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ファイティングガール  作者: Jack…
大学二年
56/75

道場破りではないみたいなんだけど、されちゃった感覚。

アスカです。


一体アタシは何をしてるんだろう、って気持ちで一杯です。


コイツ、強い。でも女子プロになるつもりはない。でも女子プロレスラーになりたい練習生を一瞬で落として投げちゃう・・・


アタシは現役時代から、「並のレスラー」が関の山だと思ってたし、自分も美人と言われるほどの女性的魅力も無いことは悲しいけどわかってた。

で、相方はレスラーとしての実力も、悔しいけど美人でもあったのもわかってる・・・でも女子プロレスラーを続けるためだったら、引き立て役で構わないと思ってた。


コイツは「腰高」という、レスラーとしては明確な欠点がある。

にも関わらず、タックルをくらっても平然としているし、それこそ三人がかりで抑えつけに行ってもあっさり返される。

で・・・美人だ。正直うらやましい・・・


そして、手足は本当に長い。なので細く見えるけど、実はそれほど細くない。特に太腿はまったく細くない。150cm台のモデルとかアイドルならウェストだよねってくらいにはある。


いわゆる「体幹」を相当鍛え上げてんだろーなーって想像は付く。


実は今、コーナーポストに寄り掛って休んでる。

練習生は必死で食らい付いてるけど、イナされてる。

多分、最初のラッシュで消費した体力をイナしながら回復しているんだろう。


アタシもさっき、なんとワンハンドボディスラムを食らってしまった。

確かに身長は圧倒的だが・・・身長に比べれば体重は大したことない。

まあ、アタシもタックルしてみたけど・・・75kgってのはホントか?と思うほど重くてカタかった。

両太腿を束ねてタックルして倒そうとしたけど、ビクともしなくて、アタシの腕は、抱えてたはずの太腿からずるずると上げられて胸の下で止まり、ああ、両足開いてサバくやり方もわかってんだ、と思った瞬間、股間をむんずと掴まれて、右腕一本で投げられたのがわかった。


こりゃ、腕力じゃねーなーー。体重・重心移動で投げるやり方がわかってんだ、しかしアタシ、ヘッドキアしてねーぞ?後頭部打ったらヤバくね?と思った瞬間、むにゅっとした感触が・・・

ああ・・・リングの隅で寝たままのピーの上に落としやがったか・・・考えてたか偶然かはわかんねーけど助かった・・・


で、起き上がってコーナーポールにもたれかかって呼吸を整えてるって感じ。


あっちのほうが重いとは言え、普通、10kgくらいの差じゃぁ、ワンハンドボディスラムなんて仕掛けられない。


           ・・・


プロレスは男女とも、エンターテイメントショーであって、純粋なスポーツじゃない。


勝敗が最初から決まっている試合なんてほとんど無いけど、お互いに相手の技をより凄く見せるために、自分の力で掛かりにいくこともある。


正直に勝敗を・・・勝ちに行くだけならドロップキックは()ければいい。

タマになら避けてもいいけど、普通はちゃんと当たってあげて、自分の体力を消耗しない程度に後ろに飛んで受け身を取る。

これはお約束というやつで、お互いにお約束を守ることで、プロレス、というショーを成立させているのだ。

見た目がハデでないと観客にウケないからな。


そういう意味でいうと、彼女はプロレスラーじゃない。


格闘者であり、制圧者だ。ムダな動きが少ない。まあ、軍人とかボディーガード向きの格闘術なんだろうな。

まあ、最初の投げっぱなしジャーマンやら、さっきのワンハンドボディスラムなんかも、一応できるみたいだけど・・・


まだ、こっちの二人は気合と根性?で彼女にかかっていってるが、イナされ、スカされ、彼女の誘導で二人で激突させられ、わずか数分で、もうヘロヘロだ。


コイツらだって、武器無しのケンカならちょっとした男にだって負けないんだけどなぁ・・・


向こうは平然しているのに対して、肩で息をしていてるコイツらは立ってるのがやっと・・・


で、ちらっとコッチを見ると、わずかに首をかしげた・・・何のサインだよ。わかんねーよ。まあ、うなずくか。


アタシがうなずいたのとほぼ同時に二人の頭を掴んでお互いを頭を頭を合わせる強制頭突き。

腰を落として二人同時にボディフック・・・器用だな・・・

二人とも上半身が落ちたところでむんずと股を掴んで・・・ああ、こうやって体重移動して自分より重いのを持ち上げてたんだ。

アタシもこれやられてたんだろーな、って感じで二人の体をVの字に挙げてからの、ダブルワンハンドボディスラム・・・そんな技見たことねーけどなー・・・


           ・・・


マイちゃん、やるね。私もレスラー歴、まあまあ長いけど、一人で二人を投げる技は練習でも見たことないよ。


「うむ。流石に二人同時は重かった」


重かった・・・って、そりゃ重いだろうよ!!

アンタは細いからねっ!!


「そう見えるように工夫しておるが、実はそれほどでも無い」


だろうね。太腿上部はアイドルのウェストくらいありそうだしねっ!


「概ね、その通りだ」


で・・・アタシの予想通りっつーか・・・

こっちは手も足も出なかったって感じだねぇ・・・エクササイズにはなった?


