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ファイティングガール  作者: Jack…
大学二年
57/74

その後の練習風景

アスカです。


結局、彼女の提案は受け入れられることになりました。


但し、特別練習生という形でジムに所属してもらうことが条件です。

まあ、名前だけで、別段ウチのジムに何か縛られるようなもんじゃございません。

やらないと言ってたのでさすがに無いとは思いますが、ヨソから女子プロレスラーとしてデピューしてもかまわないような立場です。


代表によれば、怪我をしたときに、そういう形にしておかないとジムに法的責任が生じる可能性があるからだ、とのことです。


彼女にそれを説明し、納得してもらい、入会金と月会費を払ってもらいました。

それぞれ、決まった金額があることはあるのですが、彼女は

「私が入会するとなれば何かと物入りだろう」

といい、その場でスマホから入金してくれたようです。


会計担当に聞いたら・・・「この・・・100万円ですかね?」と返事され、

流石に慌てましたが、彼女は

「気持ちだ。ご査収願いたい」

と言っただけでした。


つい、金持ちかよ、と呟いてしまいましたが、

「その認識で結構だ」

と言われ返され、無言になるしかなかったです。


ただ、なぜそんなに振り込んでくれたかの意味はわかりました。


毎月月会費は振り込んでくれるんですが、基本、彼女は月に一回かせいぜい二回しか来ません。

その上、五人組み手をする関係上、事前のネゴが必須で、一週間前までには練習生の都合を合わせて、この日のこの時間、と指定する必要があります。

大体、午後五時スタートとすることが多いです。


そういう時、彼女は午後三時前くらいに来てアップするのですが、その時、キックやタックルに付き合う必要があるわけです。


これがキツい!!


ミットが衝撃を吸収しきってくれないんです。


ああ、こういうのを全部彼女用に買い直したら100万なんて一瞬だな・・・と理解しました。


キック用のミットなど、どうしても、というものだけは買いました(ホントに骨が折られちゃうって思いました)が、あとは工夫でなんとかしてます。

まあ、あと、ガマンだね・・・だって、ホントに50万が一瞬で消えちゃったもん。


初回の組み手は現役組も代表も興味津々で見学しに来ました。まあ、ピーあたりから噂を聞いていたなら、興味無いほうがどうかしてます。


最初は5人がバラバラに攻めてたので、彼女はあっさり個別撃破してしまい、小休憩がてらの作戦タイムを経て、プロレスらしい連携プレーで攻めるようになりました。


連携するようになり、最初は効いていたようですが、弱いほうを見破り、連携を崩したり、連携プレーを横取りして、別の練習生を襲うなど、あまり見たことないプレーを連発し、見事に『エクササイズ』してました。


約一時間強の練習で、練習生はヘトヘトのボロボロ、彼女は汗だくという程度になりました。


その後、シャワーと着替えをして帰ろうとしたので、食事・・・といっても二階の食堂でのちゃんこですが・・・最初は遠慮していたものの、ボコボコにした相手達から「一緒に食いましょうよぅ!!」と、しつこくもうやうやしく?誘われたので、最終的にはみんなで鍋を囲む事になりました。


そしたら・・・驚くほど喰わない・・・。鶏肉メインの鍋でしたが、鶏肉はまぁまぁ、キノコ類はたっぷりと、あと、ニンジン、大根・・・そしてご飯はほんのちょっと・・・

現役組も練習生も驚いていましたが、彼女曰く、この体重を維持するために食べられる量は本当にわずかで、常に食事の量は抑制しないとモデル仕事に差し支えまくる、とのことでした。


「特に炭水化物はやばいのです。食うだけ太る。キノコ類は吸った汁くらいしかカロリーがないので、いくらでも食えると言ってもいいんですが・・・」


私も事実上現役引退で、体を絞るのに苦労しましたし、代表や現役組でもビジュアルで売ってて、写真集やカレンダーのオファーがある連中は「わかる・・・」と呟いてました。


それでよく動けるね?とアタシが聞くと


「いや・・・アップといいますか・・・その、ここに来る直前と、ここでのアップ中にも、給水タイムがございます。そこでバナナを良く噛みながらゆっくり目に食べることで、いわゆるカーボローディングをしております。その上で、乱取り?に備えている次第です」


なるほど・・・消化吸収のよいバナナを良く噛んで咀嚼して、薄めたスポドリで流し込めば、そりゃ、即効性あるわな。

じゃ、食事は迷惑かな?


「迷惑なんてとんでもない。練習後のノーサイド的な会話から得るものも一杯あります。私は私のペースで食べる、というだけですので、どうぞ皆様はお気遣い無く、という程度のお話です」


まあ、練習生の中には欠食児童みたいなやつもいるから、そういうヤツらにとっては、ここのメシは一日の終わりの楽しみみたいなもんなんだよ。

なんで、悪意で薦めてんじゃないってことだけわかってくれればいいし、わかってるみたいだからいいよな。


お前らも無理にすすめんなよっ!


「「「「「はいっ!!」」」」」


そんなわけで、次からは、彼女には鶏だったらムネ肉やササミ部分、キノコ類も多めに、味も鍋全体を濃くする前のものを取り分けて、ご飯も出さない、という対応になったとさ。


彼女からも栄養に関するアドバイスをもらって、ちゃんこ番のほうもしっかり勉強して、より体のタメになる料理を出せるように研究するようになりました。


結果論的にはよかったんだろうな、と思います。

代表やアタシも味薄めを食べるようになりましたしね。


           ・・・


代表、彼女すごいでしょ?


