ったの。偏差値63って、大学受験をしようとして模試受けてる人の上位一割以内に入ってるってことじゃん!!って!!」


偏差値が63なら当然そうなるよ。そういう定義だもん。


「いや、それが『底辺』扱いのあの学校って、どうよって話。ちなみにリオンはいくつ?」


まあ、地域の公立中学からでも入れるけど、学年トップクラスだけが入れて、全員がそうって高校だから・・・私もそんなに違わないよ。66か67よ?


「63と、66か67っていうと割と接線が急なとこじゃない?」


急だし・・・66.(ろくろくてん)・・・いくつか忘れたけど、そのへんに上位5%のラインがあると思うよ?


「つまり、アタシたちは上位10%の箱の中の底辺、リオンは真ん中くらいってことだよね?」


模式図的にはそれでいいと思うけど。


挿絵(By みてみん)


「なんで、偏差値50以上の5000人だけ見ても、あそこの底辺層だったアタシたちの下に4000人いるって気付いちゃった」


えーと?・・・意味がわかんないんだけど。


「アタシは芸術学部では勉強ができるほう、たぶん、リコもバスケ部では勉強ができるほうに入っちゃう」


ああ・・・そうかもしんないね。中央高(アソコ)は・・・というかHGIS はともかく基礎を徹底的に叩き込むからねぇ。

だいたい、桃花のことは知ってるけど・・・リコも中学じゃ学年十何番だったんでしょ?ホント、よく受かったよ・・・


「ホントにな。でもあの補習のおかげで今の大学も普通に試験で入れてるからな」


まあ、高校で揉まれて実力が付いたってことでいいんじゃない?

私に感謝は繰り返しになるからもういいから?こっちこそ感謝は本当なんだから。


「それでも感謝ーー!!」「何度でもお礼を言わせてもらうよ!」


それ考えると・・・マイちゃんの強制育成に耐えたジョージはすごいよねーー。


「最初は一緒のCだったもんねーー」「最後はSだし、学年三位。断トツ二位様がいたから男子一位だしな」


まあ、体力あってこそってのは・・・ちょっと体感しちゃったけどね(照)。


「いーーなーーー。アタシも希望出してんのにまだヤレてないーー」


桃花! 言い方!! 性病検査の結果は?


「一回目はシロ!! 二回目の結果待ち!!」


じゃあ、まだだめだよ。マイちゃん的には二回シロが必須っぽいし。


リコはこないだ行ってきたよね?


「・・・まあな・・・」


話したくない?私にはあんなに根掘り葉掘り聞いたのに?

私もきっちり詳細まで話したよね? 感覚の違いは知りたいから、教えてほしいな。


「まあ、話してもいいんだが・・・武庫川との話もあるのに同時進行でそっちもやってるってのが微妙に罪悪感というか・・・」


武庫川?誰?聞いたことある気もするんだけど・・・


「リオン!!大道具の人!!」「忘れてたかww」


ああ、ジョージの親友、神田くんとトリオを組んで大道具やってたね。あと一人だれだっけ?


「吹田くんだよ!リオン!!」「興味がないヤツには無関心だから」


無関心ってほどじゃないけど・・・思い出すのに時間がかかるのは事実ね。


ほら!!あのころは補習の予習復習で二人に教えるのにかかりっきりだったから!!


「グハァっ!!特大ブーメラン!!」「笑うしかないな・・・」

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