「タメ口失礼した、しました。教官殿。エクササイズにはなりましたが、5人体勢というのは可能でしょうか?」


5対1ってこと?・・・


「教官殿であれば3人体勢でもよいかと存じますが、この練習生?の皆様、であれば5人くらいでないと最悪時のための練習としては強度として少々不足するかと」


あのねぇ。それ、現役のプロレスラー3人相手できるって言ってるようなもんだけど分かってる(怒)!?


「先程も申し上げましたが、性的欲求の捌け口として屈強な男が数人掛かりで襲ってくることに対応する訓練ですので、私から見た相手方は戦力としては過剰である必要があります!」


あ、言ってたね。つまり現役レスラー3人より強いって言ってるわけじゃないってこと?


「その通りであります! レスリングでなく何でもアリであれば・・・一人づつ無害化する手法はPMC でも演習がありますので別ですが!」


無害化って・・・まあ・・・聞かないほうがよさそうね。

確かに、そういうのが目的なら・・・練習生数人が一人を狙うバトルロイヤルでいいかもね。

マイちゃんはさ・・・、人、殺したことあるの?


「ございません!」


大怪我だと?


「それはございます!」


どの程度?


「右膝を粉砕し、左肘を逆方向に折り曲げた程度です!」


・・・本格的過ぎるわね・・・


その人、今、元気?


「数年前に黄泉に旅立たれました!」


怪我のせい?


「警察の検死の結果は凍死とのことでした!」


いわゆるやくざやさん?


「おっしゃる通りです!」


それは・・・さっき言ってたカチコミの時?


「いえ、それより前です。酒癖が非常に悪く、露出癖のある人で、真冬に酔っ払った上襲いかかられたので反撃した程度です!」


下半身丸出しってやつ?


「おっしゃる通りです!」


じゃあ、深夜とかだったんだ。中学生くらいだよね。何故そんな時間に?


「地元の伝統的なお祭りがあり、例外的に遅くまでの参加が学年問わず黙認されています」


で、反撃して、酔っ払いに肘を折るようなショックを与えたら気絶してしまう・・・真冬で薄着・・・凍死ね。


やっぱりあまり教えられることないような気がするんだけど・・・

練習生壊されたら困るしねぇ・・・


「100%はお約束できませんが、なるべくその様なこと無いように反撃します」


まあ、こっちも100%ケガさせない、なんて約束はできないからそこはいいんだけど・・・


「・・・今日の練習で、・・・アスカさんがピーさんと呼ばれていた方を含め三名は私に対して敵愾心であるとか反骨心であるとか・・・もしくは『今度来やがったらルールの範囲内でネチネチとイジめてやろう』みたいな気持ちが発生した可能性が高いと考えます」


ネチネチはわかんないけど・・・今日の有様で『このやろう!!』って気持ちが芽生えないようじゃレスラー失格だよね。

もっと練習しなきゃって、ほうも思ってもらいたいけど。


「「します!!」」「アタシもです!」


それ・・・5人かぁ・・・お金掛かるし・・・アンタ、ツラいかもよ?


「ちゃんとルールを決めてくれれば守ります。今日も危険な打撃やキックは使ってないと・・・自分では思っていますが如何でしょうか?」


うん。使ってないね。投げっぱなしジャーマンのほうが決めにいくより安全ちゃ安全だから。アタシへのワンハンドボディスラムはちょっと危険を感じちゃったけど。


「私もそう思いましたので、ピーさんの腹で頭を受けとめてくれそうな感じで投げさせていただきました。やはりアスカさんが圧倒的な攻撃力だったので、まずは距離を取りたい、くらいの勢いでしたが」


さすがに練習生と比べたら・・・まだねぇ。パワーも全盛期よりは全然無いけど、テクニックはそんなに衰えるもんじゃないしねー。

でもまあ、座布団がわりにされたピーには悪いけど、悪くない判断ね・・・


「ひでぇっす。結構おぇってなったすよ?」


腹筋がゆるゆるだからよ。締めてればそんなにならねーよ!


「ひぇっ!すんません!」


マイちゃん。さすがにこれはアタシ一人じゃ決められないので代表と相談させてね?


「承知致しました!」


ちなみに・・・もし、アタシやコイツらと・・・本気で戦場で敵対したとして『無害化』するとしたらどうするの?


「それは・・・お互いに武器が無い・・・レスリングの練習に近い状態で?ということですか?」


うん。条件はそれでいい。


「まあ・・・有利な条件・・・背の高さとスピードは使うべきですから・・・」


そうだよね。


「・・・速攻でテンプルにヒジですかね・・・二発ずつ、4人ならヒジも持つでしょうし」


それは絶対やったらダメだからね!!

『ヒジも持つ』なんて勢いでぶっ(ぱな)されたらホントに死んじゃうやつ!!


「流石に認識しております。ここでのエクササイズでは『()()()』使用しません」


ホントに絶対ダメだからね!!


「怖いっすね・・・」


ピー、あんたたちも今日、コイツのこと憎いと思う気持ちがあるほうが普通だけど、ヤリ過ぎたら死ぬかもしんない反撃食らうから、ネチネチやるくらいならいいけどそれ以上はダメだかんね!!


「・・・ネチネチはいいんすか?」


ああいう言い方してるってことはルール違反じゃなければネチネチやられても切り抜ける練習をしたいってことよ!!

反則はダメだけど、ルールの範囲内ならたぶん歓迎なはずよ?!


「アスカ殿・・・流石に分かってらっしゃる」


それ・・・絶対に『エクササイズ』なんて名前で呼ばないと思うけどね!!

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