「なんでお前がドヤってんだよ?まあ、すげーよな。いくら練習生レベルとはいえ・・・5対1じゃあ、全盛期でもちょっとしんどいよなぁ」


ピーもヤツにヤラれてから伸びてる感じがしますよ!!


「ああ、あの子は・・・悪くないんだけどちょっとプロにはなぁって感じだったんだけど、伸びてんのか。そりゃよかったよ」


デビューは厳しい?


「まあ、あのままじゃな。でも伸びてんなら今度見てみるよ」


頼んだわよ。でも、よくスカウトしなかったわね?


「あ・・・彼女のことか? ぶっちゃけ美人だし、とんでもない長身で、見た目なら満点だよな」


実技のレベルもすごいわよ?


「まあ・・・でも女子プロレスってのは特に若手は『成長物語』だからさ・・・」


そりゃ、そうだけど・・・あっ・・・そういう意味?


「うん。組ませる相手がいないよね?」


まあ・・・172の私でも15cm差じゃね・・・。


「そう。お前とアタシはタッグで組めたけどさ。あと、適当なライバルも・・・あれのライバルは居ないだろ?」


まあ、そうよね。


「うん、強すぎる」


そうだけど・・・


「さっきも言ったよな?オマエだってアタシだって、自分の、過去の全盛期だったとしても、練習生相手5人だったら、まあ、相手に遠慮が無ければコテンパンにノサれちゃうだろ?一応、アイツらからみたら、憧れだったレスラーだったとしたら、そこまではやられないとは思いたいけどさ」


まあ、三人でもキツいよね。

二人がかりで両脇固められて、ボディに膝入れられまくられたら、その時点でまあ、勝ち目は無いよね。


「それがさっきはさ、一瞬の隙をついて後ろから羽交い締めにした上に両側からタックルの形で組み付いて、そこであと二人でボディ攻撃をしようとしてたじゃん。あれは流石に終わったな、と思ったよ。私も」


そうね。


「あれは理解不能だったな・・・そこで向かってきた一人を右足だけで捌いて、右を固めているやつの頭と頭をごっつんこ。鳩尾より上への攻撃は無し、というルールは破ってないよな。あれ」


まあ、結果として頭突きになってるけど、彼女がしたわけじゃないからね。


「その反動を利用して、逆側のやつを振り払い、後ろから羽交い締めしているやつもコーナーポストに押し込んで、怯んだ瞬間に下に抜けて・・・肩を一瞬外してから入れ直したと聞いてもウソだとは思わないぞ、あれ・・・そして肘で鳩尾打ち、パンチ、キックも鳩尾に一発決めたら・・・そりゃ、こっちもボロボロにもなるさ」


そうだよねぇ・・・ルール違反じゃないけどあんだけ鳩尾狙われちゃあ・・・


「これは聞いた話だが、彼女は急所、例えば目とかテンプルとかでも躊躇無く攻撃できちゃうんだって?」


本人からはそう聞いてる。


「今日もあったんだよ。別の抜け出すときに、鼻に裏拳入れそうになってた」


それは見てなかったな。


「あ、ルール違反だって気付いたみたいで、気の抜けた水平チョップになっていたけどな」


うーん。抜け出すときに後ろに水平チョップじゃ自然に見えるから・・・どれだったかわかんないな・・・


「裏拳が当たってたら大惨事になってたかもな。どんぴしゃ鼻に決まるなって感じたからな」


まあ、鼻血は確実だろうね。うん。出血するとエキサイトしすぎるかもなぁ・・・


「しかし、組み付いているからそこらへんに顔があるってのは分かるんだろうけど・・・見ないで正確に打てるってのはすげぇよ。しかも反射で」


確かにタッグ相手も・・・セミやメインだったとしても組ませる相手もいないか・・・


「実はあの手のは見たことあんのよ。海外武者修行のテイでの遠征だったか、遠征の名目で実質武者修行だったかは忘れたけど」


ああ・・・あったね。結構強くなって帰ってきたじゃん!


「中南米はプロレスもそれなりにあるし、女子リングもあるけど・・・それこそ国によってはマンガに出てくるような地下格闘場みたいなのもあんだよ」


そうなの?!出たりしたの?


「出るわけないじゃん!! 本当に大怪我したり死んだりで、デビュー即引退とか死亡が当たり前のリングだぞ!?」


それは・・・恐しいね。


「そう。そんな中でも一年現役を続けてられるプレーヤーもいたり・・・逆言え

ば、たった一年でレジェンド扱いだ」


それは出たくない・・・出れない・・・出ないね。確かに。


「彼女はそういうタイプの人間に似た香りがすんだよ・・・」


そう言えば言ってたな?


「何を?」


何年か後にアフリカで発掘調査をしたいんだけど、戦争地域で、かつ、味方だと思っている男がいつレイプ野郎に変わるかわかんないから、それに備えた訓練をしたくて、民間軍事会社?でも基礎的な訓練だけは受けたって・・・


「バカヤロー!!めっちゃ本物じゃん!!あの『エクササイズ』は続けていいけど、彼女のプロデビューは無しだ!!絶対!!」


あとさ、練習生たち、彼女からお小遣いもらったみたいなんだよ。


「え?」


封筒渡されて一万円ずつ入ってたんだって。さんざん殴ってすまんって言われたって。


「絶妙だなぁ・・・1000円札ならバカにすんなだし、10万じゃぁさすがに悪いから返せ、だけど、一人一万かぁ・・・もらっとけ、でいいんじゃないか?」


アタシもそう思って同じこと言っといた。


「気が効く戦争屋かよ・・・」


考古学者らしいよ?


「インディジョーンズだって遺跡も敵もぶっこわしまくってたじゃんか」


あ、確かに・・・あれ・・・考古学者かwwww

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